人間一人になりたいと思う時、そう思うのはその時の気分がそうさせているのだと、私たちは考えることでしょう。しかしそれに異を唱える研究結果がでています。一人になりたいという感情は遺伝子がそうさせているというものです。

科学者の研究成果

今回北京大学の研究者らは、恋人に巡りあう機会に恵まれていると見られる中国の学生をターゲットにして調べ、彼らの毛髪サンプルを調べました。人間の細胞にくっついているセロトニン受容体5HT1Aが、遺伝の影響を受けて人によりタイプの違ったものを持っていることに着目しました。5HT1Aは体内セロトニンの情報を受取る役割をもつ重要な物質です。

これによると5HT1Aのある種のタイプをもつ人の方が別の一方をもつ人よりも恋人がいないという結果がでました。恋人ありの割合では、問題のタイプの方が39%に対し別の一方のタイプが50.4%という結果となりました。

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問題となっているある種のタイプの5HT1Aを持つ人はセロトニンの生成が少なく、そのため人に接しようとする時に心の中で障壁が作られてしまい、うつ病やノイローゼに苦しむ可能性が高いとされています。

研究が行われた北京大学

国家重点大学のひとつであり、中国の高等教育機関において最高峰の大学である。 –wikipedia

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5HT1Aの構造

上図はセロトニンの情報を受取る役割をもつGタンパク質共益受容体と呼ばれる。5HT1Aは数種類あるGタンパク質共益受容体の一つである。タンパク質が結合して紐状になった構造をしている。中央の薄い線は細胞の膜を表している。5HT1Aが細胞の内外を何度もいったりきたりしているのが特徴。

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人が孤独になるのは遺伝子のせい?

孤独の感覚は脳内のセロトニンの分泌量が少ないことによって起こると言われています。例えば大切な人が亡くなるなどの理由によって孤独を感じる、または自分ではよくわからないがとにかく孤独を感じるといったことがあります。これらが起こる時脳内ではセロトニンの分泌が少なくなっていて孤独だと感じます。
体の作りのせいでセロトニンを分泌しているのですから、何かしらの遺伝が影響をおよぼしてセロトニン分泌量に違いがあってもおかしくはないとはいえます。科学者らの研究内容には一定の価値があるといえそうです。

解明されたのか

注意すべきこととして研究者の言及によると、社会的適応性がそのまま子へ遺伝する訳ではないということです。遺伝子がなんらかの影響を与える場合であっても、関係を作る上での環境または本人の動機や意思の影響の方が上回り、ほとんどの場合それらの役割は非常に小さいとしています。

環境に恵まれていれば孤独にならない。

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しかしながら一般的な理解では通常遺伝子はDNAのことを指し、5HT1Aを含みはしません。今回の研究ではDNAの中のどの因子が人を孤独にさせているかまで判明したわけではありません。5HT1Aのタイプが遺伝によって影響を受けるなら、DNAと5HT1Aの関連性について明らかにする必要があります。何かしらの関係はあるかもしれないが、十分に解明された段階ではないといえず、少し冷静にみるべきでしょう。そして願わくば600人という数ではなくもっと大きな分母数での検証を求めたいところです。

この研究をより深く進めることで、今後遺伝の影響でなぜどのように孤独につながっていくのか明確にされていくかもしれません。

REFERENCE:

The association between romantic relationship status and 5-HT1A gene in young adults

The association between romantic relationship status and 5-HT1A gene in young adults

Nature Publishing Group