
ナショナル・ジオグラフィック、2015年フォト・コンテストの優秀作品を発表
2016/1/518:04新年あけましておめでとうございます。今年もsignをどうぞよろしくお願いいたします。2016年のsignは、昨年撮られた『すぐれた写真』の数々をご紹介するところから始めましょう。
A massive tornado looms above a Colorado farm in the grand-prize winning photo of the National Geographic 2015 Photo Contest, chosen from more than 13,000 entries.
写真誌『ナショナル・ジオグラフィック』が、「2015 ナショナル・ジオグラフィック フォト・コンテスト」の優秀作品を発表した。応募総数13,000枚のうちから選ばれた、「2015年のベスト・フォト」はどんなものだったのだろう?
堂々のグランプリ作品
コンテストは「自然部門」「場所部門」「人物部門」の3つに分けられており、各部門で大賞と佳作が選出された。大賞3作品のうち、審査員によってグランプリが選ばれている。まずは、そのグランプリ作品からご紹介したい。

ジェームズ・スマート『Dirt』
コロラド州シムラの農地を襲ったトルネードを収めた1枚。
この『Dirt』は自然部門で大賞を獲得した作品だ。撮影者のジェームズ・スマート氏は、トルネードの移動速度が遅いことを利用して、写真の家くらいの距離まで近づいて撮影に臨んだという。なおこの写真はトルネードの西側から撮られたもので、それゆえスマート氏いわく「すばらしい姿と完璧な光」を収めることができたそうだ。
スマート氏には賞金1万ドルと、副賞としてナショナル・ジオグラフィック本社での写真セミナー参加が贈られている。
大賞作品
では、惜しくもグランプリを逃したものの、場所部門・人物部門で大賞を獲得した2作品をご覧いただこう。

場所部門/フランシスコ・ミンゴランス『Asteroid』
環境フォト・ジャーナリストのミンゴランス氏は、スペインの『赤い川』リオ・ティントに関する報告書のなかに、川のなかにあるリン酸石膏の泉、そこから発される放射能が自然を破壊している事実を盛り込もうとしました。撮影を進めるなかで、『緑の泉』に浮かび上がった形が小惑星(Asteroid)の衝突を思わせたようです。

リオ・ティント
普段はこんなに赤い。

人物部門/ジョエル・ナサダ『At the playground』
ウガンダの首都カンパラにある『カムッキャ』と呼ばれるスラム街で撮影。被写体の少年はこの自転車を何よりも大切にしており、毎晩この自転車で遊び場を訪れてはサッカーをする子どもたちを見つめているという。
ミンゴランス氏とナサダ氏には、それぞれ賞金として2,500ドルが贈られている。コンテストの審査員は『ナショナル・ジオグラフィック』誌でそれぞれ編集者とカメラマンを務めているジェシー・ウェンダー氏とデヴィッド・グッテンフィールダー氏、また写真家のアナンド・ヴァルマ氏が担当した。審査基準は独創性とクオリティ、信頼性の3点だったという。
佳作作品
自然部門

アンドリュー・スリョノ『Orangutan in the Rain』
インドネシア・バリにて。急に雨が降りはじめたとき、オランウータンは葉を傘にしたという。

アレッサンドラ・メニコンティ『Acrobats of the Air』
スイス東端の村アッペンツェルにて。キバシガラスの群れが飛行するさまを収めたもの。

モハメド・ユセフ『Changing Shifts』
ケニアのマサイマラ国立保護区にて。有名なチーターの幼獣・マライカが狩りをする様子。

ベンス・メイト『Colorful Chaos』
南アフリカ共和国・ムクゼにて。シロビタイハチクイは眠る前に枝に集まるが、その翼の色の美しさを収めることに成功した1枚。

トゥゴ・チェン『Surrealist Painting in Nature』
中国・新疆ウイグル自治区の石河子市にある「天山」。土地の堆積物と山を下る川が色鮮やかに写し出されている。ちなみにsignでは類似例を以前紹介した。
場所部門

水田秀樹『Hill of Crosses』
リトアニア・シャウレイの「十字架の丘」にて。かつてロシア帝国の領土下だったリトアニアでポーランド人とリトアニア人が蜂起した、その歴史がいまも残っている。

ジャクソン・ハン『From Generation to Generation』
台湾・沙鹿区にて。先祖への祈りと尊敬を込めて家族が線香を渡しあうさまが、まるで知識や知恵を受け継ぐ象徴に見えたという。

シモーネ・モンテ『The Game』
ブラジル・リオデジャネイロにて。何組もの人々が、ビーチでサッカーボールを蹴る様子を収めた1枚。
人物部門

ヤナン・リー『Overlooking Iraq From Iran』
イラン・フージスターン州にて。イラクとの国境にはかつて使われた戦車が残っており、女学生たちはその上に登って自撮りをしたという。

ラース・ヒューブナー『Nothing to Declare』
台湾・斗六市にて。家族の死後、遺体は家か特別に建てられるテントに一定期間安置される。葬儀では写真のような服装の女性によるバンド演奏が行われることがある。
今回のコンテストの受賞作品は、コンテストの公式サイトから壁紙としてダウンロードすることができる(一部作品を除く)。お気に入りの写真が見つかったら、ぜひ手元のスマートフォンに保存して使うのもよいだろう。
2016年、世界ではどのような出来事が起き、その様子はどのように写真に残されるのだろうか? もしも良い写真が撮れたなら、今年はコンテストに応募してみてもいいかもしれない。
Choosing the Winners of the 2015 National Geographic Photo Contest
選考の様子はこの動画でも少しだけ見ることができる。
From a tornado looming above Colorado to an orangutan using a leaf as an umbrella: National Geographic reveals its top pictures of 2015
From a tornado looming above Colorado to an orangutan using a leaf as an umbrella: National Geographic reveals its top pictures of 2015
2015 National Geographic Photo Contest | National Geographic