時は幕末、ペリーの来航により、200年以上に渡った日本の鎖国時代はついに終わりを迎えました。その頃ひっそりと日本に持ち込まれたのが、現在では国民食といっていいほど親しまれているカレーです。その後カレーは日本人にたいへん愛され、カレーうどんやカレーコロッケなど、インドとは異なる方法で独自に進化を遂げてきました。

そんなカレーがなんと悪い思い出を消去してくれるという実験結果が、ニューヨーク市立大学の研究者たちによって発表されました。

カレーライス。

超おいしそう。

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E・レシピ

スパイスと記憶

今回、悪い思い出を消去する効果が認められたのは、厳密にはカレーそのものではなく、スパイスとして含まれるターメリック(ウコン)の、クルクミンという成分です。

実験の結果、このクルクミンに、長く保持している恐ろしい記憶を消去する効果があることがわかりました。また、恐怖を新たに記憶として定着させないようにする効果も確認されています。

ターメリック。

ウコンの粉末。

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九州セイロンインターナショナル

研究リーダーのグレン・シェーフ氏は、「クルクミンを摂ることは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や、恐ろしい記憶による精神の不調に苦しむ人々のためになるかもしれない」と述べています。しかし彼も、なぜクルクミンが恐ろしい記憶のみを取り除けるのかはわからないようで、この件にはさらなる研究が必要だと述べています。出来事の記憶は残ったまま、『恐ろしい』という側面だけが取り除かれている可能性もあるのかもしれません。

万能薬ターメリック

クルクミンが含まれるターメリック(ウコン)は、これまでにも多くの効能が認められています。万能すぎてもはや劇薬、その効能の一端をここでご紹介しましょう。

有名なのは二日酔いの対策に用いられる例で、飲酒の約1時間前に服用することで効果を得ることができます。クルクミンは肝臓の解毒機能を高め、また胆汁の分泌を活性化させる機能をもっているのです。また、胆汁を分泌してコレステロール値を下げる、脳機能を活性化させる効果があることもわかっています。

『第10回カレー再発見フォーラム』の様子。

茂木健一郎氏も登壇。

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サーチナ

また、消化管から吸収されたクルクミンは、全身の血管、筋肉、消化管、心臓、脳などに到達すると、そこで発生している炎症を抑えたり、また酸化を抑制します。アレルギーや胃潰瘍、がん、うつ病など、多岐にわたって効果があり、また美肌効果も期待できるともいわれています。

日頃からお世話になっている人も多いはず。

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ハウスウェルネスフーズ

何を言っているの?

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Yahoo!知恵袋

しかし問題が……

しかし、そんなクルクミンにも弱点があります。

驚くべき効能を持つにもかかわらず、体内に非常に吸収されにくいのです。水に溶けにくいため、体内への吸収量は摂取量の0.1%以下だという研究報告もあるようです。ターメリックに含まれるクルクミンが3〜5%ですから、人間が利用できるのは本当にごくわずかだというわけです。悪い思い出を消すために、一体どれだけのカレーが必要なのでしょうか……。

黒胡椒と一緒に摂取すると効果的とか。

クルクミンは脂には溶ける。

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A Di Maria & Son

また、クルクミンを含むターメリックには牛レバーと同等の鉄分が含まれており、肝障害をすでに持っている人が摂取しすぎると非常に危険だという事例も報告されています。思い出どころではありません。

ターメリックライス。

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E・レシピ

こちらはサフランライス。

ターメリックライスとはまるで別物なのでご注意を。

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たべごころ

ウコンを直接食べるのは?

とはいえ、その有用さが実証されているターメリックですから、直にウコンを摂取したりサプリメントを服用するのも必ずしも悪いことではありません。しかし注意しなければならないのは、必ずしも『ターメリック=ウコン』ではないということです。

ウコンには、秋ウコンと春ウコン、紫ウコンなどがあります。『ターメリック』と呼ばれるのは、秋ウコンのみなのです。

秋ウコンはカレーやたくあん(着色料として)にも使われる、いわゆる食用に適したウコンで、独特の香りはややあるものの、苦味はほとんどありません。食品にもサプリメントにも使うことのできる万能型といっていいかもしれません。

秋ウコン。

内部がオレンジ色。

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ウコンサプリメントランキング

一方で春ウコンは、その効果は高いものの、苦味が強く料理には使えません。日本では江戸時代に生薬として重用されたようですが、その後、存在感は秋ウコンの前に霞んでしまいました。また、紫ウコンは別名をガジュツといい、ピロリ菌の除去などに効果が高いようです。英語ではホワイトターメリックとも呼ばれますが、クルクミンはほとんど含まれていません。

春ウコン。

内部が鮮やかな黄色。

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紫ウコン。

その名の通り紫色。

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薬も過ぎれば毒となる、とはよく言いますが、いかに効能が高いとはいえウコンの過剰摂取は禁物です。服用される際は、用法用量を守って、正しくお使いになることをお薦めします。悪い思い出を消してくれる効果については、まだ研究が必要だともいいますし……。

せっかくならおいしく食べたい。

きっといい思い出になるはず。

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Getty Images

REFERENCE:

Could curry banish bad memories? Turmeric prevents fear being stored in the brain, scientists claim

Could curry banish bad memories? Turmeric prevents fear being stored in the brain, scientists claim

http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2916435/Could-curry-banish-bad-memories-Turmeric-prevents-fear-stored-brain-scientists-claim.html

A Diet Enriched with Curcumin Impairs Newly Acquired and Reactivated Fear Memories.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25430781

セラクルミンMDX

http://www.1ginzaclinic.com/curcumin/theracurmin-MDX.html