最近では移動型映画館、移動型美術館、移動型カフェなど、移動型ビジネスがWeb上やテレビのニュースなどで目につくようになりました。ロシアでは、電話一本で出張してきてくれる移動式オペラが話題になっています。

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テニ劇場

モスクワでもっとも奇妙な劇場プロジェクトはこれだ。「救急劇場車」なるものが、予約の数日後、観客の前に到来する(医療分野の救急車と違い、数分後というわけにはいかないが)。家の前に止まった「メルセデス」の劇場マイクロバスの中では、人形劇のオペラが始まる。

移動式オペラとは

1988年にモスクワに創設された、影絵劇や人形劇をする「テニ」劇場のプロジェクトです。2013年のロシアゴールデンマスク賞を受賞したこの移動式オペラは、マイクロバスを改造して劇場としており定員は3人だけ。外観は救急車風ですが、到着するまで数日はかかります。また、本物のオペラの上映時間は3時間程ですが、この移動式劇場ではたった50分で世界のクラシックオペラ5本を上映してしまいます。大国ロシアのダイナミックさを感じます。

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なぜか救急車風の劇場車。

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テニ劇場

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こちらはクリスマス仕様。

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開演を待つ人々。老若男女に大人気です。

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テニ劇場

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キャンドルライトで厳かな雰囲気を演出。

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人形はかなり精巧に作られています。

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お年寄りも大満足のご様子。

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テニ劇場

移動式オペラのルーツ

移動式オペラと言っても、そのアイデアは新しいものではありません。そのルーツは中世にまで遡ります。11世紀から17世紀にロシアで活躍した「スコモローフ」という芸人達。彼らはロシアの都市を移動しながら音楽を演奏したり演技をする事で、遊興、宴会、婚礼を盛り上げる事を生業としていました。

しかし、1648年にはスコモローフの活動を禁止する勅令が出されます。その背景には、異教的世界観を持つ彼らの一部がロシア貴族の恩恵を受け、キリスト教徒を脅かすような力を持ったことがあります。また、民衆との繋がりが強かったスコモローフには封建的な圧政に対して民衆蜂起に加わる者もいて、それも一つの要因となりました。

こうして彼らは急激に衰退しますが、その文化は現代のロシア文化にも多大な影響をもたらしています。

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スコモローフ

中世ロシアで活動した芸能人の呼び名である。複数形でスコモローヒ(Скоморохи)とも。日本語での翻訳として「放浪芸人」、「漂泊楽師」などがある。-Wikipedia

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Аполлинарий Михайлович Васнецов – Licensed under Public domain

日本の移動型映画館「MoMO」

移動型オペラのアイデアに近いものとして、日本には移動型映画館「MoMO(Movin’on Movin Oasis )」があります。13トンの大型トラックと超軽量素材のテントを用い、たった1時間のうちにわずか5名のスタッフにより組み立てられます。館内には120席あり、その座り心地は良く、映像も音響も一般の映画館に劣りません。2011年には震災で影響を受けた会津若松に移動し、「東北映画祭 in 松島」において4日間映画を上映し、被災者を励ましました。

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MoMO

巨大なトラックとテントを組み合わせることで、120席ものキャパシティを確保している。

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これら移動型のエンターテインメントには、過疎地の活性化や遠出が困難な高齢者の支援のほか、野外フェスティバル等とのコラボレーションも期待されます。実物よりも小さく迫力には欠ける移動式オペラですが、大国ロシアを巡りいつか海を越えて日本にも遊びに来てくれる事を期待します。

INFO:

テニ劇場

テニ劇場

ТЕНЬ
TEL:8-965-246-17-92