新年あけましておめでとうございます。本年もsignの記事をよろしくお願いいたします。さて皆さんは今年の初日の出、見に行かれましたか?吉兆なのか凶兆なのかは分かりませんが、NASAから見た初日の出はこのような感じだったようです。

2015年1月1日19時43分(日本時間)の映像

なにやら黒い影が……。

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NASA

年始早々、NASAの太陽観測衛星Solar Dynamics Observatory(略称SDO)からなんとも衝撃的な映像が届けられました。明るく輝く太陽の一部、南極方面に黒く巨大な穴が出現しています。前日大晦日までは、太陽にこのような穴は存在していなかったそうですが一体、何が起きているのでしょうか?

どうやらこの穴は、太陽をとりまいている磁力の偏りが引き起こしている現象のようです。

太陽の磁力線

私たちが住んでいるこの地球には、南極から北極にかけて磁力線が通っている事を知る人は多いでしょう。方位磁石のN極が北、S極が南を常に指し示す道理です。この磁力が発生する原因は地球内部、外核とよばれる部分の流動によって引き起こされる電磁誘導であるといわれており実はこれと同じような事が太陽でも起こっています。ただ地球の130万倍の体積を持つ太陽が激しい流動と自転を行った場合、磁力は南北に走るだけではありません。磁場は表面上の各所で発生し、ともなって磁力もあちらこちらに走っています。

地球の磁力線

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Zappys Technology Solutions

太陽表面の磁力線

多過ぎて見えない。

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tonynetone

太陽内部で発生した磁力の束は、その断面が表面上で一対の組になって現れる事が多く、それぞれN極S極に対応しています。またこの断面部分は周囲に比べて温度が低く、暗く、密度も低くなっています。そのためにまるで黒い斑点のように見えたりします。聞いた事があるかもしれません。この現象は太陽黒点、『黒点』とよばれています。

黒点AR2192

小さく見えても直径は地球10個分。

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ajmexico

一対になった黒点。

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David St. Louis

元旦に観測された大きな穴は、実は巨大な黒点のようなものなのです。ではなぜ磁力線が集まり磁力が強まっている黒点が、低温になるのでしょうか。暗く見えるのでしょうか。そこでは何が起きているのでしょうか。

ループし続けるコロナ、続けないコロナ

太陽の周辺、外縁には『コロナ』とよばれている電離したガスの層があります。

日食時に見られるコロナ

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Luc Viatour

コロナの温度は太陽表面の6000℃、黒点の4000℃と比べて非常に高く、100万℃以上にも上ります。私達が普段目にしている輝きの内の大部分を占めているのが、この高いエネルギーを持つガス層から放たれる光なのです。黒点が暗い理由には、そんなコロナの動きが影響しています。

通常コロナは磁力の流れに沿って上空へ舞い上げられ、また磁力の流れに沿って表面へ戻るという一連の動きでループしています。この時、戻ってきたコロナの粒子は再び熱せられて激しい光を発します。

太陽から放たれたコロナの流れ

しかし黒点などの強い磁場から放たれた磁力の内、一部のものは太陽表面に戻されずに惑星間宇宙に広がって進んでいってしまいます。するとそれにしたがって動いているコロナも、宇宙空間に放たれた磁力とともに通常のループからはずれてしまい、その後太陽に戻ってくる事はありません。

太陽の中で輝きを失っている場所は、磁力が密集しているために多くのコロナがループから外れ、そのために粒子の再加熱が少なくなっている場所なのです。特に今回見られたような大規模なコロナの穴は『コロナホール』とよばれています。

時としてコロナホールはその異様から、地震、洪水、異常気象、はたまた天変地異の前触れだと騒がれる事もあるようです。しかしこの現象はそんなに珍しいものではありません。太陽では時折見られる現象なのです。また前述の災害とコロナホールとの相関関係は確認されていません。不必要に恐れる事はありませんが、ただ全くもって何も起こらないというわけでもないのです。

太陽から放たれているコロナ粒子は、毎秒100万トン、秒速400kmもの速さで太陽系全体に広がっていきます。この粒子の流れは『太陽風』と呼ばれていて、当然地球もその影響を受けています。特にコロナホールが出現している間は磁力線が増加しているので放出されるコロナの質量も増え、太陽風は普段の2倍の速度である秒速800kmで太陽から放たれるそうです。

速度を増した太陽風は地球に、そして私達の生活に幾分かの影響をもたらすようです。

オーロラ、磁気嵐そして太陽嵐

代表的なものがオーロラです。

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Moyan Brenn

現在オーロラは、地球の磁力圏に引き付けられた太陽風が高緯度地域上空の大気、電離層に落ち込み、粒子に衝突する事によって放たれる光であると考えられています。詳しい生成メカニズムについてはまだ分かっていない事も多いのですが、コロナホールが広がる時期には太陽風の勢いが増して、強く輝くオーロラが観測されるようです。そうなると日本のような中緯度地域においてもオーロラが見られる事があるようです。

また強い太陽風が地球に吹き込む事で、地磁気(地球の磁気)に変化が及ぼされる事があります。これは『磁気嵐』とよばれる現象で、ラジオが一時的に聞こえなくなったり、伝書鳩が迷子になったりと私達の生活に影響をもたらします。

2003年11月4日、巨大黒点486が強大な太陽フレア(爆発)を解き放った。地球に直撃した太陽風は北米全域で通信障害を引き起こした。

さらにコロナホールとの直接的な関係は分かっていない上に非常にまれな現象なのですが、太陽から突発的に莫大な質量のコロナが噴出する事があります。これは『コロナ質量放出』とよばれ爆発的な太陽風を生み出します。これらが地球に到達した暁には『太陽嵐』とよばれる強烈な磁気嵐が巻き起こり、陸空での通信障害、送電線に誘導電流が発生してシステムダウン、そこからの大規模停電、電子機器の故障などの甚大な被害を及ぼします。1805年から4、5回しか観測されていないレアな現象ではあるのですが、2012年にも高威力の太陽風が地球をかすめていたそうです。実にぞっとしない話です。

フレアによるコロナ放出

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dailymail

46億年もの間、太陽と適度な距離を保ちながらお付き合いしてきた地球、そんな地球に今年も暮らしていく私達なのです。『明けまして』と挨拶する年始めなのです。なにとぞ良好な関係をお願いしたいものです。

REFERENCE:

Mystery at the sun’s south pole: Nasa reveals huge ‘coronal hole’ on the solar surface where winds reach 500 miles per SECOND

Mystery at the sun’s south pole: Nasa reveals huge ‘coronal hole’ on the solar surface where winds reach 500 miles per SECOND

http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2894840/Mystery-sun-s-south-pole-Nasa-reveals-huge-coronal-hole-solar-surface-winds-jet-500-miles-SECOND.html