先週の日曜日、体中にiPhoneを隠し持って香港から中国に密輸入しようとした男が、出入国検査官の手によって逮捕されました。その数なんと94個。

全身装備。

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鋭い検査官

この男は香港と中国大陸間における出入国検査場、『福田口岸』を通り抜け、密輸を果たそうとしていたそうです。この時、歩く男の姿に何かを感じ取った検査官は、通常の簡易検査に加えて入念な手荷物の検査を行いました。しかしその直感の原因を見つける事はできませんでした。そこで改めて金属探知ゲートを通らせてみたところ、場内にアラームが大音量で響き渡り、上着とズボンの中の腹、背中、股、もも、そしてふくらはぎに、ぎっしりと貼付けられたiPhoneの存在に気づく事ができたそうです。
密輸を発見した検査官は、現地メディアの取材に対して次のように答えています。

・歩き方がおかしかった。
・筋肉が緊張していた。
・関節が曲がっていなかった。
・すぐ分かった。

皆さんも子供時代、段ボールでロボットの体を作成して着用して遊んだ思い出があるのではないでしょうか。その時に、固い板をまとった人間の体は不自由で、曲がらない箇所が思いのほか多い事に気づいたはずです。そう人体は、iPhoneを貼り付けて動くようにはできていないのです。まさに違和感を感じ取った検査官の注意深さ、観察眼によって挙げられた功績、大手柄といっていいでしょう。
メディアはこの密輸業者の装いを、ガンダムシリーズのモビルスーツ(Mobile Suit)をもじってモバイルアーマー(Mobile armor)と呼んでいます。

カラーリングも本家に寄せている。

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香港の法律では、密輸に最高で7年間の懲役と200万香港ドル(約3000万円)の罰金が科せられるそうです。しかし厳罰にも関わらずこうしたiPhone密輸業者の摘発は後を絶たず、やり口もどんどん大胆になってきているそうです。
その背景には依然として高い、中国でのiPhone人気があるのです。

引き続きiPhoneフィーバー

去る日本でのiPhone6発売日、アップルストアへの行列に参加する中国人が話題になりました。彼らは中国での発売日が遅れて需要が高まり価格が高騰したために、日本で並んでまでして購入していたのでした。
しかしその後、10月17日には中国でもiPhone6が発売されました。今はすでに普通に手に入れる事はできるのです。やっきになって国外産のiPhoneを手に入れる必要はもはや無いはずです。
ところが中国においては今でも、大陸外で発売されたiPhoneは高い人気を誇っているのです。一体なぜなのでしょうか。

フリーなiPhone

世界中で発売されているiPhoneには、Appleが各国別に仕様変更を加えている事があります。世界共通で同じ物だとは限らないのです。例えば日本発売のiPhoneにも特別な対応がされていて、カメラのシャッター音をデフォルトでオフにできないように調整されています。
同様に現在中国で買う事のできるiPhoneにも特殊なロックがかけられています。大陸発売のiPhoneには、携帯キャリアの電波を用いずにWi-Fiで通話ができるアプリに一部(FaceTime Audio、FaceTime)制限がかけられて使えなくなっているのです。
また元々の値段が高い事も原因です。例えば日本の75800円と比べると、中国の定価は約99744円と3割増。さらにこの価格に重値税(日本でいうところの消費税)が17%もかかるので結果、非常に高い買い物になってしまいます。
そんな訳で中国では、日本や香港など大陸外の安いiPhoneがよく売れているのです。日本版は前述の通りシャッター音が消せないようになっているので、特に香港版が一番人気なのだそうです。
それではロックがかかってない国外版は一体いくらで売られているかというと、相場が約103000円。高価な中国版よりさらに高く売れています。2014年中国の平均年収が約53万円である事を鑑みると、94個持ち込んで一攫千金、と思った気持ちも分からないではありません。彼の逮捕後もiPhone密輸入が治まる気配はしばらくなさそうです。

旧型のモバイルアーマー

共産圏突破ならず。

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ただ確かな事は入国検査場の監視が一層厳しくなる事と、それでも次世代のモバイルアーマーが生まれてくる事でしょう。
そしてその時彼らの装甲は少しだけ、減っているのでしょう……多分。

REFERENCE:

香港男子身绑94部iPhone入境被查获

香港男子身绑94部iPhone入境被查获

http://slide.news.sina.com.cn/c/slide_1_2841_80267.html#p=1