ドラえもんの『分身ハンマー』のように、分身に全部を任せて本人はグータラ眠る。そんな夢のような事が可能になる未来が近々実現するかもしれません。

2015年3月31日、Googleがロボットに『個性』をダウンロードする技術の特許を取得しました。

Google has developed a system to allow robots to download new personalities online.

The system would allow machines to download them in a similar way to an app – and even have a different personality for each user.

The patent says that the personality could replicate the robot’s owner, ‘a deceased loved one,’ or ‘a celebrity,’

しかもその個性はロボット一体だけのものでなく、クラウド化し、他のロボットにも同じ個性を与える事が出来、また、所有者本人や死んだ大切な人、あるいは有名人の個性を複製出来るようになるともいうのです。

大切な人がロボットとなって帰ってくる。今まではSF映画の中だけの夢物語だと思っていましたが、Googleが特許を取るとなると、一気に現実味を帯びてきます。

鉄腕アトム

アトムは交通事故でなくなった天馬博士の息子を模して作られた。

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あなたのイチバン、きっと見つかる。ファミリー劇場

しかし、そもそもにして、その個性って一体なんぞや、という疑問が浮かびます。Google社の特許によると、個性を得ることによってロボットは笑ったり驚いたり、はたまた人を気遣ったりするようになるという事です。
うーん。
なんだか、個性というよりは感情と呼ぶのがふさわしいような表現です。それに、個性というのは個人が持つものなので、同じ個性を持った人が二人いたら、それを個性と呼ぶのは難しいのではないでしょうか。

個性(こせい)とは、個人や個体の持つ、それ特有の性質・特徴。特に個人のそれに関しては、パーソナリティと呼ばれる。

それも、Googleによると個性はクラウド化が可能、ということ。例えば、同じ形をしたロボットが同じ個性を持っていたら、それは個性と呼べないのではないでしょうか。

じゃあ、ロボットが個性を作ることなんか出来ないんじゃないの、ということで、少しロボットが個性を持つことが出来るかということについて考えてみたいと思います。

人でも姿が同じだと区別がつかない。

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chaukeedaar’s blog

ロボットの個性

大阪大学の教授に、石黒浩氏という方がいます。その方は以前、劇作家である平田オリザ氏と共に『働く私』というロボット演劇を作成しました。

『働く私』には二人の人間の他に二体のロボットが役者として出演します。二体のロボットはいずれも三菱重工業製作の『wakamaru』と呼ばれるロボットです。wakamaruは過去に一般家庭にも販売されていたことがある量産型の機械です。二体のwakamaruは『タケオ』『モモコ』とそれぞれが別々の衣装をまとい別々の名前を与えられた役を演じます。演劇のあらすじはここでは割愛しますが、劇を見た多くの人が少なくとも劇が行われている最中は役柄も衣装も違う二体のwakamaruを『タケオ』『モモコ』と峻別する事が出来たのではないかと思います。

それは個性と呼ぶにふさわしいものかもしれません。

wakamaru

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TalkTalk

しかし、もし衣装と役を交換して改めて演劇を行った場合、見た人は先ほどまでの『タケオ』と『モモコ』を逆に取り違えてしまうのではないでしょうか。

それに、『タケオ』も『モモコ』も舞台裏で操作されて動いているだけに過ぎず、そもそも人格を持っているとは言い難い存在です。

まだ、『働く私』では個性というものを得ることは難しいようです。

演劇『働く私』より

どっちがタケオでどっちがモモコ?

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YCAM 山口情報芸術センター – YCAMポータル

次に、AIBOについて考えてみましょう。AIBOはご存知の方も多いでしょうが、ソニーが1999年から2006年にかけて発売していた子犬型などのペットロボットです。AIBOはAIを搭載しており、また個々の人格をユーザが自らパラメータを操作してプログラムすることが出来ます。

これはかなり個性に近いと言えます。

AIBOはペットロボットであるので、ユーザは自分が持っているAIBOをよくよく観察しているはずです。なので、一緒に過ごしてきた中で生まれたハードウェア的な個性、例えば、右足の関節の動きが少し良くない、背中にちょっとした思い出の傷が付いている、なんてことにも気付いているでしょう。

ソフトウェアとハードウェアの両面からの個性。これはかなり個性的です。

思い出の傷を抱えた個性的なロボット

ネコ型だけど……。

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スコシフシギな世界-藤子・F・不二雄ブログ – 楽天ブログ

しかし、もし、別々のユーザが持っている全く同じパラメータを持った(つまり全く同じ脳を持った)二体のアイボのメモリースティック(脳)を交換したとしたら、どちらのユーザもそのAIBOを自分のAIBOと思うのではないでしょうか。一般的に心があるとされている脳は別の個体と差し替えられているにも関わらず、です。

ということはつまり、個性というのはハードウェアに依存するものなのでしょうか。

人の個性も危うい?

『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(以下、『GHOST IN THE SHELL』)という映画があります。1995年11月18日に公開された、原作:士郎正宗、監督:押井守による、日本のアニメーション映画です。(※この先、物語の核心的なネタバレが含まれております)

脳と脊髄の一部を除く全身を義体化した主人公の草薙素子は、映画の終盤で元々持っていた義体を捨て、新しい少女のような姿の義体へと移ります。ハードウェアに個性が依存するのならば、ハードウェアを交換する前と後の草薙素子は違う個性を持った存在なのでしょうか? もしかしたら、人も個性なるものを持つことが出来ないのかもしれません。

しかし、脳と脊髄は質量を持っているハードウェアの一つです。

じゃあやっぱりハードウェアって残ってるんじゃん、この脳と脊髄こそが個性なんだ、という結論は早計で、その脳と脊髄の中にはやっぱり記憶とか感情の発露のシステムを持ったソフトウェアが詰まっています。ハードウェアとソフトウェアが極限で切り離せない人間は、ソフトウェアとハードウェアの両面から個性を見る必要があるのかもしれません。

が、しかし、その切り離せないハードとソフトを切り離そうとする試みが現在、行われています。
そう、それが今回のGoogleの特許です。

頭と体を切り離される?

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クラウド化した個性は人類には理解できない個

クラウド化した個性をダウンロードしたロボットは、結局、同じ人格を持っているだけで、個性と呼ぶべきなのか曖昧なものしか持っていないように見えます。しかし、クラウド化した同じデータをダウンロードした別のハードウェアを持ったロボットが、別々の個体であると、どうやって決めることが出来るのでしょうか。

一つ一つのロボットを個体として見ずに、例えばそれを人間で言うところの手や足だと思ってみましょう。手や足は、個性を持つ個体ではなく、個性を持つ個体の一部です。同じようにクラウド化した『個性のような何か』は、手足のようにロボットを操っているだけという見方は出来ないでしょうか。そう考えた時、ソフトウェアとハードウェアを切り離す事の出来るクラウド化した『個性のような何か』は、個性を持った存在と考える事が出来るのではないでしょうか。

手足のように個性を操る。

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ニコニコニュース

ロボットは個性を持つ事が出来るかもしれません。しかし、それは、個性を複製された人、ひいては肉体と意識を切り離す事の出来ない有機生命体とは全く違った個性の形をとっているのかもしれないです。

REFERENCE:

Google patents system that could one day download the personality of a celebrity or even a deceased loved one to a ROBOT

Google patents system that could one day download the personality of a celebrity or even a deceased loved one to a ROBOT

http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3022251/Google-patents-download-robot-personalities-says-one-day-able-download-apps-replicate-celebrity-deceased-loved-one.html?ITO=1490&ns_mchannel=rss&ns_campaign=1490

鉄腕アトム HDリマスター版【セレクト】 || ファミリー劇場

http://www.fami-geki.com/detail/index.php?fami_id=01646

個性 – Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%80%8B%E6%80%A7

Anonymous vs. Illuminati – A Structural Comparison

https://chaukeedaar.wordpress.com/2011/03/15/anonymous-vs-illuminati-a-structural-comparison/

Robots gallery – Wakamaru

http://www.talktalk.co.uk/technology/galleries/view/technology/robots/browse/435468

YCAM 山口情報芸術センター – シアター: アンドロイド演劇「さようなら」/ロボット演劇「働く私」

http://www.ycam.jp/performingarts/2011/06/android-human-theater-robot-human-theater.html

ドラえもん、誕生日おめでとう~!! | スコシフシギな世界-藤子・F・不二雄ブログ – 楽天ブログ

http://plaza.rakuten.co.jp/neoreeves/diary/201009030000/

Scarlett Johansson Cast as Lead in American Ghost in the Shell Adaptation | The Mary Sue

http://www.themarysue.com/scarlett-johansson-ghost-in-the-shell-2/

シミュレーション仮説 – Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E4%BB%AE%E8%AA%AC

パペットマペット「中の人などいない」「脱皮できる」と主張 | ニコニコニュース

http://news.nicovideo.jp/watch/nw83144

鉄腕アトム – Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%89%84%E8%85%95%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%A0

GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊 – Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/GHOST_IN_THE_SHELL_/_%E6%94%BB%E6%AE%BB%E6%A9%9F%E5%8B%95%E9%9A%8A

AIBO – Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/AIBO