数年前にネットを騒がせた滋賀のショッピングモール、「ピエリ守山」。テナントが続々閉店、その客足のまばらさが話題を集めました。2014年12月17日、装いも新たにリニューアルオープンしていますが、果たして今後はどうなっていくのでしょうか……。

しかし調査してみると、もしかすると「ピエリ守山」のようなケースは今後珍しくなくなるかもしれません。また、海外では事態はより深刻といってよさそうです。今回は、乱立するショッピングモールとその未来について考えてみます。

Developers have had to get creative when it comes to salvaging America’s failing shopping centers, turning them into hospitals, churches, and even parks.

『明るい廃墟』と呼ばれて

滋賀県守山市にある大規模ショッピングモール「琵琶湖クルージングモール ピエリ守山」は、2008年9月に開店しました。豪華客船を模した外観に、琵琶湖を眺めることのできるテラスを備えた優雅な空間と、食品スーパーやスポーツ用品店など約200の専門店を用意し、かつての来客目標は年間約900万人であったといいます。

まさに先の見えない出航。

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IBA Street Pictures

しかし、その幸先はけっして良いものとはいえませんでした。開店前後に発生したリーマン・ショックにより不景気が到来、また開店直後より、滋賀県内にはショッピングモールがなぜか続々とオープンしています。

2008年11月14日 「草津エイスクエア」リニューアルオープン
2008年11月21日 「フォレオ大津一里山」オープン
2008年11月26日 「イオンモール草津」オープン
2008年11月28日 「アル・プラザ堅田」オープン

わずか2週間で4つの商売敵が現れた「ピエリ守山」は、それでも健闘を続けていたようです。しかし、2010年に大型モールが近隣に2店舗オープン、更なる追い討ちをかけられてしまいます。

2010年6月8日

「イオンモールKYOTO」オープン

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AEON MALL

2010年7月8日

「三井アウトレットパーク 滋賀竜王」オープン

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日経トレンディネット

ついに同年10月、施設管理を手がけていた「大和システム株式会社」は、633億円の負債を抱えて民事再生法を申請します。「ピエリ守山」の運営はその後も続けられましたが、かつて約200店舗あったテナントは、2012年11月にはわずか4店舗となってしまいました。

開店からすぐ後の様子

この頃はまだ賑わっていたという。

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ユーのアートな日常

駐車場もこの通り。

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ユーのアートな日常

しかしテナントが続々撤退

『明るい廃墟』と呼ばれた。

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IBA Street Pictures

フードコートもこの状態に。

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デパート通信

アメリカの場合

「ピエリ守山」の場合、開店早々の不遇が災いしたのは否定できないことでしょう。しかし、かつて繁盛したモールが最後には閉店に追い込まれたというケースは国内外ともに存在します。たとえば、アメリカで起きているケースを見てみましょう。「ピエリ守山」が『明るい廃墟』と揶揄されたのに対して、こちらは本当の廃墟となってしまっています。

ローリング・エーカーズ・モール(オハイオ州)

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BUZZFEED

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クローバー・リーフ・モール(バージニア州)

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ウッドビル・モール(オハイオ州)

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ジョージア工科大学のエレン・ダナム・ジョーンズ氏は、これらのショッピングモールが廃墟と化してしまったことについて、人々が「ショッピングモールでの買い物よりも、街中を歩いての買い物や、オンラインショッピングを好むようになった」のが原因であると分析しています。

また、アメリカには現在、およそ1200の屋内型ショッピングモールが存在します。しかし現在、その3分の1が廃墟になっているか、もしくはそうなりつつあるようです。エレン氏によると、20世紀にショッピングモールが建てられすぎており、しかもひとつひとつの面積が他国のモールの倍、ヨーロッパの国々に比べておよそ6倍であるといいます。

日本国内のイオンモールは約120店舗。多いとみるか少ないとみるか……。

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松田平田設計

しかしアメリカでは現在、廃墟となったショッピングモールの再利用が各地で進んでいます。
たとえばテキサス州の「ハイランド・モール」は、1971年にオープンするも、2010年にはほぼすべてのテナントが撤退しました。そこで、テナントとして事務所が入居していた「オースティン・コミュニティ・カレッジ」は、なんとモール全体の買い取りを決めたのでした。現在モールは、約18,600m²の学習スペースに604台のコンピュータ、図書館や事務所を備えた『銀河最大の学習デパート』として活用されています。

現在のハイランド・モール

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CITYLAB

ヴァンダービルト大学医療センター

テネシー州の「100オークス・モール」の2階部分を再利用。

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CITYLAB

日本でも地方都市では、ショッピングモールのテナントが医療や行政によって再利用されるケースがしばしばみられるようになりました。また、ショッピングモール以外の「廃墟」の再利用も行われており、たとえば廃校を文化施設やゲストハウスなどにリノベーションする動きも活発になっています。

文部科学省が「廃校リニューアル50選」を発表するほど。

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文部科学省

終わりの始まり?

アメリカで大規模モールが次々に廃墟化していく現象は、決して対岸の火事ではないでしょう。

現在、日本は国民の4人に1人が高齢者という超高齢社会に突入しています。2020年には65歳以上の人口が全体の29.1%、2035年には33.4%に達するといわれています。20年後には、3人に1人が高齢者という時代がやってくるのです。もともとショッピングモールの主なターゲットが20〜30代であること、現在その世代がオンラインショッピングに慣れていることを考えると、明るい未来を予想するほうが難しそうです。

なんでもネットで買える世の中。

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Getty Images

たとえば「ピエリ守山」は『明るい廃墟』と呼ばれましたが、他のモールが今後そうならない可能性があると言い切れるでしょうか? アメリカで、かつて建てられすぎたモールが続々と閉鎖に追い込まれているのを考えると、「ピエリ守山」を追い込んだ数々のモールが20年後に廃墟になっている可能性は否定できそうにありません。

ファスト風土化
評論家の三浦展が導入した概念。地方の郊外化の波によって日本の風景が均一化し、地域の独自性が失われていくことを、その象徴であるファストフードにたとえたもの。
Wikipedia

地方の道路沿いにショッピングモールやコンビニ、ファミリーレストランばかりが立ち並ぶのは、『ファスト風土化』の光景のひとつだといいます。その光景がもたらす未来が、すでにアメリカにはやって来ているのかもしれません。立ち並んだモールが続々と廃墟になっていくとき、二度目の『均一化』が起こることでしょう。

「ピエリ守山」は、2014年12月17日にリニューアルオープンを果たしています。しかし、もしかすると『終わり』はまだ始まったばかりなのかもしれません。今度こそ廃墟化を免れて、活気のあるショッピングモールとして再生することを祈りたいものです。

REFERENCE:

A New Life for Dead Malls

A New Life for Dead Malls

http://www.citylab.com/design/2015/03/a-new-life-for-dead-malls/387208/

Completely Surreal Photos Of America’s Abandoned Malls

http://www.buzzfeed.com/mjs538/completely-surreal-pictures-of-americas-abandoned-malls

30年後、日本は「明るい廃墟モール」だらけ!?

http://toyokeizai.net/articles/-/43733

AEON MALL | イオンモールについて | 会社概要

http://www.aeonmall.com/about/company.html

高齢化社会 – Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E9%BD%A2%E5%8C%96%E7%A4%BE%E4%BC%9A