ギリシャ南部ペロポネソス半島(Peloponnesus)の東部、モネンバシア市(Monemvasia)のさらに東の沖に、同じくモネンバシアという名前の島が浮かんでいます。

陸から見たモネンバシア

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一見すると巨大な岩の塊にしか見えませんが、実はこのモネンバシアは人が住んでいる有人島なのです、しかも1400人も。

小さな島、大きな岩

モネンバシア、ギリシャ

沖島、琵琶湖

モネンバシアより少し大きい、人口は約350人。

このモネンバシア島、東西1500m、幅600m、標高199mと岩としては巨大なのですが、島としては決して大きいとはいえないサイズです。というかこの岩が場所をとり過ぎていて住む所が全く無くなっているようにも見えます。しかし確かに人は住んでいるのです。
ギリシャ本土の陸地から島を眺めたときに見る事ができるのはそびえ立つ岩山だけですが、人が住む町は島の南東、陸の反対側、海に出なければ見る事のできない場所に貼り付くように建っているのです。

海から見たモネンバシア

岩山を背負った斜面に家屋が立ち並ぶ

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Alexandar.R.

島の南、海沿いに続く舗装道路を歩いていくと町の入り口にたどり着きます。

町の入り口

この先にあるのは、城塞都市モネンバシアの歴史。

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西暦345年に起きた地震によってモネンバシアは陸地から離れて島になった、と伝えられています。
6世紀、モネンバシアが属するペロポニソス半島は、スラヴ人の侵入を受けてその大半を占拠されてしまいます。ギリシャ系の人々は、逃れて生きていくためにこの島に移り住んで町と要塞を建設します。スラヴ人によるペロポネソス半島の征服と同化は10世紀頃に完了を迎えたのですが、モネンバシア島に住む人々はこれに耐えきり、同化される事なく存続し続けました。

ここはギリシャの隠れ里、秘密の町。

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島内の道は細く、車は通らない。

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静かな道が続く。

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灯りがともる玄関。

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行き止まり。

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耐えるモネンバシア

その10世紀頃から島は交易と海運の拠点として発展を始めます。豊かになってきた街に1147年、今度はアラブ人とノルマン人達が侵攻してきます。またもや防衛戦の始まりです。モネンバシアの要塞島はこれをしのぎ、侵攻を退けることに成功しています。

モネンバシアの要塞

岸壁と城壁が融合する。

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次は1205年、十字軍に解体された東ローマ帝国の領土を受け取って自分の国を建てようと、フランスの騎士達がペロポニソス半島にやってきます。当然また征服が始まります。モネンバシアを除いて、半島はあっという間に支配下に置かれてしまいます。最後に残った島の住民は粘ります。しかし3年間の長い抵抗を続けた後、支配下に置かれてしまいます。

町の建材は当然裏山から掘ってくる。

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またモネンバシアか

その後には復活した東ローマ帝国に支配者が替わったりするのですが、その際にも一番最初に取り返されています。どうやら軍事的にも重要な(面倒くさい)拠点になっていたようです。

1680年に描かれたモネンバシア

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F. de Witt

1453年、オスマン帝国によるコンスタンティノープルの陥落とともに東ローマ帝国が滅亡します。これにより古代より続くローマ帝国が終焉を迎え…いやまだ残っている領土があります。モネンバシアを含むペロポニソス半島です。これを受けてオスマン帝国は遠征を行い、7年もかけてようやく半島の全土を併合します、そう、モネンバシアを除いて。
その後、半島は1827年のギリシャの独立までオスマン帝国に支配される事になります。

ギリシャ人の定義

ギリシャ人とはバルカン半島周辺およびキプロスに出自を持ち、ギリシャ語を母語とする民族。国民としてのギリシャ人(ギリシャ共和国の国籍を有するもの)にはアルーマニア人、アルバニア人、トルコ系、国外からの移住者も含まれる。

ギリシャ人を定義する事は難しく、その意味は歴史とともに変化していったといわれています。というのもギリシャの歴史は、前述のように周辺民族からの侵略と交流の繰り返しで、そのためにギリシャ人を見かけや出自で判断する事が難しくなっていったからです。しかしだからこそ、様々な強国の支配下にあっても『我々はギリシャ人である』というアイデンティティを強く持ち続けてきたのだそうです。
モネンバシアが辿った歴史は、そんなギリシャ人の歴史そのものであるといえるのかもしれません。

島に架かる橋

1971年に橋が架かって便利に。

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現在は多くの観光客が訪れる。

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REFERENCE:

The Secret City on the Peloponnese Rock