決してマネしないでください。LSDなど、薬物を使用せずに幻覚を見る方法が発見されました。その方法は、ただ『暗闇で見つめ合う』だけです。

A psychologist based in Italy says he has found a simple way to induce in healthy people an altered state of consciousness – simply get two individuals to look into each other’s eyes for 10 minutes while they are sitting in a dimly lit room.

方法

方法を発見したのはウルビーノ大学のジョバンニ・カプート氏。彼は20人の被験者に対して『これは目を開いた状態での瞑想的実験である』と、実験の内容を明らかにしないままに被験者を二人組にしてそれぞれのペアを薄暗い部屋に入れました。

部屋は小さく、イスが1メートルほどの距離に向かい合って置かれています。部屋の壁は白く、着席すると相手の顔の輪郭などはわかるが色などは判別できない、という程度の薄暗さです。カプート氏は、二人にそのまま10分間、お互いの目を見つめ合ってもらいました。

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結果

狭く暗い部屋、見つめ合う二人、と言われるとなんだか恋が芽生えそうなシチュエーションですが、実際には嫌悪さえ覚えかねない結果が出ました。

カプート氏は被験者らに実験の後で『解離性』『相手の顔の変化』についての質問をしました。回答によれば、『解離性』についての質問では『色強度が減少する』『音の大きさの違和感』『意識が朦朧とする』『時間が引き延ばされたと感じる』といった変化が見られたと答え、『相手の顔の変化』については被験者のうち90%が10分間の相手の凝視の間に相手の顔が変化するように見えたと答え、『自分の顔』『モンスター』『猫』『家族』『死んだ家族』『』などに見えるということがあったと述べました。

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見つめ合っているうちに少しずつ……。

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この効果は対照実験(被験者の半数はイスが壁側を向いた部屋に通され、10分間壁を見つめていた)と比較して最大5点の質問で平均2.4ポイントの上昇、つまり壁を見ているグループよりも遥かに顔(対照実験では自分の顔)の変化が著しかったことがわかりました。この結果は以前におこなった類似実験、『自分の顔を10分間じっと見つめる』というものよりも効果が高かった、とのことです。

この幻覚がどのような理由により起こるかは定かではありませんが、研究者は解離、あるいは離脱的な状態から現実に戻った時の揺り戻しのようなもの、あるいは相手の顔がよく見えないことから一種の脳の補間のような現象が起きているのではないかと考えています。

創作に応用可能?

ところで幻覚といえば、古くから芸術などの創作の素となっていることが知られています。

たとえば、かのAppleの元会長スティーブ・ジョブズは『LSDの摂取は自分の人生で体験したことの中で二、三本の指に入るほど重要な体験であった』と述べました。

他にもウォルト・ディズニーもかつて薬物を摂取し、その幻覚の最中に見えた生き物がミッキーマウスであると言われています。出典が不明瞭なので事実かどうかはわかりませんが、彼の『ダンボ』内のピンク色のゾウがグニャグニャ曲がって蛇になったりピラミッドになったりする幻覚シーンを見れば『この人は何か危ない薬物に対して深い造詣か興味があるのだろうなぁ』と思ってしまうことは仕方のないことと思います。

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『ピンク色のゾウ』はアルコールやドラッグの酩酊時に見る幻覚の象徴として知られる。

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またヒッピームーブメントが起きた60年代後期から70年代初期にかけてはサイケデリック・ロックというジャンルが流行り、あのビートルズでさえも『Lucy in the Sky with Diamonds』という躁と鬱を行ったり来たりするような少々危ない楽曲を制作しています。

このように偉大なクリエイターとLSD、あるいは幻覚は切っても切れない関係にあります。コンピュータ、アニメーション、音楽と第一線どころか各分野の『偉大な○○第一位』に選ばれてもさっぱりおかしくない人々が、みんな幻覚を見てトリップしていたと言われると、幻覚には創作力をもたらす何かが隠されていると考えるのも仕方がないことでしょう。

であれば、今回の方法を使えば薬を使わずに容易に創作力を上げることができるのでしょうか。

LSDによってもたらされる幻覚はどのようなものか見てみようと思います。

・知覚の変化(知覚が先鋭化し、遠近の感覚がゆがみ、色強度の上昇)
・感情の変化(人の表情や態度、周囲の環境の変化に鋭敏な反応を起こす)
・意識の変化(自分と周囲との境界が完全に溶解し、動物や物、宇宙全体と同一化したように感じられる)
LSD (薬物) – Wikipedia

『色強度の上昇』に関しては真逆の結果が出ていますが、どことなくLSDの効果と似ていないこともありません。しかし、記者の印象を述べるのならば『死んだ家族』や『モンスター』に相手が見えたという言葉からどちらかといえばLSDによるバッドトリップに近い体験を被験者はしているように感じられます。

バッドトリップ
LSDなどの幻覚剤を利用した時に出る悪症状。誰かが自分を見張っているような気がする、地獄に落ちてそこから永久に抜け出せないという妄念に駆られる、『物』という概念がわからなくなる、一緒にいる相手が自分を殺そうとしている気がする等、様々な症状がある。

ミュージシャンの大槻ケンヂはタイで食べたオムレツにマジックマッシュルームが入っており、その幻覚の最中にバッドトリップを起こし、PTSDを発症しています。それに、マジックマッシュルームは2002年までは日本でも合法な幻覚剤でしたが、中毒性もさることながら幻覚を見たことで飛び降り自殺などを起こすなどの幻覚そのものの危険性から違法化されています。そもそも薬以前に、幻覚を見る行為自体、やめておいたた方がよさそうです。

そもそも、こんな危ない実験に付き合ってくれる友人がもしいたとして、その過程で友人が豚に見えたなんてことになったら友情にヒビが入りかねません。再度になりますが、決してマネしないようお願いします

REFERENCE:

BPS Research Digest: Weird things start to happen when you stare into someone’s eyes for 10 minutes

BPS Research Digest: Weird things start to happen when you stare into someone’s eyes for 10 minutes

http://digest.bps.org.uk/2015/08/weird-things-start-to-happen-when-you.html

Staring into someone’s eyes for 10 minutes induces an altered state of consciousness – ScienceAlert

http://www.sciencealert.com/staring-into-someone-s-eyes-for-10-minutes-induces-an-altered-state-of-consciousness

Illusory Scenes Fade into and out of View – Scientific American

http://www.scientificamerican.com/article/illusory-scenes-fade-in-out-view/?page=2

LSD (薬物) – Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/LSD_(薬物)

マジックマッシュルーム – Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%B8%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%A0

Steve Jobs’ College Friend On Taking LSD With Him – Business Insider

http://uk.businessinsider.com/steve-jobs-lsd-daniel-kottke-cnn-2015-1

ヒッピー – Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%83%E3%83%94%E3%83%BC

大槻ケンヂ – Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%A7%BB%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%83%82