ビルの高層化が進み、なくてはならない存在のひとつであるエレベータ。オフィスビルやデパートなどでは何本も設置されていても長い間待たされ、一度に入ることができる人数も限られているのでぎゅうぎゅう詰めの目にあうようなことは日常的な光景です。人数や建物に足りるだけの本数を増やそうにも設置する敷地には限界があります。そんなエレベータのまったく新しいシステムを、ドイツのティッセンクルップ社が開発したと発表しました。

The era of the rope-dependent elevator is now over, 160 years after its invention. ThyssenKrupp places linear motors in elevator cabins, transforming conventional elevator transportation in vertical metro systems. MULTI elevator technology increases transport capacities and efficiency while reducing the elevator footprint and peak loads from the power supply in buildings. Several cabins in the same shaft moving vertically and horizontally will permit buildings to adopt different heights, shapes, and purposes. The first MULTI unit will be in tests by 2016.

ロープいらずのエレベータ

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The Verge

現在のエレベータはかごとおもりをワイヤーロープでつないで設置されたレール上を動く『ロープ式』、油圧ジャッキでかごを持ち上げる『油圧式』があり、オフィスビルやデパート、マンションなどで用いられているものはロープ式が主となっています。今回ティッセンクルップ社が開発したエレベータはロープは一切なく、リニアモータで移動する仕組みになっているということです。

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1854年、ニューヨーク万国博覧会でオーチス社が実物大のエレベータを持ち込み、落下防止装置の安全性を実証するために観客の前でロープを切断して見せ、落下しないことを証明してみせた。エレベータは安全な乗り物だとされ普及するきっかけとなった。

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ビルの高層化が進み、超高層ビルの数は2000年から三倍に増えている。建物の高層化、変化にエレベータも対応していく必要がある。

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オーチス社はロープを切っても安全だと証明してみせたが、今回はロープそのものがはじめから存在しない、リニアモータがかごを支え操作する。ロープがないので縦横無尽に移動可能だ。

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変則的なビルでも一本のシャフトを這わせ、その合間にいくつものかごを配置することによってエレベータを待つ時間も減らすことができる。

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ティッセンクルップ社の開発したエレベータの場合、一本のシャフトの中に等間隔にかごを設置することが可能となり、いままでのように作りたいエレベータの本数だけシャフトを用意する必要がなくなるとのことです。同社はこれによって設置面積は50%削減され、建物の使用可能領域が25%増加するとしています。2016年を目標にテスト用の建物を完成させ、エレベータの実験を行う予定だそうです。

他にもある新エレベータアイデア

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画期的なエレベータのアイデアは今回が初めてではありません。2013年に日立が開発したエレベータは、シャフトを円状にして、まるで観覧車のようにひとつのシャフト内を複数のかごが循環するエレベータを発表しました。

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円状になったシャフトをモーターで動かし、最上部と最下部では横にスライドさせてかごを動かしていく。

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等間隔に配置したかごが動く様子は観覧車のようにも見える。

こちらも同様に、一本のシャフト内に複数のかごを乗せることができますが、ロープ式の応用という面があり、ティッセンクルップ社のように縦横無尽に動かすことは難しそうです。

ティッセンクルップ社のSchierenbeck氏によると、ニューヨークのサラリーマンは一生の仕事の内、エレベータを待っている時間は累計すると6年はあるとのことです。今回のエレベータが実用化されれば、いままで待つことに費やされていた時間を別のものに使えるかもしれません。

REFERENCE:

ThyssenKrupp

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ThyssenKrupp develops the world’s first rope-free elevator system to enable the building industry face the challenges of global urbanization
http://www.thyssenkrupp.com/en/presse/art_detail.html&eid=TKBase_1417074157421_1378444349