今年もクリスマスが無事に終わった。しかし記者の場合、当日こそ「メリー・クリスマス」とは言ってみたものの、心中は穏やかでなかった。『浮かれている』というほかない街の気分、道行くカップルや家族連れ……。それ自体はもちろん喜ばしいのだが、街に繰り出そうものなら、その気分にふさわしくない下品な言葉が口をつきそうになるからだ。

この気持ちを共有できる人々と、もうひとつ共有しておきたいニュースがある。ある心理学者の研究によれば、汚い言葉をよく使う者ほど語彙力が高いかもしれないというのだ。クリスマスを呪いながら過ごした人々には朗報である。

A new study has found that those who have a healthy repertoire of curse words at their disposal are more likely to have a richer vocabulary than those who don’t.

心理学者のクリスティン・ジェイ氏らは、『汚い言葉』と『語彙力』の関係を研究するために2つの実験に取り組んでいる。18~22歳の参加者43名(うち30名が女性)に、汚い言葉・下品な言葉を60秒間で思いつく限り暗唱してもらったのだ。つぎに彼らは、同じく動物の名前を60秒間で暗唱している。また別の実験では、同様に18~22歳の参加者49名(うち34名が女性)が、汚い言葉と動物の名前をそれぞれ60秒間でなるべく多く書くよう求められた。

動物の名前

語彙力全般の指標として選ばれたという。

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実験の結果、じつに533個もの汚い言葉が参加者から飛び出したという。具体的にどんなものが出てきたかは……こういった場で直接書くことすら憚られる言葉もあるので日本語訳は割愛したい(どうしても気になる方は、たとえば“cum dumpster”や“ass pirate”で調べてみてほしい)

しかしジェイ氏によれば、いずれにしても汚い言葉の数々は、それ自体が語彙力の乏しさを示すものではないという。実験では、汚い言葉に関する語彙が多いほどほかの語彙も多いことがわかっているのだ。また、性別によってその結果に大きな差が出ることもなかったという。

ジェイ氏らはこう結論づけている。「汚い言葉に関する語彙は、話し手の『不足』を補うものではなく、むしろ健全な語彙力の指標なのだと考えられる。汚い言葉を使う者も、一般的な言語表現はもちろん言葉の微細な違いを理解しているのだ。そのことは、彼らに語彙力を含めた言語の知識が足りないことではなく、むしろ語彙力がきちんと存在することを示している」

全部わかった上で言っている?

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言いかえれば、汚い言葉に関する語彙の多さは豊かな語彙力の一角だというわけである。しかし、そもそも今回の研究はサンプル数が少ないという指摘もあり、また汚い言葉と動物の名前だけを挙げさせて比較する方法にも無理があるだろう。研究やその方法自体に、どこまで信用に足るものか疑う余地があるといってよさそうだ。今後行われるだろう、より精密な調査に期待したいところである。

しかしこの研究から、汚い言葉こそが話し手の複雑な内面を表現しているのかもしれない、という仮説を立てることはできるだろう。彼らがあらゆる表現を本当に理解しているならば、汚い言葉もまた彼らにとっての『細やかな表現』だと言えるはずなのだ。この仮説も飛躍したものであることに間違いはないが、しかし我々はそういった局面を知っているのである。

「クリスマスはクソ」「カップル絶滅しろ」……

その心中の複雑さたるや。

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REFERENCE:

People who curse a lot have better vocabularies than those who don’t, study finds

People who curse a lot have better vocabularies than those who don’t, study finds

http://www.sciencealert.com/people-who-curse-a-lot-have-better-vocabularies-than-those-who-don-t-study-finds