オーストラリア、マッコーリー大学のコリン・クライン氏らが、昆虫にも私たちと同じように意識を持っている可能性があるとの研究を発表した。

Insects are conscious, egocentric beings, according to a new paper that also helps to explain why and likely when consciousness first evolved.

一匹の蚊が自分の肩に止まっていたらどうするだろう。恐らくほとんどの人がためらいなくそいつを叩き潰すに違いない。そこに同情を感じる人は少ないだろう。ましてや潰される蚊に共感を覚える人はいない。共感を覚えないということは、その瞬間、私たちは『潰される蚊の視点』を想像していない。つまり私たちは、蚊を潰す瞬間、蚊に意識があることを想定していない。逆に言えば蚊に意識があると想定していないからこそ、蚊を殺せていると言える。

しかし、研究によれば、蚊にも意識があるという。

『お腹が空いた』という感覚が『意識がある』

意識の有無の定義は非常にあやふやなものではあるが、研究者らが意識の有無を『主観的体験』の有無によって決めることにした。『主観的体験』は研究者によれば意識の最も基礎的な部分であるという。では『主観的体験』とはなんだろう。人に問う度に定義の変わりそうな言葉なので研究者の言葉を借りる。

「私たちが空腹を感じた時、私たちはただ食べ物に向かっていくわけではない。私たちが空腹の時、それに関わる何かしらの感覚が現れている」

「何かが起きた時に、何かしらの精神的変化が起きているのならば、その生物は『主観的体験』を持っている」

つまりお腹が空いている時に起きる『お腹が空いた』という感情が研究者の言う『主観的体験』で、『主観的体験』を持っていると意識があり、ということは『お腹が空いた』と感じることが意識を持っている、ということのようだ。

人間とハエの意識は同じかもしれない

研究者は虫が『主観的体験』を備えているかを確かめるためにハエの中脳を探った。大脳や小脳と比べて聞き慣れない言葉ではあるが、原始的な脳の一つで、脊椎動物の研究では『主観的体験』の有無を調べるために使われる場所であるという。

クライン氏によれば「大脳皮質が『何を知覚しているか』を判別する場所であるとしたら、中脳は知覚する場所」であるという。

研究者がハエの中脳を調べた所、ハエの中脳は非常に人間に近い働きをしていることがわかった。このことから研究者はハエは人間と非常に似た世界の見え方をしている、と推測している。

意識が生まれたのは6億年前

なお、植物や線形動物(サナダムシなど)には中脳が存在しないため、クライン氏の言う『主体的体験』は存在しないという。

クライン氏によれば『(足などが生えて)生物が自由に動けるようになった結果、彼らは自分の動きから生じる外界からの情報(五感で得られるもの等)を受け取らざるを得なくなった』ため、意識が生じたのだという。

この仮説からクライン氏は、生命に意識が生じたのは、節足動物などが現れ始めたカンブリア紀から先カンブリア紀の間くらい、約6億年ほど前ではないかと予想している。

top image by Ladybird/jans canon/flickr

REFERENCE:

Insects Are Conscious and Egocentric