ビートルズの楽曲をメドレー形式で叩いたオーストラリア在住の男性の動画が話題になっている。

メドレーでビートルズの歴史を追う

ビートルズといえば知らぬ人はいないほどの人気バンド。結成直後から爆発的な人気を誇り結成二年後には彼らが主演の映画が作られライブをすれば観客が興奮のあまりに失神したほどだ。実質上の解散から半世紀近くが経った今も新たにファンを生み出しており、つい先日も英米のチャートで一位を取ったビートルズの楽曲を収めた『ビートルズ1』のデラックス・エディション『ビートルズ1+』が発売されたばかりだ。

この動画はそんなビートルズの楽曲のうちの71曲をオーストラリア在住のKye Smith氏が約5分のメドレー形式にしてそのドラムを全て自分で叩きカメラに収めた動画だ。

ホテルの屋上での撮影

この動画はただのメドレー演奏でなく映像の面でも趣向を凝らしている。

まず演奏している場所はホテルの屋上。このためにSmith氏はドラムセットやカメラを持って7階あるホテルをわざわざ階段で昇ったらしい。

動画を再生した最初のカットから空中からの撮影だ、と思えば演奏が始まった途端に演奏者の正面からのカットに切り替わる。動画を巻き戻して見ればわかるが上空から他にカメラがあるようには見えない。

そこからさらに演奏を見ていると左後方、遠景、右手元、左手前からゆっくりと回りこむようなカットと実に様々なアングルから撮影されていることがわかる、が、もちろんそのどのカットにも他のカメラは映っていない。つまりこれはSmith氏が撮影のためにカメラのアングルを変えて何度も同じ演奏を繰り返したことを意味する。もちろん演奏に不満があったために何度もリテイクを撮ることは普通にあることが、映像のために何度もテイクを(しかも空撮までして)撮るのはカバーや『叩いてみた』ではなくもはやPVの域だ。

無題

賑やかなサビの『Lucy In The Sky With Diamonds』から『A Day In The Life』に切り替わる瞬間に少し遠くから背後を映すカットに切り替わる瞬間などとても気が利いている。

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アイドルからアーティストへ

また、メドレーの曲順はリリースされた年代順になっており、故にビートルズの楽曲の歴史を追う形になっている。

ファーストシングル『Love Me Do』から始まり『Please Please Me』『She Loves You』『I Want To Hold Your Hand』『Can’t Buy Me Love』『Hard Days Night』『Help!』『Yesterday』と誰もが一度は耳にしたことがあるナンバーが並ぶ。この時期までのビートルズは『Help!』の邦題が『4人はアイドル』であったことからわかるように非常に良質なポップスだ。しかしそこからインドの楽器シタールを使った『Norwegian Wood』、ビートルズが演奏をしない『Eleanor Rigby』、不思議な音像の『Strawberry Fields Forever』と徐々に曲が実験的な方向へ向かい、アイドルからアーティストへと変化していく様子を辿ることができる。

来日も?

youtubeのSmith氏のアカウントには、他にもGreen DayやBlink-182、The Offspringなどの楽曲のメドレーもアップロードされている。これらの動画はビートルズとは彼の自宅スタジオで演奏されているようだが、壁一面に貼られたアーティストのポスターを見ると上記のアーティストに加えMe First And The Gimme GimmesやSum41などの名前が見られ、かなりのパンクやメロコア好きの青年であることが予想される。

実際、彼のFacebookで今月23日に幕張メッセで開催されるアメリカのパンクインディーズレーベル『Fat Wreck Chords』の25周年イベントに参加する旨を書いている。ただ、参加するといっても出演者ではなく観客として、のようだ。

Smith氏もバンドをやっているようだが、来日の予定もなく、メドレー形式のバンド演奏をおこなっている様子はない。もしバンド全体でビートルズのメドレーを演奏することとなった暁には是非とも来日して日本武道館で演奏をしてもらいたい。五分で。