中国のトイレに革命が起こっている。中国政府が衛生状態の改善および環境廃棄物の削減のため、公衆トイレの見直しを始めたのだ。向こう3年間に57,000のトイレが建設・改築される予定であり、なかには最新のテクノロジーを取り入れたトイレも造られる予定になっている。

先日、その第1弾となるトイレが北京市南西・房山区に誕生した。しかしこのトイレ、中国どころか世界の常識すら覆す次世代トイレなのである。

中国トイレ革命

世界トイレの日
11月19日。生活のなかにトイレを持つことができず、水と衛生に関する人権が保証されていない人々への意識を高めるため、2013年に国連総会が決定したもの。

2015年11月19日。この「世界トイレの日」に、次世代トイレ『第5空間』はオープンした。WHO(世界保健機関)によると、中国は1990年から2010年までに約5.93億人の国民のためトイレの改善を行ってきたという。しかし1,400万人は未だトイレのない生活を送っており、課題は残されている状況だ。そんな中、『第5空間』は華々しくデビューを飾ったのである。

『第5空間』

もはや「トイレ」や「WC」という表記ですらない。

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フロアマップ

トイレにマップが必要かとも思うが、エリアは全部で11に分けられている。ダンジョンか?

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まずは『第5空間』の誇る最新のトイレをご紹介しよう。便器はこれまで多かった和式ではなく洋式を採用しており、高速洗浄機能を備えている。洗面台にはユリの香りの石鹸が置かれ、ウインドウにはアロエが並び、そしてフロア全体にはチェロの音色が響くという。しかしなんといっても目玉は、それぞれの便器や個室に備え付けられたテレビだろう。そこまで暇をつぶしたいかは疑問だが、男性の場合、少なくとも用を足しているときに隣を気にしなくてもよさそうだ。

便器にテレビ

男性トイレ、女性トイレ、男女兼用トイレがある。

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しかし、驚くべきはテレビだけではない。『第5空間』ではWi-Fiを通じてインターネットを利用することができるほか、自動販売機で食べ物・飲み物も購入することができる。また銀行ATMも設置されており、なんと専用の機械で光熱費などの支払いも可能なのである。さらにトイレを利用している間、電気自動車を充電することもできるのだ。

施設を管理するチャン・ミンさんは、新たなトイレはかつてに比べて大きく改善したと述べている。いわく「十分に清潔で、職員のための更衣室やシャワールームまである」とか。本当に公衆トイレなのか?

自動販売機

日本でも公衆トイレに自販機はそうそうない。

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光熱費も支払える

日本では馴染みのない機械。

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人々の声

『第5空間』?

もはや、いわゆるトイレではなく高速道路のサービスエリアをイメージしたほうがわかりやすいかもしれない。しかし、そもそもこの『第5空間』、私たちのイメージする「公衆トイレ」ではないという可能性もありそうだ。

なぜ、こんなトイレを造ろうと考えたのか? 設計者は、この場所が住民たちの『広場』になるように設計したという。また北京環境衛生技術チームの担当者も、『第5空間』というネーミングについて、この新たな公衆トイレが「家庭でもなく、職場でもなく、レジャー施設でもなく、ウェブの仮想空間でもない『第5空間』になることを願ったもの」と述べている。

※トイレです

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※トイレです

多目的トイレは日本のものに近い。

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賛否両論

もっとも、利用者や国民の賛否は真っ二つに分かれている。衛生面に配慮されてこなかった従来のトイレと比較して進歩を評価する者もいる一方、「政府は金の使い道が分かっていない」「これを造る代わりに、なぜ税金を貧しい地域のために使わないのか」という者もいるのが現状だ。また、トイレで不必要な時間を使ってしまうという声や、サービスがやたら充実したことでトイレの回転率が悪くなっているという指摘もある。

しかし担当者は、まだ現状の『第5空間』に満足しているわけではないようだ。なにやら現在は、血圧や心拍数の測定、尿検査などの基本的な身体検査ができるトイレを目指しているという。担当者は「日本にならって」と述べているが、果たして日本のどこでそんなトイレを見たのだろうか……。

サービスエリアのトイレ(日本)

日本人でも驚くほど美しかったりする。

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My Favorite Pen (万年筆 いろいろ)

ともあれ、『第5空間』はこのあと北京市郊外に続々と建設予定だ。その後は中国の各都市に展開していくというが、果たしてこの次世代トイレは定着するのだろうか。もし中国に出かけることがあったら、観光ついでに是非ご利用いただきたい。

REFERENCE:

Wi-Fi, ATMs and turbo-flush toilets: China reveals its latest high-tech restrooms could soon become commonplace

Wi-Fi, ATMs and turbo-flush toilets: China reveals its latest high-tech restrooms could soon become commonplace

http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3364908/Wi-Fi-ATMs-turbo-flush-toilets-China-reveals-latest-high-tech-restrooms-soon-commonplace.html

Wi-Fi, A.T.M.s and Turbo-Flush Toilets Highlight China’s New Public Restrooms

http://www.nytimes.com/2015/12/17/world/asia/china-toilets-fangshan-restrooms.html

“第五空间”公厕亮相北京 可买热饮、取款、缴水电费

http://travel.people.com.cn/n/2015/1119/c41570-27834090.html

World Toilet Day Official | A day to think and take action

http://www.worldtoiletday.info/