東経10度北緯59度、ノルウェーのヴェストフォルの町に、Tor Eckhoffという名の50才の中年男性(塗装工場勤務)が住んでいます。さかのぼる事今から五年、2010年のクリスマスに、彼は休日を利用して一本の動画を撮影し、Youtubeに投稿しました。それはメタル調の『Jingle Bells』をバックにして、凍った湖に開けた穴から半裸になった彼が出入りしたり、チェーンソーを持ってステップを踏んだり、湖に浸かってウォッカを飲んだりしているものでした。その動画がこちらです。

Merry Christmas 2010

これ以降毎年クリスマスに、彼は同様の動画を投稿し続けています。年を経る事に内容は洗練されていき、後ほど紹介しますが今年2014年のクリスマスに投稿されたものは、かなりクオリティが上がっています。そんな2014年版を楽しく見るために、まずは要素を一つ一つ確認しながら歴年の動画を振り返ってみましょう。

構成要素

初クリスマスの2010年版では、動画は大きく5つの要素に整理できます。

『穴の出入り』

『ツリー周辺を回る』

『銃を撃つ』

『ウォッカを飲む』

『チェーンソーを振る』

2010年版はまだ1分に満たない短さですが、今後の動画に欠かせないエッセンスが詰まっているといっていいでしょう。特に『ウォッカを飲む』は彼の基本行動になります。
続いての2011年版ではいきなり、大幅な改変が加えられました。

Merry Christmas 2011

『車で乗りつける』

『温度を測る』

『カメラを掲げる』

『氷を投げる』

『氷を割る』

『雪上を転がる』

新しい要素が満載の2011年版。「前回と同じ事はしない」という意思が感じられます。『ウォッカを飲む』は継続です。さらに2012年版では、

Merry Christmas 2012

『スキー』

『スキーを履いたまま泳ぐ』

新たなアイテム『スキー』の登場です。その年は湖に氷が張っていなかったためか、そのまま泳ぐ事にしたようです。他の要素は2011年版のものを大方引き継いでいます。前年度のものが高評価だったのかもしれません。ベースが固まったと言っていいでしょう。
昨年の2013年版では、また違った方向性を見出し始めています。

Merry Christmas 2013

『クリスマスイブに気づく小芝居』

『スケート』

『瓶を転がす』

『光る男性』

また新しいアイテム『スケート』が現れました。一部『チェーンソーを振る』『穴の出入り』など2010年版への先祖帰りも見られます。しかし2013年版の中で注目すべきは、動画の流れの中にストーリーが現れ始めた点です。もう彼は不規則に動くだけではなく、人間の感情を持ち始めたという事です。ウォッカは増えています。
彼の動画を振り返ってみると、実に様々なパフォーマンスが行われている事が分かると思います。しかしこうして要素を羅列するだけでは、どのような変遷を経てきたか、全体像がつかみにくいのではないでしょうか。そこで整理するために表を作ってみました。

中年男性のMerry Christmas動画一覧表

2010 2011 2012 2013
動画尺 41秒 1分9秒 1分34秒 2分37秒
BGM Jingle Bells Happy Holiday Happy Holiday Happy Holiday
カメラ視点 固定+手持ち 固定+水中 固定+水中 固定+水中
編集 iMovie iMovie iMovie iMovie
ストーリー 脈略なし 脈略なし 脈略なし 前半あり
氷の穴 △(薄い) ×
× × ×
チェーンソー × ×
× ×
温度計 × × ×
ウォッカ
スキー × × ×
スケート × × ×
半裸
帽子 × 青+銀 青+銀
ウォッカの瓶 持つ 持つ 持つ 持つ+転がす
ツリー
ツリーとの位置関係 回る 横を通過 回る 絡まる
イルミネーション × △(ツリー以外)

考察

表にすると、はっきりと男性の傾向が分かると思います。
動画尺は年々増え続けています。半裸でウォッカは変わらないスタンスのようです。これは動画を作る上での芯、背骨のようなものかもしれません。また編集はずっとiMovieを使っているようです。
『銃を撃つ』『温度を測る』など次回以降出て来なくなったものは、あまり評判が良くなかったのかもしれません。確かに銃を撃つシーンは氷の上でやる必要がありません。寒いのも分かります。

さてこれらの考察をふまえた上で、2014年はどうなっているのか見てみましょう。特に2013年から現れ始めたストーリー展開に注目して下さい。

Merry Christmas 2014

大作です。秋頃から撮影を始めているのではないでしょうか。そしてストーリーは、不思議な魔法のドングリを巡る物語に仕上がっています。湖畔で見つけたドングリは様々な願いを叶えてくれるようです。

Youtubeのコメント欄では「腋を嗅ぐおじさんが気持ち悪い」と批難する声の中にも「あの秘密のドングリが欲しい」というコメントが見られます。彼はまた新たなステージを迎えたのではないでしょうか。このまま続けていくと20年後、彼の『Happy Holiday』はどのようになってしまうのか、実に興味深いです。来年も引き続いて追っていきたいと思います。

オーロラがもったいない。

REFERENCE:

apetor

apetor

https://www.youtube.com/channel/UCHnK83dqyPvFo6GX0rCwn8A