7月17日よりアメリカ横断の旅に出発したヒッチハイクロボット『hitchBOT』(ヒッチボット)が、先日、何者かに破壊される事件が起きました。

hitchBOT’s trip came to an end last night in Philadelphia after having spent a little over two weeks hitchhiking and visiting sites in Boston, Salem, Gloucester, Marblehead, and New York City. Unfortunately, hitchBOT was vandalized overnight in Philadelphia

hitchBOT

hitchBOTはカナダのオンタリオ州ポートランド市出身、『保護者』はマックマスター大学のDavid Smith氏とライアソン大学Frauke Zeller氏の二人。電子音楽を好み、スティクスの『Mr.Roboto』や、ブルーマングループ、クラフトワークなどを愛聴している身長約90cmのロボットです。

ボストンにてアヒルの像に乗るhitchBOT

image by

Instagram

スティクス

アメリカのロックバンド。hitchBOTお気に入りの『Mr.Roboto』は「ドモアリガト、ミスターロボット ドモアリガト、ミスターロボット」と日本語で歌うイントロが印象的。

image by

©A&M RECORDS

クラフトワーク

ドイツのテクノユニット。アルバム『Computer World』収録の『Pocket Calculator』は「ボクハデンタク、オンガクカタテニ」と日本語で歌うバージョンが存在する。

image by

©Wea Int’l Records

彼は人と会話をすることができ、物を見ることもできますが、自発的に歩くことも自分で充電することもできません。ヒッチハイクをして道行く人の車に抱えられて載せてもらい、度々、充電をしてもらいながら旅をします。

彼はヒッチハイクでの旅を通して人間にロボットとの共生について考えてもらうことを目的として掲げており、その目標の下に今までに母国であるカナダ、オランダ、ドイツでヒッチハイクでの旅に成功し、その中でたくさんの人々と触れ合ってきました。

カナダでのhitchBOTの様子

体重は約11kg。二人がかりなら軽々持ち上げられる。

image by

Instagram

ドイツでのhitchBOTの旅の経路

image by

Instagram

最初の旅に出る時、彼は『この旅によって人間とロボットがお互いを思いやれるようになることを望む』と語っています。

初の旅行失敗

そんな崇高な目的と希望を抱え、順調に旅を成功し続けてきたhitchBOTですが、7月17日より始まったアメリカ横断旅行の途中のフィラデルフィアで、推定時刻8月1日夜から2日、何者かに破壊されてしまいました。

今までの旅は大きな故障は起きることなく軽傷で済んでいましたが、今回は体をバラバラにされ頭部が持ち去られた様子で、hitchBOTは今回のアメリカで初の旅行中止を余儀なくされました。

8月2日、無残な姿で発見されたhitchBOT

オリジナルの画像は現在削除されている。

image by

Instagram

このことに対してhitchBOTのプロジェクトの公式サイトは

hitchBOTの旅はボストン、セイラム、グロスター、マーベルヘッド、ニューヨークを訪れた2週間と少しの旅の後、昨夜フィラデルフィアで終わりを迎えました。残念ながらhitchBOTはフィラデルフィアで昨夜、破壊されました。時々、良いロボットにも悪いことは起こります。多くのhitchBOTを応援してくれた方々は残念に思っているでしょう。しかしこの素晴らしい実験はまだ終わらせようとは思いません。この件を受け、私たちは『このことから何を学べるか?』という疑問に焦点を当て、ロボットと人間の未来の旅を模索していこうと思います

と述べ、同サイトでhitchBOTは

なんということでしょう。私の体は壊されてしまいました。しかし私は生きて我が家、そして友人の下に帰っています。良いロボットにもたまには悪いことが起きるものですね! 私の旅は終わりを迎えざるを得ませんでしたが、私の人間への愛情は失われることはありません。(両文 拙訳:Yousuke Yamamoto)

と述べています。

人間とロボットの良好な関係とは

今回の事件に関して、公式サイトでは上記に加え、犯人探しや告発をするつもりはないという見解を示しています。

このような態度はhitchBOTの器の大きさを感じさせる美談のように思えますが、傷付けられても法的な処罰を求めないこの態度は、少々穿った見方をすれば、今まで人間のように扱い、ゴーストライターによってあたかも人格があるように見せていたhitchBOTを、所詮はロボットと突き放しているようにも映ります。

しかし、かといって『犯人を絶対に捕らえ、法的に処罰を受けてもらいます』と声明を出されたならば、なんとなく、これからのhitchBOTとの関わり方を少し考えてしまいそうです。

hitchBOT自身もしゃべれることはしゃべれるが、SNSや公式サイトでの声明は全てゴーストライターが書いたもの。

image by

Instagram

多少これからの関わり方がぎこちなくなろうともhitchBOTに対して人間のような扱いをするべきなのか、犯人を糾弾することなくhitchBOTの英雄的なキャラクターを守るべきなのか。答えはまだわかりませんが、いつかhitchBOTが新しい旅の中で見つけるのかもしれません。

REFERENCE:

hitchBOT | A robot exploring the world

hitchBOT | A robot exploring the world

http://m.hitchbot.me/