リーバイス本社には現存する世界最古のジーンズ『XXc, 1879』が展示されています。その価格はなんと15万ドル、日本円にして約1200万円との事。そんなに古くて、高価なジーンズがある一方、世界で履かれるほとんどのジーンズは簡単に捨てられ、埋め立てられるか、焼却処分されています。そんなかわいそうなジーンズ達の一部がカリフォルニアにあるリーバイススタジアムのフィールドを覆いました。

18,850 pairs of denim turn Levi’s Stadium into actual ‘Field of Jeans’

『Field of Jeans』とは

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Mashable

リーバイススタジアムをジーンズで覆うプロジェクト、『Field of Jeans』。フィールドを覆ったユーズドジーンズは、16日間をかけてスタジアム近辺に住む地元民から集められました。寄付した人々にはリーバイス店舗で使えるクーポンが配られました。集まったジーンズの総計はなんと、18850本との事。

『Field of Jeans』

カリフォルニアのアーティストでありANTLRE代表のHanna Sitzerさんはプロジェクトの中心となり、50人の作業員と共に16時間を費やして、集まったジーンズを青い芝の上に並べ、インディゴ色にフィールドを染めました。リーバイスの代表者Micheal Kobori氏が記者団に話した事によると、『Field of Jeans』のようなリサイクルプロジェクトを同社は続けていくつもりで、もしジーンズを捨てるなら廃棄物にしないで、『Goodwill』に持ってきて欲しいとのことでした。氏によると、プロジェクトに参加したGoodwillがより生産的な方法でユーズドジーンズを活用してくれるとの事。ちなみに、今回集められたジーンズは地元の非営利団体に寄付されました。

H&Mの古着リサイクル

ファッション業界において、古着を再活用するという試みは決して珍しいものではありません。ファストファッションの最大手であるH&Mはブランドを問わず、古着の回収を行っています。古着ー袋ごとに一枚の割引クーポンが配られます。
H&Mによると、捨てられる95%の服や布には再利用の可能性があるとの事です。集められた古着は人の手により選り分けられ、あまりにも状態が悪いものは原材料へとリサイクルされます。その他は第三国で古着として使われたり、または、清掃用の布として再利用されます。これによって得られた利益は『CharityStar』というチャリティー団体に寄付されます。

アーティストの試み

現代では古着を使用したアートもあります。フランスのマルチアーティストであるクリスチャン・ボルタンスキー氏は『No Man’s Land』という作品において古着を再利用しました。氏によると、『人間にとってもっとも残酷な事は、肉体の死ではなく一人一人の名前が奪われ、人格が奪われ、忘却される事だ』との事。

『No Man’s Land』

誰のものでもない、誰もいない土地という意味

無造作に並んだたくさんの古着、フリーマーケットを思い浮かべてしまった。

中央には高く聳える古着の山がある。山を見ると、登りたくなるのは気のせいか。

無機質なクレーンによって、恣意的に持ち上げられる古着。クレーンはまるで、神の手のようだ。

クレーンの手は突如として離される。落ちていく服は人間の儚い運命を表現しているようだ。

ファストファッションの裏側

ファーストフードのように、手軽に買えるファストファッションの勢いは留まる事を知りません。どのようなファッションの未来を創造してくれるか楽しみにしている方も少なくないでしょう。しかし、その裏で第三国の人々が劣悪な環境の下、安い給料で働かされているという話もあります。
ファストファッション企業の生産工場が集まるバングラディッシュでは、400万人の人々がアパレル生産工場で働いていて、一ヶ月平均、たった7000円の給料を貰っています。また2013年には同国の生産工場のビルが倒壊して、死者1200人を出しました。元々ビルは4回建てだったとの事ですが、倒壊当時は生産力向上の為に9階まで継ぎ足されていました。

繊維工場がもたらす環境破壊も深刻です。たとえば、あるファストファッションの生産工場の排水が流れ込むインドネシアのチタラム川は、世界一汚い川と呼ばれています。というのも服の製造に使う着色料や、触媒、漂白剤などの化学物質が川を汚しているからです。そういった化学物質は工場で働く人、あるいは近辺の住人はもちろんの事、服を着る我々にもアトピーやアレルギー、妊娠率の低下などを引き起こす可能性があります。

チタラム川の汚染で死んだ魚達

大漁とは言いがたい、悲惨な状況だ。

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MCSEA

ファッション業界による環境・人間に対する害悪を抑える為にも『Field of Jeans』のようなリサイクル企画は奨励されるべきでしょう。しかし、フィールドを鮮やかに覆ったように、ファッション業界が何か別の事を覆っているようにも思えます。兎に角、我々の体を覆ってくれる洋服は大切にしたいものですね。