よーいどんからサッカーの試合、電車の出発に至るまで、古今東西、笛を吹くのは開始の合図ですが、笛で始まって欲しくないものも中にはあります。メキシコ辺りには、終わりを告げるための笛なんかもあったりするようで。

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DeathWhistle

いかにもな見た目。

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目と口が大きく開かれたデザインの、奇妙な顔の細工が施されています。これはアステカ人が使っていた『death whistle(死の呼び笛)』です。名前といい、見た目といい、このアイテムを手に入れても絶対に装備してはいけません

さあ生け贄の笛が鳴る

アステカとは1428年頃から1521年まで北米のメキシコ中央部に栄えたメソアメリカ文明の国家。

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アステカ帝国は14世紀頃から16世紀までのスペインに征服されるまでの間、中米に栄えた国家です。多神教に基づいた神権政治が行われ、人間を生け贄に捧げる儀式を多く行っていた事でも知られています。

生け贄に選ばれた人は祭りの日まで丁重にもてなされます。そして一年後に、太陽の祭壇の上で黒曜石の短剣で胸をくりぬかれ、心臓を取り出されるのです。生け贄の生皮は神官にまとわれ、そしてその肉は長老達によって食されたといいます。残酷に感じられますが、当時の人々は生け贄になる事を名誉として受け入れていたようです。
心臓が取り出される儀式の中で、死の呼び笛が使われていたのではないかと研究者は推測しています。もしかしたら生け贄が今際の際に耳にする音色だったのかもしれません。

生け贄となり埋葬された遺体とともに死の笛が見つかっている。

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アステカにおいては『太陽は消滅する』という終末信仰が普及していました。人間の新鮮な心臓を神に奉げることで太陽の消滅を先延ばしすることが可能になると信じられていたために、儀式は日常的に行われていました。しかしいくら名誉とはいえ死んでしまう事に代わりはありませんから、大量の生け贄要員が必要になってくるわけです。そのための捕虜を確保するために、アステカの軍隊は大層頑張っていたようです。

笛の音色

Youtubeで、アステカ人の末裔っぽい方が『death whistle』を試演してくれているので、ちょっと聞いてみましょう。

DEATH WHISTLE

問題の音色は0分50秒あたりから。

笛の音が「獣の鳴き声や風の吹きすさぶ音に似ている」という声もあるそうです。
私には断末魔の叫びにしか聞こえませんでした。何かに呼ばれているんでしょうか。

アステカの戦士団

特に五代目皇帝のモクテスマ一世は、遠征に次ぐ遠征を行ってメキシコ沿岸部の部族を次々と支配下に置き、その領地を拡大しました。歴史上においても、最も好戦的な帝国の一つであったといえるでしょう。そしてその軍事力は、いくつかの部隊に分かれたエリート貴族戦士団によって支えられていました。

ジャガーの戦士

ジャガーの姿をした神、テスカトリポカの戦士である。黒曜石でできた刃の付いた木剣を持つ強襲部隊。

鷲の戦士

太陽神ウィツィロポチトリの戦士で、鷲の羽根から作った大きく色とりどりの羽飾りを付け、鷲の頭の形をした被り物をかぶっていた。軽装で、機動力に優れた部隊であり、偵察や奇襲、ゲリラ戦などを行っていた。

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この他にも防衛に長けたコヨーテの戦士、魔術師団である髑髏の戦士などが存在していました。彼らは自分たちのトーテム(象徴)である動物の姿を身にまとい、精霊を身に宿らせて勇猛果敢に戦ったといわれています。

そしてまた笛が鳴る

アステカは王家と貴族によって治められていたのですが、平民でも戦争で敵国の捕虜を多く捕まえて軍功を挙げる事で、貴族に取り立てられる見返りがありました。そのために戦士達は死にものぐるいで襲いかかったそうです。近隣の部族はアステカ戦士の来襲を恐れて夜も眠れなかったに違いありません。
戦いの始まり、アステカの戦士達は敵部族に向かって一斉に『death whistle』を吹き鳴らします。1000人以上が鳴らすけたたましい笛の音は、アステカ戦士の士気を間違いなく高めた事でしょうし、襲われる側にとってはまさに恐ろしい死の呼び笛、地獄の歌であった事でしょう。

REFERENCE:

The Sound Of This Ancient Whistle Is Beyond Terrifying…Since Death Followed

The Sound Of This Ancient Whistle Is Beyond Terrifying…Since Death Followed

http://ohmyg.viralnova.com/aztec-death-whistle/