子供は無邪気でかわいいものです。しかしその反面、無邪気であるがゆえに時に残酷さを発揮します。特に意味もなくトンボの羽をむしってみたり、アリの巣に水を流し込んだりします。記者が小学生の頃、友人が『ハムスターを握りしめると目玉が飛び出る』ということを嬉々として報告し、実際に見せてくれたということがありました。さておき、その残酷さが集団ともなればさらに増すことを小学校に通ったことのある方々はご存知のことと思います。

最新の研究によって、その暴力の矛先はロボットにも向かうことがわかっています。そうした暴力に対して、ロボットの親である研究者たちは、ロボットが子供の『イタズラ』から身を守る術、子供から逃げるアルゴリズムを開発しました。

hey designed an abuse-evading algorithm to help the robot avoid situations where tiny humans might gang up on it.

Robot Tries to Escape from Children’s Abuse

ロボットが子供たちに襲われる映像、逃げる方法などが収録されている。

ロボビー2

この研究は国際電気通信基礎技術研究所(ATR)知能ロボティクス研究所と大阪大学、龍谷大学、東海大学の三大学の研究によっておこなわれました。実験に使用されたロボットはロボビー2で、数年前にはお年寄りの買い物を手伝いをする実験もおこなわれています。

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買い物を手伝うロボビー2

買い物カゴを手に持ち、心なしか楽しそうに見える。

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Robot-ニュース–ATR、京都府相楽郡で複数ロボットの連携による高齢者の生活支援実験を開始

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子供と抱き合うロボビー

ロボットに対して共感できるかどうかを実験した際の写真。こちらは恐らく”2”のつかないただの『ロボビー』。

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Do Kids Care If Their Robot Friend Gets Stuffed Into a Closet? – IEEE Spectrum

恐るべき子供たち

実験は大阪のショッピングモールで行われました。ロボビー2はショッピングモール内でパトロールをおこなっています。

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子どもと出会うロボビー2

どいてくれるようお願いすると、大抵の子どもはよけてくれる。

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Robot Tries to Escape from Children’s Abuse

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子どもに取り囲まれるロボビー2

しかし子どもの数が増えると子どもはロボビー2のお願いを無視する。

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Robot Tries to Escape from Children’s Abuse

子ども一人ひとりがロボビー2と出会った時は、きちんとロボビー2のお願いを聞いて、進路の邪魔をしないようにしてくれたようです。しかし、その場に複数の子どもがいると、ロボビー2のお願いを無視して進路を塞ぐようになり、次第に行動はエスカレートしていくようです。

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さらに数が増え『かごめかごめ』のように子どもたちに取り囲まれるロボビー2

大人がいない状況だとこのような無法状態になるらしい。なんとなく『蝿の王』(ウィリアム・ゴールディング著)を思わせる光景だ。

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Robot Tries to Escape from Children’s Abuse

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叩かれるロボビー2

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Robot Tries to Escape from Children’s Abuse

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蹴られるロボビー2

ちなみに、ロボビー2に対する罵声も増えた。IEEEの記事によれば、ある子供はロボビー2に対して8回も『idiot(バカ)』と言ったらしい。大阪だから「アホ」かもしれない。

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Robot Tries to Escape from Children’s Abuse

他にも子どもたちはロボビー2の首を曲げたり、ボールをぶつけたり、ペットボトルで殴ったりペットボトルを投げつけたりと色々とやりたい放題です。

この動画を投稿した米国電気電子学会(IEEE)の記事では、この子どもたちの行動に対して『ほんまおっそろしいクソガキ子供たちはロボットに対して予測されていたほどロボットに共感を覚えなかったようです』というようなコメントをしています。

たしかに。

というわけで、研究者はロボビー2に『恐るべき子供たち』から身を守るための行動アルゴリズムを開発しました。

助けを請うロボビー2

研究者はロボビー2に子どもたちが襲いかかってくる確率をシミュレーションさせました。

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ショッピングモール内を上から見た図

画面左下の赤い丸で囲まれた緑の丸がロボビー2で、赤い棒が付いた丸、青い棒が付いた丸はそれぞれ子どもと大人を指す。つまり、今ロボビー2は子ども二人を前にしている。

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Robot Tries to Escape from Children’s Abuse

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子どもが一人減った

子どもの近くの数字は『子どもがロボビー2にイタズラをする確率』を指している。この確率は時間と共に上昇する。子どもの特性をよく捉えているといえる。

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Robot Tries to Escape from Children’s Abuse

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子どもの数が増えた。

子どもの数が増えるとイタズラの確率が二人とも上昇する。

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Robot Tries to Escape from Children’s Abuse

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数値が被っていて見づらいが、片方の子どもの確率が12%程度、もう片方が13%程度で、ロボビー2がどちらかに襲われる確率は約25%。

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Robot Tries to Escape from Children’s Abuse

子どもに襲われる確率が増すと、ロボビ-2は大人に助けを請いに走ります。

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危険を察知して大人の元へ走るロボビー2

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Robot Tries to Escape from Children’s Abuse

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どことなく諌められているように見える子ども

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Robot Tries to Escape from Children’s Abuse

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これによってロボビー2は劇的に襲われる確率を減らすことに成功したそうです。

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Robot Tries to Escape from Children’s Abuse

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子どもが親に連れて行かれ、一人残されるロボビー2

どことなく寂しそうに見えないこともない。

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Robot Tries to Escape from Children’s Abuse

……なんとなく当たり前といえば当たり前のことなのかもしれませんが、ロボビー2の危害が減るのならばひとまずは良しとしましょう。

ともあれ、このアルゴリズムは大人がロボットを守ってくれるという前提の下に成り立っています。つい先日、ヒッチハイクをするロボット『hitchBOT』が襲撃される事件
ありましたが、破壊された様子から犯人は明らかに大人の仕業です。助けを頼んだはずの大人にもいじめられてしまってはロボビー2は生きる場所を失ってしまいます。

もし、いつかどこかでロボットがいじめられていたら、それが大人であろうと子どもであろうと、助けてあげてやってください。

REFERENCE:

Children Beating Up Robot Inspires New Escape Maneuver System – IEEE Spectrum

Children Beating Up Robot Inspires New Escape Maneuver System – IEEE Spectrum

http://spectrum.ieee.org/automaton/robotics/artificial-intelligence/children-beating-up-robot

Why Do Children Abuse Robots?

http://www.rikou.ryukoku.ac.jp/~nomura/docs/CRB_HRI2015LBR2.pdf

Robot-ニュース–ATR、京都府相楽郡で複数ロボットの連携による高齢者の生活支援実験を開始

http://robot.watch.impress.co.jp/docs/news/20091214_335825.html

TAKAYUKI KANDA’s website

http://www.irc.atr.jp/~kanda/j-index.html