あなたは今まで食べたパンの枚数を覚えていますか?(©ジョジョの奇妙な冒険)……というのはさておき、「あなたは1日に何回スマートフォンの画面を見ますか?」という質問は、それと同じくらい難しいかもしれません。なぜなら、そんなことは日頃ほとんど意識していないからです。

なんと、この問いを本気で検証した人々がいました。その結果、どうやら人々は平均して11分に1回スマホの画面を見ているようです。

Many of us reach for our phones the second we wake up, and they’re often the last thing we look at before we go to bed, but we may not realise just how much they rule our lives.

12分に1回、1日に合計5時間?

この調査に踏み切ったのは、イングランドのノッティンガム・トレント大学の研究者たちでした。彼らは、18歳から33歳を対象に、まずは彼ら自身に「スマホの画面を1日に何回見るか」という予想を立ててもらったあと、実際にどれだけ使っているかを測定したのでした。

その結果、人々は平均で1日に85回スマホをチェックしており、インターネットやアプリの使用に合計5時間を費やしていることがわかりました。もしも1日16時間起きているとした場合、1時間に約5.3回、つまり約11分に1回、私たちはスマホを確認していることになります。これは、対象者が予想していた頻度のおよそ2倍でした。もっとも、ここでいう『スマホのチェック』には、時刻の確認、電話やメール、音楽、SNSのチェックなどがすべて含まれています。

対象者のスマホには、使用状況を計測するアプリが2週間インストールされた。

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注目すべきは、スマホの使用の多くが、1回1回はたいへん短い時間に限られていたことでしょう(半分以上が30秒以下の使用)。研究チームの心理学者、サリー・アンドリュース博士は「スマホを素早く使うことは、ユーザーにとって習慣となりつつある」といいます。すなわち、人々はスマホをチェックすることを特別に意識していないのです。

私たちは思った以上にスマホを使っている

これまでの研究では、携帯電話の使用度は対象者の自己申告によって測定されていた。ランカスター大学のデヴィッド・エリス博士は、今回の研究を踏まえて「推測のデータは慎重に分析されるべき」と指摘している。

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『スマホ依存症』の欺瞞

もちろん、一部ユーザーのスマホの使い方に『問題がある』ことは事実でしょう。日本では以前から『携帯電話依存症』という言葉もありますが、今ではこれが『スマホ依存症』とも呼ばれています。たとえば四六時中スマホが手放せない、誰かと連絡を取っていたい、という状態を指す言葉で、不眠症などを誘発する懸念もあるといわれています。

実際に多くの人が『スマホ依存』を自覚している。

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しかし、サリー博士も指摘するように、いまやスマホの使用は『習慣』と呼べるほどのものとなりました。それもそのはずで、多機能化が進んだ結果、スマホは電話でありながら、時計でありネット端末であり、音楽プレイヤーでありゲーム機であり……挙げ始めたらきりがありません。それは同時に、スマホが生活のあらゆる局面で必要とされることを意味します。

すなわち「あなたは1日にどれだけスマホの画面を見ていますか?」という質問は、もはや「あなたは1日にどれだけ時計を見て、電話やメールをして、音楽を聴いて、インターネットやゲームをして、新聞や本を読んで、またそのほか、スマホで代用できることをしていますか?」という質問と、かぎりなく同じだといっても過言ではないはずです。その答えが「1日5時間」だとしたら、むしろ短いと思う人もいるかもしれません。

依存対策に『時間制限』がよく挙げられる

子どものゲーム時間を制限するのとはわけが違う。

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つまり、すでにスマホとは、仕事と遊び、パブリックとプライベートに分け隔てなく存在するデバイスであり、結果的に依存状態となるのもやむを得ないものです。スマホでなくガラケーを使っている人も、おそらくガラケーではできないことを他のデバイスや媒体でやっているはずで、それほど『スマホ』は巨大かつ複雑なものだと考えるべきでしょう。すなわち、もはや『スマホ』という言葉ひとつではスマホを語ることができません。

しかし、それでも『スマホ依存症』という言葉は生き延びています。その背景には、たとえば「LINE」のトラブルによる事件をはじめとした、対人関係の問題や交通事故などの発生が、社会的な問題として現れていることがあるでしょう。しかし、スマホによってコミュニケーションが阻害される、教育がうまくいかない、事故が誘発されている……といった指摘は、『使う本人の人間性や社会性』という視点がそもそも抜け落ちています。

そして『スマホ』に問題が転嫁される

人間の性質がかかわる微妙な問題を、デバイスという『わかりやすさ』に着地させる幼さがある。『依存症』という言葉も、薬物などを思わせて印象がよくない。

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たしかにスマホが多機能化したことで、人々の生活習慣は大きく変わり、また人々の生活が求めるものに応じて、スマホの機能も変わっていったはずです。それは『タマゴが先かニワトリが先か』の問題であって、どちらかを否定・批判すべきではないでしょう。むしろ、だからこそ生活スタイルに応じて、スマホの可能性をそれぞれが取捨選択する必要があるのだというべきかもしれません。

もちろん『スマホ依存症』に、それぞれの人物やその周囲が違和感や危機感を抱くのであれば、そこからの脱却を考えなければなりません。しかし、特別にそういうわけでもないのであれば、あとは仕事や対人関係、自らの健康に支障が出ない程度に……。それぞれがきちんと責任の持てる、そんな『スマホ依存』を推奨します。

REFERENCE:

How often do YOU check your phone? Average user picks up their device 85 times a DAY – twice as often as they realise

How often do YOU check your phone? Average user picks up their device 85 times a DAY – twice as often as they realise

http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3294994/How-check-phone-Average-user-picks-device-85-times-DAY-twice-realise.html

スマホ依存症が危ない!うつ、小指変形、睡眠障害など深刻な健康被害の恐れも

http://biz-journal.jp/2015/06/post_10538.html

あなたは大丈夫?急増しているスマホ依存症から抜け出す10の方法

http://nanapi.jp/112862