アンコールワットより東へ約40キロ。観光地とは遠く離れた場所にひっそりとたたずむ『ベンメリア』。その神秘的な外観から、皆さんもよくご存知のジブリ映画『天空の城ラピュタ』のモデルとなった場所だという噂もあります。

ベンメリア遺跡とは

ベンメリア遺跡が造られたのは、あの有名なアンコールワットよりもさらに前の、11世紀末から12世紀初頭にかけてだと考えられています。規模は周囲4.5kmとアンコールワットよりも小さく、現在はほとんどが瓦礫と化し、修復されずにそのまま放置されています。実はこのベンメリア遺跡、観光客に人気となったのはごくごく最近のことなのです。

1970年代から1993年にかけての内乱や、ベトナム、アメリカなどの侵攻を背景に、多くの地雷がカンボジア全土に埋められました。今でも200万から400万個もの地雷が埋まっているとされています。もちろんベンメリアもその例外ではなく、遺跡周辺には多数の地雷が埋まっていた為、誰も訪れることのできない場所でした。現在では撤去作業が完了し、多くの旅行者が訪れる人気の観光スポットとして名を連ねるようになりました。

「観光」ではなく「探検」

アンコールワットのような観光スポットでは、「立ち入り禁止区域」がしっかりと定められていて、決まった道順で寺院を散策することとなります。しかしベンメリアの場合、決まった順路というものがありません。まるでゲームのように、ダンジョンをクリアしていくのと同じような感覚で、遺跡を自由に探索することができるのです。

もちろん、立ち入れない場所もありますが、「え?この中入っていってもいいの?」と、我々の常識では考えられないような場所へ入れたりします。今にも崩れてきそうな遺跡内を探検するのはスリル満点で、冒険心をくすぐってきます。

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遺跡の壁にできたわずかな『出っ張り』を進む観光客。

悪すぎる足場

ベンメリアの醍醐味は「探検」。遺跡内は観光用に造られた足場の他に、直径1メートル近くある崩れ重なった石の上を進むこととなります。中には崖のようになっており、ふざけたりしていると簡単に転げ落ちそうなポイントもあるので、かなり慎重に進む必要がありました。ましてサンダルなど履いていようものなら悲惨です。途中、水で湿っているところもあれば、クモの巣やアリの行列ができているところもあります。そんな中をサンダルで進むとなれば、バランスを崩して転倒するばかりか、虫に足を噛まれるという悲劇の道を辿ることは避けられません。必ず、滑りにくい運動靴を履きましょう。

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このような道なき道を進んでいく。

荒廃した遺跡と熱帯樹

遺跡は神秘的な情景に満ちています。特に根っこを遺跡に絡ませるように成長した熱帯樹の姿は圧巻です。生命の力強さを間近に感じることができます。まるでジャングルに飲み込まれたようにうっそうと木々が茂り、遺跡内はまるで迷路のようになっています。方向感覚を失うばかりか、出口までたどり着くにも一苦労。修復されず野さらしの状態となっているなっているベンメリアは、延々と続く緑と灰色の世界に人々を誘い込みます。

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遺跡に絡みつく木々

 

ベンメリア遺跡は、『ラピュタ』のモデルであると言われていますが、これはあくまでも噂の域に留まっています。このベンメリア、先ほども述べたように、2000年までは多くの地雷が埋まっていたため、観光客は立ち入ることができませんでした。『ラピュタ』の制作時期はそれより以前なので、製作陣は遺跡内に立ち入ることさえできなかったはずなのです。となればやはり、観光客を呼び寄せるための単なる作り話だったのでしょうか。

カンボジア内戦
東南アジアのカンボジアにおいて、カンボジア王国が倒れたのち、1993年の総選挙で民主政権が誕生するまでの間、20世紀後半に続いた内戦状態をいう。-Wikipedia
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このように木の根っこを使って、ゆらゆらブランコなんて楽しみ方も。

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入口付近に置かれた蛇神ナーガの像。不思議な雰囲気を漂わせている。

しかし、たとえ『ラピュタ』のモデルでなかったとしても、ベンメリアには一見の価値があります。この遺跡には、生命の神秘と美しい情景があり、あなたが忘れかけていた冒険心を呼び起こしてくれます。カンボジアのお決まり観光コースであるアンコールワットとは、また一味違った不思議な世界に、きっとあなたは夢中となるはずです。

INFO:

ベンメリア遺跡

開門時間 6:00-17:00
入場料 5ドル

ベンメリア遺跡

開門時間 6:00-17:00
入場料 5ドル