今年もこの季節がやってきました。サマージャンボ宝くじです。今年は1等前後賞あわせて7億円、果たしてだれの手に渡るのでしょうか? 月末いっぱいまで買うことができますので、もし興味のある方はぜひ買ってみるのもいいでしょう……。

そう言いたいところではありますが、もちろんそうそう当たるものではありません。けれども、買わなければ当たらない、しかし当たらなくても損をしたくない、というのが本当のところです。もし宝くじに外れたとして、『損をしない』方法などというものは存在するのでしょうか?

まずはリスクを把握する

『外れても損をしない方法』のまえに、まずはそのリスクを冷静に考える必要があるでしょう。本当に1枚だけ買う人は少ないとはいえ、1枚300円から挑戦できるのが宝くじのメリットです。しかし、実際のリスクはどのようになっているのでしょうか。

還元率から考える

当せん金付証票法
第5条 第5条 当せん金付証票の当せん金品の金額又は価格の総額は、その発売総額の5割に相当する額(加算型当せん金付証票にあつては、その額に加筆金(第2条第2項の加筆金をいう。以下同じ。)の額を加えた額)をこえてはならない。

この法律は主に宝くじの販売などを規制するもので、したがって当せん金は、この法律に従うかたちで設定されています。宝くじが発表している「収益金の活用内容」によれば、収益金の46.5%が当せん金として支払われているといいます(平成25年度)。すなわち、1枚300円のうち約139円が当せん金として使われているのです。この時点で割に合わない、と考える人もいるでしょう。

競馬・競輪・競艇などの還元率は70%を超えている。

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期待値から考える

では、実際に宝くじを1枚買ってみたとして、そのとき返ってくる金額の期待値はどれだけでしょうか? 今回は、現在発売されている「サマージャンボ宝くじ2015」を例にとって計算してみることにしましょう。

「サマージャンボ宝くじ2015」当せん金・本数
1等 5億円×23本
1等前後賞 1億円×46本
1等組違い賞 10万円×2,277本
2等 1,000万円×92本
3等 10万円×2万3千本
4等 3,000円×23万本
5等 300円×230万本

期待値とは

確率現象の結果が数値で表される場合、1回の試行で期待される数値の大きさ。

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宝くじ公式サイト

今回の「サマージャンボ宝くじ2015」では、合計で23ユニット(2.3億枚、690億円)の宝くじが販売される予定です。これに対し、当せん金の総額は209億2770万円ですから、209億2770万÷690億=0.3033より、宝くじを1枚買ったときに返ってくる金額の期待値は300×0.3033=90.99円となります。完全に持っていかれています

こうして現実的に考えてみると、もはや宝くじは『ほとんど損するギャンブル』と呼んですらいいのかもしれません。少なくとも、決して『投資』と思ってはいけないでしょう。改めてここから『宝くじを買って損しない方法』を考える……。なんだか気の遠くなるような話です。

娯楽としての宝くじ

しかし、宝くじの当たる確率の低さ、その現実の厳しさは、実際にデータをあたってみるまでもありません。むしろよく買う人ほど、その当たらなさを経験からよく知っていることでしょう。しかし、それでも買ってしまうのは、宝くじが娯楽としての性質を強くもっているからだといえるはずです。

平成14~26年度の調査では、年末ジャンボ宝くじの購入理由に『夢を買う』と述べた人がつねに全体の半数以上を占めています。『夢』とは、「もし高額当せんしたら○○を買う」といった積極的に膨らませられる夢か、ただ「結果を待つ高揚感」と言いかえられるものか、果たしてどちらでしょうか。しかしいずれにしても、それはその『夢』が成就するまで、もしくは破れるまでの時間に違いありません。

『夢』を追いかけすぎると、それは時間を買う『娯楽』ではなく『投資』そのものになってしまう。

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1枚300円から楽しめる『娯楽』だと考えれば、宝くじを買うことに馴染みのない人にも、その行為がどういうものかイメージしやすくなるかもしれません。たとえばゲームセンターに行く、映画館に足を運ぶ、ボウリングをする……。それらと並列に考えれば、結果を待つ時間を楽しむ娯楽としては、ともすればコストが低いともいえるでしょう。実際に宝くじには、その娯楽性を支える仕掛けも用意されています。

実際に当せん者がいる、という話

もしかすると次は自分かもしれない?

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ノム速

この売場から1等が出た、という話

どこで買うか、という選択の余地をもたらす。

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幸福メンタルクリニック

もちろん宝くじには、いつ・どこで買うか、などといったゲーム性は存在しません。しかし、そこに証言や情報などがもたらされることで、実際には存在しないものがさもあるかのような錯覚を引き起こすことはあるでしょう。そうしたことで確率や還元率、期待値といった問題から目がそらされるのも、宝くじの巧妙さのひとつだといってよさそうです。

言うまでもないことですが、宝くじを『おそらく損をするギャンブル』もしくは『発表までの時間を楽しむ娯楽』として理解し、受け入れることができれば、『宝くじに外れても損をしない方法』などというものを考える必要はありません。そもそも利益を得るためのものとして考えなければいい、ということにはなってしまいますが……。

それが大人の楽しみ方と言われればそうだけど。

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それでも損をしたくない

妥協するわけにはいきません。本記事の趣旨は、あくまで『宝くじに外れても損をしない方法』を考えることです。とはいえ宝くじに外れてしまえば、自分の払ったお金は返ってきません。しかし実益は得られなくとも、せめてプラスマイナスゼロに持っていきたい……。そのためには、何らかの方法でお金を回収する、またはお金を払ったことに納得するしかないのです。

納得するための宝くじ

あえて最初の話題『還元率』に戻ることにしましょう。宝くじの収益金のうち46.5%が当せん金に使われているということは、残りの53.5%は別の用途に使われていることになります。つまり宝くじに外れた者は、この53.5%のうちから利益を得るほかないのです。宝くじの発表するデータによると、そのうち40.3%は全国の都道府県および指定都市で公共事業等に使われているといいます。

宝くじのウェブサイトでは「主な収益金充当事業」を確認することができます。道路維持、学校改築、福祉医療……。公共事業ですから、あえて語弊のある言い方をするならば、その中身は地味に思えるでしょう。もちろん、7億円で海外旅行に行くようなスケール感とは異なります。

約13%は経費や広報費など。

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宝くじ公式サイト

さらにいえば、自分が『損をしない』ためには、ここから『自分にしっくりくる公共事業』を探すことが必要です。隅々まで目を通して、これなら利益を得ていると思える、そんな公共事業を実施している土地を探してみましょう。そこに移り住んでしまえば、もはや死角はありません。

宝くじに外れても損をしない方法とは、『自分の納得できる公共事業を宝くじの収益で実施している都道府県や自治体に住み、そこで宝くじを買うこと』なのかもしれません。あまりにも夢のない着地点ですが、そもそも本物の『夢』を全国各地の売り場で買おう、しかも損をせずに、ということがそもそも間違っているということでしょう。

人が『夢』を買ったお金は、当せん金や公共事業など、実にあらゆることに使われています。そこでは、おそらく自分のお金で誰かの『夢』が現実になることもあるはずです。もしも、そのこと自体が『損』であると思えてしまった人がいたら、今後は宝くじに手を出さないほうが、きっと金銭的にも精神的にも健全かもしれません。

REFERENCE:

宝くじ公式サイト

宝くじ公式サイト

http://www.takarakuji-official.jp/

調査研究事業/モニターアンケート – 日本宝くじ協会

http://jla-takarakuji.or.jp/cyousa/monitor.html

当せん金付証票法 – Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/当せん金付証票法

宝くじの法律 当せん金付証票法

http://www.takarakuji-loto.jp/legal.html

日本のギャンブル還元率(宝くじ・競馬・競輪・オートレース・サッカーくじ)

http://oncasinojapan.info/theory/kitaichi_japan.html

期待値(きたいち)とは – コトバンク

http://kotobank.jp/word/%E6%9C%9F%E5%BE%85%E5%80%A4-50818