中国・甘粛省に、まるで地上に虹が広がったかのような絶景が見られる場所があるといいます。その場所の名前は『張掖丹霞国家地質公園(ちょうえきたんかこっかちしつこうえん)』。

その驚くべき美しさ、鮮やかさはまさに虹のワンダーランド、天国のようだとも評されています。

Located in the Gansu province of China is a rainbow that will take millennia to go away. While its home is not in the sky, that doesn’t take anything away from how incredible and vibrant its colors truly are. The Zhangye Danxia Landform Geological Park is a rainbow wonderland crafted by the elements in sandstone and other minerals. It looks like Heaven if they ever decided to ditch the all-white cloud motif.

地上の楽園にようこそ

『張掖丹霞国家地質公園』は中国の内陸部分に位置しています。

実際に日本から行こうとすると、例えば成田空港から広州まで国際線で約4時間、そこから国内線に乗り継いで張掖まで約7時間、さらに空港から現地までは車で約40キロと、なかなか容易にたどりつける場所ではなさそうです。

そこで今回は、写真でその絶景を眺めてみることにしましょう。じつに便利な時代です。

張掖丹霞国家地質公園

大体このあたり。

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Google maps

七彩山の写真

なんだこれは……。

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『張掖丹霞国家地質公園』の目玉である通称・七彩山は、2002年に発見され、2008年に一般公開されました。まだ新しいため、中国人ですら知る人ぞ知る秘境だという話すらあります。

“東洋のグランドキャニオン”とも呼ばれる。

それどころではないような気が……。

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果てまでつづくストライプ。

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まさに圧巻、これぞ絶景、というべき風景に距離感もサイズ感にくわえて色彩感まで狂いそうです。映画のロケに使われたことがきっかけで近年注目されるようになったそうです。

欲望の銃弾が撃ち込まれる

それが2009年公開、チャン・イーモウ監督作品『女と銃と荒野の麺屋』です。
ある麺屋の男が妻とその浮気相手の殺害を警察官に依頼する、というサスペンスなのですが、なぜか映画の紹介の中に「麺の生地は回して作るとおいしくなる」ということが力説されていました。

あまりの絶景に、背景はCGだと勘違いされたという逸話すら残るこの映画で、あの美しい七彩山はどのように登場しているのでしょうか。
まずは背景に注目しながら、映画の予告編をご覧ください。

映画『女と銃と荒野の麺屋』予告編

おや?

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ストライプが見えますが……

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これが虹……ですか?

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繰り返しますが、これは映画です。俳優より背景が目立ってしまってはいけません。きっと細心の注意を払って、虹色が主張しすぎないように撮影された映像に違いありません。

それを証明するために、ここで別の映像を見てみましょう。冒頭、『張掖丹霞国家地質公園』で実際にビデオカメラを回して撮影された、臨場感あふれる約15秒間の映像です。

Zhangye Danxia Landform, China

結果は一目瞭然です。

理想。

山が鮮やか。

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現実。

床が鮮やか。

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どーん

映画『女と銃と荒野の麺屋』予告編より

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失われた虹色を求めて

そんなはずはありません。虹のワンダーランドは、天国は、あの絶景はどこに行ってしまったのでしょうか。まさか、あの虹色の七彩山の写真は誰かの手で作られたものだったのでは……。

情報源を遡ると、虹色の七彩山の写真は、IMAGINECHINAという画像販売サイトが出処であることがわかりました。『イマジンチャイナ』……少しだけ雲行きが怪しくなってきました。

それでも虹のワンダーランドは存在する……。そう信じて、もうしばらく七彩山の姿を追いかけてみることにします。

すると様々なメディアで、七彩山、『張掖丹霞国家地質公園』が既に取り上げられていたことがわかりました。

In the Gansu province of China lies the Zhangye Danxia Landform, a beautiful expanse of land featuring naturally formed streaks of color. It’s hard to believe, but these images of the vast landscape with a brilliant array of colors are not Photoshopped. They naturally boast rich hues of red, green, and gold in addition to the normal rock pigments of brown, black, and white.

たとえばこの記事の写真は、虹色の七彩山に比べるとやや地味な印象です。それでも予告編などの映像に比べると、これらの写真はずいぶん色鮮やかに見えることでしょう。ちなみにこの記事の筆者は、「写真にはPhotoshopは使われていない」と豪語しています。安心しました。

とはいえやっぱり凄い。

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でも怪しい。

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確かに、これらの写真のあとに虹色の七彩山の写真を見ると、その鮮やかさは格別です。

やはり断トツ。

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しかしまた別の記事の筆者は、この虹色の七彩山について次のようにコメントしています。

In the northwestern Gansu province of China lies the Zhangye Danxia Landform Geological Park, a gorgeous expanse of land known for its rainbow-colored rock formations.Bands of fiery red, creamy orange, rich green, and bright yellow streak across the mountains, forming the most beautiful geological “layer cake” we’ve ever seen. … Although some of these photos may have gone through some post-processing to make the colors pop even more, there’s no denying the striking grandeur of the formations.

「中国の北西部、甘粛省にある張掖丹霞国家地質公園には、虹色の岩で知られる素晴らしい大地が広がっています。燃えるような赤、なめらかなオレンジ、豊かな緑、鮮やかな黄色の縞々が山々にまたがって、これまで見たなかで最も美しい、地質のレイヤーケーキ(スポンジの層にジャムやクリームなどを挟んだ洋菓子)を形作っています。」

そしてこう続けるのです。

「これらの写真の一部には、色をよりポップにするための加工が施されているかもしれませんが、地層の壮大な印象を否定するものではありません」

ついに画像加工の可能性が指摘されてしまいました。

加工の可能性あり。

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加工なし?

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かたや写真が加工された可能性に言及する者、かたや写真の加工はないと豪語する者、七彩山の写真をめぐってはふたつの言い分が存在するようです。しかし真実は藪の中とでも言いましょうか、ただ写真を見る限りではその真偽はつかめません。

疑わしきは罰せず。

でもこれはさすがに……。

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ワンダーランドに秘められた歴史

画像が加工されているかどうかで、七彩山の壮大さを否定できないこともまた事実です。
虹色の七彩山を追いかけているうちに、あのストライプや虹色の風景の秘密が浮かびあがってきました。

もともと七彩山、ひいては『張掖丹霞国家地質公園』は、『張掖丹霞地貌(ちょうえきたんかちぼう)』と呼ばれる、約510平方キロメートルにも及ぶ広大なカルスト地形の一部です。

丹霞地貌(=丹霞地形)とは、大部分が白亜紀の赤色砂岩と礫岩によってできた、地層がむき出しになった地形のことです。あのストライプは、長い時間をかけてできた地層の色だったのですね。また地層には様々な鉱石が含まれており、日光を浴びると、広大な丹霞地貌はその色を七色に変えるともいいます。虹色のワンダーランドとは、まさにそのことを指した言葉なのでしょう。

がっかりストライプでも歴史あり。

これはこれで美しい。

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スパルタスロンへの遥かなる道

中国語で『丹』は赤・朱色、『霞』は夕焼けなどで空や雲が紅く染まることを意味します。その名の通り、丹霞地貌は夕暮れ時こそ見どころで、夕陽に地層が美しく照らし出されるようです。現地の宿には、その瞬間を収めた写真がたくさん飾られているということで、ですから時間帯によっては、七彩山が本当に地上の虹のように見えることもあるのかもしれません。

こう見えてほしい。

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虹色のワンダーランド、天国のよう、という言葉に比べると見た目のギャップはあれど、現在の丹霞地貌を作り出した白亜紀という時代は、今から約1億4500万年前から6600万年前。地上を恐竜が跋扈し、海ではアンモナイトが進化を遂げていた時代です。彼らが歩きまわり、時には生命を賭けた戦いを繰り広げていた場所に、今でも毎日自然のスポットライトが当てられている……その美しさは、虹色のそれをしのぐのかもしれません。

REFERENCE:

These Colorful Mountains Look Too Beautiful To Be On Planet Earth

These Colorful Mountains Look Too Beautiful To Be On Planet Earth

http://www.viralnova.com/super-colorful-mountains/

Out of this world: The incredibly coloured rocky landscape that looks as though it’s been painted

http://www.dailymail.co.uk/news/article-2174115/Unique-rock-formations-China-look-drawn-sweeping-hand-impressionist-artist.html

日本航空ビジネスクラスで行く 東洋のグランドキャニオン、張掖丹霞地貌

https://www.feelabroad.co.jp/hikyo/tankachibou