様々な分野で活躍している話題の3Dプリント技術が、ファッション分野にも応用され始めています。デザインスタジオ『ナーバスシステム』が、3Dプリント技術を応用してナイロン製の美しいドレスを完成させました。花柄のような網目からなるこのドレスは、身体に完璧にフィットし、歩くと自然に優雅に揺れます。

キネマティクス・ドレス

フィギュアやカップなど、硬く形の変わらない物が3Dプリントできるのはわかるが、揺れて形の変わる衣料品をどうやって作るのかと疑問に思うかもしれません。このドレスは、3316個の可動ジョイントで繋がった2279個の小さなパーツが集まってできているので、ちょうど鎖帷子のように身体の線に沿って、また体の動きに従って、形を変えることができるのです。その意味で、このドレスは『キネマティクス(運動学的)ドレス』と呼ばれています。

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様々なサイズ、形の稼働ジョイントで構成されているので身体にフィットし、柔らかく揺れることもできる。

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『4D』プリントとは?

このドレス、広げた状態ではかなり大きいので、そのままでは家庭用のコンパクトな3Dプリンタでは作ることができません。そこでチームは、あらかじめドレスをたたんだ状態でデータ化したものを3Dプリンタに送り、出力されたものから広げることを考案しました。

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『キネマティクス・フォールド』ソフトを使えば、プリンタから出したときにうまく元の形になるようコンピュータで計算されて縮小するので、出てきたものを新たに組み立てる必要もなく普通に作れば布をたくさん使うような大きな衣料品でも簡単に製作することが可能になります。3Dプリンタから出てきてからもう一段階、立体化の段階が上がるということで、ナーバスシステムではこのことを『4Dプリンティング』と呼んでいます。

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出力されてすぐの状態のキネマティクス・ドレス。

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不要な部分を削り取っていくと折りたたまれた状態の形が現れる。

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ナーバスシステムは、誰でもオンライン上の簡単な操作でキネマティクス衣服を作成できるアプリケーションソフトも開発しました。このソフトではワンピースドレスだけでなく、スカートやシャツなども作ることができ、形やデザイン、フィット感も自分の好きなようにカスタマイズしたり、ドレープ加減や色々な角度からの見え方をシミュレーションすることもできるようです。あらかじめ個人の体形をスキャニングして、それに沿ってデータが作成されるので、世界で一着の自分にぴったりの服を手に入れることができます。現時点で公開されているアプリはブレスレットやネックレスのみ対応で、衣服仕様のインターフェースは未公開のようです。

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完成したドレス。

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ブレスレットカスタマイズページの一例。色やパーツの形などが自由に選択できる。

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従来の洋服作りでは、身体という三次元のものをいったん紙の上の二次元パターンに変換してから素材を切り縫いして再び三次元に組み立てるというたいへん手間のかかる過程がありました。キネマティクスのような技術が一般化して、普段着もオンラインで誰でも簡単にカスタムメイドできるようになったとしたら、服飾産業や関連する産業に大きな変化が起こると予想できます。昔は綿や麻だけだったのが、近代からはポリエステルやレーヨンなどの合成繊維を着るのが当たり前になってきたことを考えると、今後さらにまた新たなテキスタイルが現れ、スタンダードになっていくかもしれません。

REFERENCE:

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