これまで、地球温暖化による大幅な海面の上昇には数世紀もの時間がかかると考えられてきた。しかし最新の研究によれば、早ければ50年後にも世界の沿岸都市は海に沈んでしまうかもしれないという。

“We’re in danger of handing young people a situation that’s out of their control,” said James E. Hansen, the retired NASA climate scientist who led the new research. The findings were released Tuesday morning by a European science journal, Atmospheric Chemistry and Physics.

元NASAの気候科学者ジェームズ・E・ハンセン氏が率いる研究チームは、現在の状況に近いモデルケースとして、約12万年前に起きた温暖化現象に注目した。「サンガモン間氷期」と呼ばれるこの時期、平均気温は現在よりも約1度高かったとされる。この時期には極地の氷床の多くが崩壊し、海面は6~9メートル上昇していたという。研究チームは当時の状況を鑑みて、現在よりも速いペースで温暖化が進んだ場合、早ければ50年後にも海面が数メートル上昇し、世界の沿岸都市(ニューヨーク、ロンドン、東京……)は海に沈んでしまうと予想している。

現在より気温が4℃上がった場合、ロンドンはここまで沈む想定だという。

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研究チームによると、まずは温暖化により南極やグリーンランド付近の巨大氷床が溶けはじめるという。これにより海流の動きが遅れたり、あるいは止まってしまうと、地球上の熱の動きにも影響が出る。その結果、海中深くの温度はさらに上昇し、氷床の溶けるスピードはより速くなるという。また、熱帯地方と極地の温度差が大きくなった場合、強力な嵐が発生する可能性もある。

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もっとも今回の研究報告は気候科学者のあいだでも賛否が分かれている。賛成側は「(今回の研究は)かつて起こったと思われる大きな気候変動への理解を促進しうるもの」としているが、反対側は「主張の一部は突拍子もなく、気候変動に関する一般的見解と矛盾する」と指摘する。

しかしこの報告への賛成・反対にかかわらず、多くの気候科学者は『温室効果ガスの排出量を削減するには社会の動きは不十分』と考えているようだ。2009年の「第15回気候変動枠組条約締約国会議(COP15)」で、参加国は「世界の気温の上昇を2度以下にとどめる」という方針で合意したが、すでに地球上の氷は溶けはじめており、海面の上昇も進んでいるという。ハンセン氏は「それは世界中すべての沿岸都市が、すなわち世界の大都市のほとんどとその歴史が失われることを意味する」と話している。

REFERENCE:

Scientists Warn of Perilous Climate Shift Within Decades, Not Centuries

Scientists Warn of Perilous Climate Shift Within Decades, Not Centuries

http://www.nytimes.com/2016/03/23/science/global-warming-sea-level-carbon-dioxide-emissions.html

氷河期 – Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/氷河期

第15回気候変動枠組条約締約国会議 – Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/第15回気候変動枠組条約締約国会議

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