冬になると気分が塞ぐ『季節性うつ』の治療法として知られる『光療法』が通常のうつ病にも効果があることがブリティッシュコロンビア大学の研究により明らかになった。

Bright light therapy is an evidence-based treatment for seasonal depression, but there is limited evidence for its efficacy in nonseasonal major depressive disorder (MDD).

光を浴びるだけで気分が回復する

冬になると気分が塞いで何もする気が起きなくなってしまう『季節性うつ』は冬場の低い気温よりも日照時間の少なさ、つまり一日に当たる日光の量が少ないことが原因であるとされている。そこで患者に強い光を浴びせて脳内にセロトニンを放出させる『光療法』がその治療に役立っていた。

しかし、いわゆる普通のうつ『大うつ病』は日照時間の長い夏でも発症するため、光療法は役に立たないと考えられてきた。

研究者は今回、光療法が大うつ病に効果があるかどうかを確かめるため大うつ病患者を集め、朝起きてすぐに強い光を一日30分、8週間以上にわたって浴びてもらった。その結果、光療法を受けたうちの約60%がうつ的な気分から通常の気分へと『回復』したという報告がなされた。

なぜこのようなことが起きるかははっきりとはしていないが、光を浴びることで体内時計がリセットされる、あるいはうつ病の原因の一つと考えられているセロトニンの不足が、光を浴びることで解消されるからではないかと考えられている。

新しい治療法になるか

これまでの大うつ病の治療はプロザックやフルオキセチンなどの抗うつ剤を投薬する治療が主なものだった。しかし、抗うつ剤は決して安くなく患者によっては『合わない』ことがある。効果がなかったり、時によっては悪化してしまうこともある。

これに対して光療法は薬のように何度も買う必要がなく非常に安価で済む上に副作用の心配もない。晴れた日であれば朝起きて外に出るだけで効果があるかもしれない。抗うつ剤を飲むより遥かに手軽なことから抗うつ剤に代わる新しい治療法となるのではないかと期待されている。

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一般家庭で使われる照明では効果がない。

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抗うつ剤はもういらない?

光療法によって抗うつ剤はもう必要なくなるかというとそうでもないようだ。集められた大うつ病の患者の半数は光療法に合わせて抗うつ剤の一つ、フルオキセチンを服用してもらっていた。フルオキセチンを服用しながら光療法をおこなった患者は光療法のみの患者よりも回復が著しく、つまり抗うつ剤と光療法は同時におこなっても双方の効果が認められることを意味する。薬が『合っている』人は光療法と抗うつ剤の両方を試してみるのがよさそうだ。

現在、日本人の10%がうつ病に疾患していると言われている。他の国と比べると比較的少ない数値ではあるが、いつストレスによりうつがやってくるかわからない。これからさらに寒い季節がやってくるということもある。健康な精神のために朝起きたら外に出て30分ほど散歩をしてみるといいかもしれない。

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蛍光灯の光では治療にならないがくもりの日程度の明るさでも光療法としては効果がある。

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REFERENCE:

Efficacy of Bright Light Treatment, Fluoxetine, and the Combination in Patients With Nonseasonal Major Depressive Disorder

Efficacy of Bright Light Treatment, Fluoxetine, and the Combination in Patients With Nonseasonal Major Depressive Disorder

http://archpsyc.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2470681