突然ですが、昨日はぐっすり眠れたでしょうか。どんな夢を見ましたか? 楽しい夢、怖い夢、不思議な夢……。昨日は夢を見ていない、という人も本当は覚えていないだけだといわれるように、人の数だけ、その夜の数だけ『夢』はあるものです。

そんな膨大な夢の数々を集めた、“DreamBank”というオンライン・データベースがあります。

Now one researcher is in the process of creating the world’s largest dream database in an attempt to better understand these dreams and why humans experience them.

夢の保存

『夢』に関する研究は、1950年代、眠っているにもかかわらず脳が活動しているというレム睡眠の存在が明らかになったころに始まりました。しかし、これまで長い間信じられてきた「『夢』はレム睡眠のときにだけ見られるもの」という考えは、最新の研究によって覆されています。人間は、ノンレム睡眠時にも夢を見ることがあるというのです。

しかし、「なぜ人は夢を見るのか」という疑問については、未だその真相が明らかになっていません。『夢』のデータベース“DreamBank”は、まさにその謎を解明すべくつくられたものです。現在、22,000以上もの『夢』が73個のカテゴリに分けて保存されており、またその内容はだれもが無料で読むことができます。

“DreamBank”

データベースには、かつて人々がつけていた『夢日記』からも登録されている。名前はすべて仮名。

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DreamBank

では、そこには一体どんな『夢』が記録されているのでしょうか? 少しばかり、その中を覗いてみることにしましょう。

トビー(パーティー好き)
ぼくは弟・ダンの部屋にいて、彼はぼくの背中に赤いタトゥーを入れている。そんなことは望んでいなかったはずなのに、ぼくは気にしていないらしい。そのあとダンのクローゼットを開けると、ハンガーに『皮膚』が掛けられていて、そこには不気味なロボットのタトゥーが彫られていた。そしたら彼は、「どう思う? ぼくらはこういうタトゥーを入れるべきだよ」と言うんだ。そこでぼくは目を覚ました。

ヴィッキー(10歳)
そこにはちいさな円があって、ちいさな女の子がいて、わたしはママの隣に立っていた。うしろには、ストレートの黒い髪をした男のひとが銃を持って立っていて、だからわたしは怖くて逃げ出したわ。女のひとが、階段を上るようにわたしに言った。階段は本当に急だったけど、わたしはそこを上ったの。しばらくして、ママと妹もそこを上ったわ。そこでふたりは、女の子のガイコツを見つけたのよ。

ベイエリアの学生(5年生)
大きな腫瘍のある男がいて、手術台の上で眠っていたんだ。そこに外科医たちが入ってきて、男を眠らせると、彼は変な体勢で眠ってしまった。男が目覚めたとき、その大きな腫瘍は消えていたよ。それで彼は「おい、なくなったぞ!」って叫んだんだ。

クリス(異性装者)
孫娘らしき赤ちゃんを連れてバーに入ると、そこに脚の切られたベビーチェアがありました。赤ちゃんをそこに座らせると、どういうわけか、彼女は私の娘で、私はその母親なんだって、そんな気がしてきたんです。そのとき誰かが、乾燥した動物の腎臓を持ってきて、彼女のスープのなかでそれを崩してみせました。

不穏で奇妙で得体の知れない『夢』の数々

支離滅裂で意味がわからなくても無理はない。

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夢の分析

『夢』を見る人が違えば、その種類や内容はさまざまに異なります。夜な夜ないろんな人物がいろんな出来事を繰り広げる、そんな『夢』の数々には、ときに現実すらしのぐ量の情報が含まれていることでしょう。起きると内容を忘れてしまうのも、ある意味では合理的といえるのかもしれません。たとえば『夢日記』を付けると気が狂うともいいますが、それも理解できるような気がします。

しかし、これまでにも多くの学者たちが『夢』の正体を突きとめようとしてきました。なかでも、とりわけ有名なのはフロイトとユングでしょう。

ジークムント・フロイト

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FAMOUS PSYCHOLOGIST

カール・グスタフ・ユング

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FAMOUS PSYCHOLOGIST

たとえばフロイトは、『夢』には抑圧されている願望が現れるのだと考えました。もっとも彼の場合、あらゆるものを性的なモチーフとして解釈するために異論も多く、現代人にはそのまま適用できないともいわれています。一方でユングは、『夢』とは無意識からのメッセージであると考えていたようです。彼は、人間の無意識の深層には『集合的無意識』という、集団や民族、人類が普遍的に共有するイメージの源泉が存在するのだと主張していました。

もっとも、人類が普遍的に共有するイメージが存在するかどうかを、本当の意味で突きとめることはできません。しかし、あらゆる人間の『夢』を保存し検索することのできる“DreamBank”は、ぼんやりとした『集合的無意識』なるものの存在に迫る、ひとつのきっかけになるかもしれません。たとえば人の肩書きとその『夢』には共通点があるのか、現れるイメージ同士に関係性を見つけることはできるのか……。もしそれが明らかになれば、『集合的無意識』の研究にとどまらず、『夢』の意味を分析するという点でも非常に大きな一歩となるでしょう。

集合知

多くの人の知識が蓄積したもの。また、その膨大な知識を分析したり体系化したりして、活用できる形にまとめたもの。

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“DreamBank”の研究リーダー、カリフォルニア大学のウィリアム・ダンホフ氏は、実際に『夢』のひとつひとつを、あくまで大きなデータベースの一部として取り扱っています。たとえば『夢』を頻度で区別して割合に換算したり、ある基準にもとづいて内容を比較したり……。個別に内容を解釈・分析するのではなく、あくまでデータベースのなかでその『独特さ』を判断するというわけです。

ウィリアム氏は「『夢』には、起きているときの思考や恐れが表現される」と述べています。しかし、そのなかには多くのノイズが含まれているために、『夢』を単独で取り出してその意味を理解することはできないというのです。

一方で彼は、ひとりの人物から多くの『夢』を記録することを望んでもいます。“DreamBank”やこれまでの研究から、『夢』が人物の年齢や性別、文化や個人的関心の影響を受けることが明らかになりました。それゆえ彼は「ひとりの人間の75〜100個の夢が、個人の心理的な肖像画になる」と述べています。さらに、1,000個の夢を記録できれば、指紋のように個別かつ正確な『プロフィール』をもつくることができるというのです。

夢の集積で個人を識別する時代がやってくる?

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フロイトやユング、そしてウィリアム氏のいうように、『夢』が自分の思考や感情、日常で得た情報などからできているとしたら、それは自分自身をつくっているものの結晶とも言い換えることができます。たとえば『夢日記』のように、自分だけのものとして『夢』を記録することは、すなわち自らのパーツそのものと向き合いつづけることです。夢分析で『人物の自我が耐えきれず、精神的健康を損なう可能性がある』ともいわれるように、そこで自分自身が追い込まれて狂ってしまうこともありえないことではないでしょう。

その点、“DreamBank”が『夢日記』とあきらかに異なるのは、それがやはりデータベースの一部にすぎないということです。データとしても物語としても自身の一部としても、記録したそばから、ほかの『夢』と比較され分析されてしまう……。その行為は一見無感情なものに見えるかもしれませんが、狂気すらはらんでいる『夢』、ひいては記録者である自分自身に没入しすぎずに済むというメリットもありそうです。

『夢』を通して自分自身に迫る、ということ自体には、おそらく誰もが一度は興味をもったことがあるでしょう。しかし『夢』が集まると、それはあらゆる『自分』の集合である『社会』の姿を映すものになる、ともいえそうです。そして、もしもそこから『集合的無意識』なるものが浮かび上がってくるのだとしたら……。“DreamBank”が保存しているのは、じつは『夢』そのものではなく、その背景にある人であり社会であり、さらに別の『なにか』なのかもしれません。

REFERENCE:

What do our nightmares mean? Huge online database reveals the bizarre and intimate dreams of people from around the world

What do our nightmares mean? Huge online database reveals the bizarre and intimate dreams of people from around the world

http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3134908/What-nightmares-mean-Huge-online-database-reveals-bizarre-intimate-dreams-people-world.html

A SLEEP RESEARCHER’S ATTEMPT TO BUILD A BANK FOR DREAMS

http://www.atlasobscura.com/articles/the-stanford-doctor-s-attempt-to-build-a-bank-for-dreams

夢日記を書くと気が狂うと言われる7つの理由

http://hanayume7.com/dream-diary2-30-20141219/

人はなぜ夢を見るのか

http://www.gussuri.net/007_7/ent220.html

夢分析 – Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/夢分析

夢 – Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/夢

集合的無意識 – Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/集合的無意識

分析心理学 – Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/分析心理学

集合知(シュウゴウチ)とは – コトバンク

http://kotobank.jp/word/%E9%9B%86%E5%90%88%E7%9F%A5-683802