同性愛の傾向があるとされ、雌を妊娠させられない雄牛のベンジーが殺処分されようとしていました。しかし動物愛護団体・同性愛保護団体と『シンプソンズ』共作者サム・サイモン氏の活躍によって救われることができました。

アイルランドで、雌牛を妊娠させられないのは同性愛の傾向があるためだとして殺処分されることになった雄牛が、米人気テレビアニメ「ザ・シンプソンズ(The Simpsons)」の共作者サム・サイモン(Sam Simon)氏らの助命運動によって救われた。英国の保護区で余生を過ごすという。

農場主に役立たずといわれた雄牛ベンジー

ベンジーはシャルレー種という血統書つきのアイルランドメイヨー州の農場の雄牛で、繁殖用に飼われていましたが、雌牛と一緒にさせても1頭も妊娠することができませんでした。交わるそぶりを見せなかったので、恥ずかしがっているのかと農場主は長らくそのままにしておきました。その後他の雄を雌の群れに入れたところ、今度はあっという間に妊娠しました。ベンジーは昨年購入したとのことですが成果の出ない繁殖に時間を費やした後で、医師の検査を受け同性愛の傾向があると診断され、繁殖に用いるのは無理であろうと農場主は判断する結果になってしまいました。

その時にはベンジーは年をとっていたために、ステーキ用の良質の肉の状態になるに必要な去勢をすることができません。最終的に加工食品の肉にでもなることであろう屠殺場で殺される予定となっていました。血統書つきにも関わらず、役立たずの牛に扱われてしまったわけですが、早期にベンジーのことを理解してしかるべき対策をとれる者がいたなら、繁殖の役割を全うできなくとも良質の肉としての価値は認められていたことでしょう。

種馬ベンジー

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ベンジーの危機をサイモンが数う

このことが地元紙に掲載され、動物愛護団体と同性愛者向け雑誌にその情報が届き、『動物の倫理的扱いを求める人々の会』『動物の権利行動ネットワーク』『TheGayUK』といった動物愛護団体・ゲイ人権の社会団体らによるインターネット上での資金調達キャンペーンが行われました。

ベンジー保護のために動いた活動団体
・『動物の倫理的扱いを求める人々の会』アメリカ動物愛護団体。略称PETA。世界的知名度がある。

・『動物の権利行動ネットワーク』アイルランドの動物愛護団体。略称ARAN。

・『TheGayUK』同性愛者のためのサイト活動・マガジン発行をしている団体。

ベンジーを保護するには農場から購入する資金および動物保護区域へ輸送するための5000ポンド(約90万円)の資金が必要でした。このキャンペーンに応じて資金提供した数は250人にのぼり4000ポンドが集まりました。これに『ザ・シンプソンズ』の共作者としても有名なサム・サイモン氏が5000ポンド出し、総額9000ポンド(約170万円)が集まり、彼の保護が実現することになりました。

サム・サイモン氏はザ・シンプソンズ降板以後、動物愛護活動に尽力し、多額の資産を動物愛護や貧困者のためにあてると決め、それが今回の救出につながりました。サム・サイモン氏は「同性愛であるためにこの牛を殺すことは二重の悲劇だ」と語っています。彼の活動からは現代の同性愛者が社会的弱者であるという考えが読み取れるのであり、そのように見て一定の理解はできるものです。ベンジーのことを社会的弱者と理解し保護対策をとったため、役立たずとされた彼の命の保障が認められました。

資金を提供したサム・サイモン氏

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Matt Waldron

12月ベンジーは英国にあるヒルサイド動物保護区(Hillside Animal Sanctuary)移送される予定です。そこでゲイ牛ベンジーとして彼の余生をすごすことでしょう。

REFERENCE:

AFP

AFP

「同性愛」の雄牛、ネット募金で殺処分免れる
http://www.afpbb.com/articles/-/3032272