コンピュータの普及により、私たちの『書く』という行為は劇的に変化した。私たちが何か文章を書く時、ペンを持つよりもキーボードを叩く時の方が多いだろう。

研究によれば、キーボードの普及が私たちの感情に影響を与えているかもしれないという。

These days, writing is typing. And it looks as if the layout of QWERTY keyboards is influencing the way we feel about certain words.

QWERTY効果

これまでの研究により、何かを使用する際の使いやすさは、その何かに対して抱く評価に影響を及ぼすことがわかっていた。たとえばどんなに内容が充実した本であっても本そのものが重く開きづらいものであったなら、内容の評価さえも下がってしまうということだ。

この効果は『流暢さ』と呼ばれ、名前の発音のしやすさが、個人の印象に影響を与えるという実験結果さえも存在するという。

研究者はキーボードの配列にも『流暢さ』による影響があるのではないかと考え、英語、ドイツ語、スペイン語の約1000個の単語からそれぞれの単語の印象についてのアンケートを取った。

その結果、QWERTY配列(私たちが一般的に目にする、左上の配列が『QWERTY』になっているキーボード配列)の右側に位置する文字を多く含んだ単語の方がそうでないものよりも、わずかに肯定的な印象を持たれていることがわかった。さらに、QWERTY配列のタイプライターが普及し始めた1960年代以降、配列の右側(Y、H、Nから右)に位置する文字を多く含む名前を付けられる子供の数が増えているという。

右手でタイプする方が左手に比べるよりも早く、配列の右側にある文字の方が左側よりも少なく、そのため配列の右側に位置する文字が多いほうが好印象を与えているのではないかと研究者は見ている。

この現象はQWERTY効果と呼ばれている。

Webコンテンツの評価からも

スイス連邦チューリッヒ工科大学のデイビッド・ガルシア氏とライプニッツ社会科学研究所、マーカス・シュトロマイヤー氏は今回、QWERTY効果についてさらに深く調査するために新たな実験をおこなった。

ガルシア氏らは、AmazonやYoutubeなどのWebサイトから英語で書かれた本や映画、映像などのタイトルと、その評価を比較した。その結果、今回も配列の右側に位置する文字が多いタイトルの物の方がそうでないものよりも好評価をもらっていたという。

発音の『流暢さ』が関係する可能性も

ガルシア氏は、最初のうちはQWERTY効果をあまり信じていなかった。しかし研究を続けていくうちに次から次へとQWERTY効果を実証する実験結果が出てきたという。

ワシントンDCのアメリカン大学のナオミ・バロン氏は「QWERTYキーボードそのものを見た時、私たちはプラスともマイナスの感情も覚えない。それならば配列と他のものが(感情的に)関連づくことはない」としてQWERTY効果を非常に興味深いものと見ている。

とはいえ、ナオミ・バロン氏はQWERTY効果を配列の並びから来るものとは考えていないようだ。ナオミ・バロン氏はQWERTY配列の右側には『Y』『O』『I』『U』といった母音、半母音が多く、配列にある文字そのものよりも母音、半母音による発音のしやすさ(『流暢さ』)がQWERTY効果を生み出しているのではないかと考えている。

QWERTY効果が本当にあるのだとしたら、日本ではローマ字入力をする人とかな入力をする人とでは同じ文字列でも受ける印象が全く違うものになっているかもしれない。QWERTYキーボードよりもスマートフォンでの文字入力が多い人は『流暢さ』から考えると「ああ」や「はは」「なな」など、あ段が二回以上続く文字に対してどことなく不快感を覚えているかもしれない。

REFERENCE:

The layout of QWERTY keyboards shapes our feelings about words

The layout of QWERTY keyboards shapes our feelings about words

https://www.newscientist.com/article/2085334-the-layout-of-qwerty-keyboards-shapes-our-feelings-about-words/

The QWERTY Effect: How Typing May Shape the Meaning of Words

http://www.wired.com/2012/03/qwerty-effect-language/


top image by QWERTY 2030 USB/Isabelle Hurbain-Palatin/flickr