先日、日本国内でおそらく初めてとみられる、エナジードリンクなどを原因としたカフェイン中毒死が話題となった。その折にテレビで「この食べ物には○mg、この飲み物には○mgのカフェインが含まれている」などと繰り返し語られたことを覚えている方もいるだろう。

そもそもコーヒーやコーラをはじめ、カフェインが含まれる飲み物の多くは、そのデメリットこそ語られてもメリットが取り上げられることが少ない(例外は緑茶くらいか)。しかし、カフェインにはすでにある一定の効能が認められている。そこで今回は、『あえて』健康のためにコーヒーを飲むためのすすめをお伝えしよう。

コーヒーで健康になる方法

2型糖尿病

初っ端から意外と思われるかもしれないが、コーヒーは糖尿病に効く。それもインスリン不足が原因の『2型糖尿病』に、である。通常、糖分を含む食べ物は消化の過程でブドウ糖に分解され、小腸から血液中に吸収される。血中のブドウ糖が増えてインスリンが分泌されることで、ブドウ糖はエネルギーとして利用されるのである。しかしインスリンが不足していたりうまく働かない場合、ブドウ糖がエネルギーに変換されないため糖尿病につながるのだ。

オーストラリア栄養士協会のクレア・コリンズ教授によれば、コーヒーは生化学的にいって「細胞レベルで働く」ようだ。たとえば壊れてしまった細胞を修復したり、使えなくなった『破片』を掃除するといった作業を補助することで、インスリンやグルコースといった分子がより効率よく働けるのだという。

注射する前にコーヒーを試す?

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パーキンソン病から脳を守る

パーキンソン病は、手足がこわばり震えたり、顔の表情が極端に乏しくなってしまうなどの症状をもつ。すべては、特定部位の神経細胞が変性する(死ぬ)ことで筋肉を動かしづらくなることが原因だ。しかしコーヒーを飲むことで、このパーキンソン病の発症にも抗うことができるという。

パーキンソン病につながる細胞死は『アポトーシス』と呼ばれており、これは「個体をより良い状態にするために」遺伝子のプログラム通り細胞が死んでしまう、いわば細胞の自殺のようなものだ。すなわちパーキンソン病の防止には、プログラム通り細胞を死なせないことが重要であり、この点でカフェインが効果を発揮するのだという。

また、おなじく発症に関係する最重要因子に『α‐シヌクレイン』というタンパク質(分子)がある。これらが結合して別の化合物を生成することで、細胞死が引き起こされるというわけだ。コーヒーに多く含まれているクロロゲン酸は、この『α‐シヌクレイン』の重合を抑制する効果を持つ。

カフェインとクロロゲン酸という物質が、パーキンソン病の発症をそれぞれ別の側面から抑える効果をもつことが解明されている以上、すでに2つの物質を併せ持つコーヒーの効能を疑う余地はないだろう。また、具体的な理由はわかっていないものの、コーヒーには肝臓がんや突然死を防止する効果があることも調査から明らかになっている。

もっとも日常的に、心拍数や血圧が一時上昇する傾向のある(もしくはその可能性がある)者は、コーヒーを飲むことをなるべく避けたほうがよいという。

ダイエットにも効く?

ドイツ・ハノーバー医科大学の研究によれば、毎日2~4杯コーヒーを飲むことは、一度ダイエットに成功した者がその体型を維持するのに役立つという。もちろん定期的な運動は必要だというが……。

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うっかり飲み過ぎないために

コーヒーが身体に良い効果をもたらすとはいえ、カフェインを摂り過ぎることは身体に良いものではない。カフェイン中毒の主な症状には、胃痛や吐き気、心拍数の増加、また落ち着きがなくなるといったことが挙げられる。中毒を発症するまえに、摂取量の基準値を頭に入れておくと良いだろう。

たとえば一般的な成人の場合、体重1kgにつき1時間に6.5mg以上のカフェインを摂取した者の約半数が、3時間に17mg以上を摂取した者のほぼ全員が中毒症状を訴えるという。たとえば体重が60kgの場合、1時間に390mg以上カフェインを摂取すべきではないということだ。実にわかりづらい。

表をご覧いただこう。カップ1杯分のコーヒーに含まれるカフェインはおよそ56mg(目安)だから、つまり60kgの者の場合は1時間に6杯以上飲んだらアウトというわけである。そんなに飲まないのでは……という気もするが、たとえばマグカップや大きな容器でコーヒーを飲む場合には油断すると越えかねない数値だろう。また、コーヒー以外の飲み物や食べ物にもカフェインは含まれているので注意が必要である。

妊娠中は1日約200mgまでが安全。幼い子どもはカフェインの分解に時間がかかるので避けたほうがよい。

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仕事や勉強の合間にはコーヒーが必要だ、もはやコーヒーなしに働くことなんてできない、そうお思いの方もきっと多いことだろう(かくいう記者もそのひとりである)。飲み過ぎは良くないという声も周囲から聞こえてくるかもしれないが、まずは健康への効果があることを理解し、安心して飲むことをお薦めしたい。とはいえ、物事はなんでもほどほどが肝心だ。体調の管理くらいは、カフェインでなく自分自身に頼れるようになりたいものである……。

REFERENCE:

Why you SHOULDN’T give up coffee in the New Year: Regular drinkers ‘have a lower risk of sudden death, diabetes and cancer’

Why you SHOULDN’T give up coffee in the New Year: Regular drinkers ‘have a lower risk of sudden death, diabetes and cancer’

http://www.dailymail.co.uk/health/article-3377532/Why-SHOULDN-T-coffee-New-Year-Regular-drinkers-lower-risk-sudden-death-diabetes-cancer.html

2型糖尿病について | Diabetes.co.jp

http://www.diabetes.co.jp/diabetes/about2.aspx

カフェイン中毒 – Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/カフェイン中毒

【妊娠中のカフェイン】- 妊娠to安産.com

http://www2.ninshin2anzan.com/shinpai/caffeine.html

パーキンソン病の発症を抑える可能性。 | 全日本コーヒー協会

http://coffee.ajca.or.jp/webmagazine/health/doctor/80health