エジプトのギザにある大スフィンクス像が、四年の長きにわたる修復を終え、再び一般公開される。

エジプト考古相によれば、今回の修復箇所は、身体の左側と首の部分。修復完了後、観光客に一般公開される。また同時に、アメンホテプ2世の神殿も初公開されるという。

かつては姿が違った

エジプトのギザに作られたこの大スフィンクス像は、高さ20m、長さ73m。別の場所で作ったものを運んで来たのではなく、周辺の岩山を切り崩して作られた巨像である。ファラオの顔が、頭部のモチーフだというのは有名だが、実はこれは後世に彫りかえられたのだという。以前の姿はメソポタミア神話やギリシア神話にも登場する、頭部が山羊、体は獅子の形をした神獣である。

ピラミッドの守護神として建設されたとも言われるが、最近の研究では、スフィンクスが作られたのはギザのピラミッド群が作られるよりも前の時代で、守護神として建てられたのではなく、スフィンクスの周囲に神殿やピラミッドを建設したことからその場の守護神となった、とする説が有力となっている。

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雄羊の頭のスフィンクス(カルナック神殿)

ギザの大スフィンクスもかつては山羊の顔だった。

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PlusMinus

首都カイロ郊外に位置するギザのスフィンクス像は、世界で最も人気の世界遺産のひとつである。だが、砂嵐・大気汚染や地下水などによる浸食を食い止めるため、修復する必要があった。

地下水に悩むスフィンクス

スフィンクスは古代から近現代までのかなりの長期間、そのほとんどの部分が砂中に埋もれており、全貌が明らかになったのは実は100年にも満たない近年になってから。にもかかわらず、この地下水による浸食にさらされて、定期的に修復を繰り返している。発掘されたスフィンクスの胴部には謎の空洞が発見され、何かの墓室か隠し通路か、宝の部屋かと囁かれていたが、実はこれも、地下水が浸食してできた空洞のようだ。スフィンクス像周辺は地下水が溜まりやすいうえに、本体を形成する岩山の一部は水の浸食を受けやすい、もろい地層なのである。更に現在では、ピラミッドの付近にまで迫った住宅の生活排水が流されるようになったため、更に地下水が上昇しやすい環境となっているとのこと。スフィンクスやピラミッドなどの世界遺産を浸食から守るためには、住民の水道環境の整備も今後必要となってくるだろう。

大事な観光資源

ギザの大スフィンクス像はまごう事なきエジプトの観光資源である。今月初めにもカイロで二件の爆破事件などがあり、昨今の治安悪化で観光客が遠のいているエジプト政府にとっては、今回の一般公開を含め、スフィンクス像やピラミッドなどの世界遺産を修復・整備、そして維持していくことは、海外からの観光客を呼び戻すためにも、力を入れて取り組むべき課題である。

環境による風化や侵食もさることながら、中東などで頻発している戦争や紛争・内戦などにより、かけがえのない世界遺産や歴史的建造物、歴史的資源が損なわれるという事態が、全世界のファンの間で憂慮されている。政府がこうした課題に取り組むことで世界遺産の保全に繋がり、ひいては治安の維持、環境の整備に繋がっていくことが非常に望ましい。未だ謎が多く、歴史の不思議に数えられるスフィンクス像だが、ピラミッドの守護神として長きにわたり存在していた通りに、今後もエジプトの守護神として重宝されていくであろう。