『気分屋』とよばれる人がいる。ことあるごとに気分が変わり、どこに地雷があるのかもわからない……。しかし、そもそも人々は、無意識のうちに『気分』を変えることで、世界の変化に対応しているのかもしれない

気分の変化はなににつながっているのか?

この問いに答えるのは、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのエラン・エルダー氏だ。『気分』について彼は『リスク』という観点から説明する。「タイミングに恵まれ、自分の機嫌もいい、そして自分が報われるかもしれないと思ったとき、私たちは高いリスクを選択する」。しかしタイミングが悪いとき、私たちは機嫌を損ねることで自らのエネルギーを節約しているという。

ギャンブラーの例

「勝てる気がする」ときのギャンブラーは、より大きなリスクを選択することになるという。

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動物はフルーツで不機嫌になる

もっとも、この傾向は人間だけにみられるものではないようだ。たとえばエラン氏は、サルをはじめとした動物たちの『気分』は、ひとつの木にフルーツがいくつか見つかるだけで良くなると述べている。フルーツを見つけることで動物たちはご機嫌になり「まだフルーツはたくさんある」と思えるのである。すると彼らは実際にほかの木にも登りそこで新たなフルーツを手にするだろう。

もちろんフルーツは動物たちの『気分』にしたがって実るものではない。しかしエラン氏は動物たちの機嫌が良くなることは、むしろ日光や降雨によりフルーツが豊富に実ることによって起きているのではないか……という。そもそも報酬(フルーツ)を得られる見込みが大きくなることで、期待そのものが大きくなり機嫌がよくなる、というのである。

エラン氏によればこの作用は自然界において重要な役割を果たしているという。フルーツが豊富にあるとき動物は機嫌がよくなり、より多くのフルーツを穫る。しかしフルーツが不足している場合、彼らは落ち込んだり機嫌を悪くしたりして、フルーツをあまり穫らなくなるというわけだ。

冬に落ち込む動物たち

冬には動物たちの気分も落ち込み、行動が抑制されるという。その実態には、彼らが報酬を現実的に得づらいこと、あらゆる出来事に期待しなくなることが挙げられる。

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気まぐれは環境のせい?

私たちは日々、まったくもって根拠のない自信を持ったり根拠のない不安に襲われることがあるだろう。家で、職場で、遊びの場で、ひょんなことから感情は揺れ動いている。ときに自分を過信したり、十分でないと思ったり……。そうした日常の『気まぐれ』は、じつは自分自身の内部ではなく、世界という環境の変化によってもたらされているのかもしれない。

少し視野を広げて考えるならば、冬がやってくるとなんだか気持ちが落ち込む……という人もいるだろう。これは『冬季うつ』と呼ばれるもので、日照時間が短くなることから、セロトニンの分泌量が減ることにより起きるものである。動物の『気分』とフルーツの量との関係とは異なるが、これも『気分』が環境によって左右されているという意味では同じ現象だといえる。

『冬季うつ』にはバナナ

セロトニンを生成するための必須アミノ酸、トリプトファンが多く含まれている。

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ほんの些細な感情の機微で、私たちは今日これから何をするかを簡単に変えてしまう。しかも自分のスキルや地位などにかぎらず、あらゆることには無根拠な自信や不安がつきまとうものだ。しかし、それらは環境という見えざる手によってコントロールされているのかもしれない。ならば私たちは、この『気分』という曖昧なものと、どのように付き合っていけばよいのだろうか? 環境の指示を受けて『気分』に正直になるべきか、それとも『気分』はなるべく切り離すべきか……。

男女関係の例

『気分』はだいたい勘違いで終わりがち(あくまで記者の例)。

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REFERENCE:

Mood swings are actually a good thing: Sudden changes in emotion may help us adapt to an ever changing world

Mood swings are actually a good thing: Sudden changes in emotion may help us adapt to an ever changing world

http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3302269/Mood-swings-actually-good-thing-Sudden-changes-emotion-help-adapt-changing-world.html