民間航空機産業において、安全性における分野の規制やその管理を行っている欧州航空安全局(EASA)は、航空各社にスマートフォンをはじめとする携帯型電子機器(PED)を旅客機内で乗客が使用することを認めると発表しました。

PEDとは主に、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン、電子書籍リーダ、MP3プレーヤなどを含みます。ただ、各航空会社は、機内モードに設定せず使用することを前提に、それぞれ独自に評価を実施した上で、PEDの電波が航空機のシステムに悪影響を及ぼさないことを確認しなければならず、航空会社ごとに開始時期は異なってくるようです。

禁止されていた根拠

「VOR」や「気象レーダー」をご存じでしょうか?「VOR(VHFOmni-Directional Radio Range)」は機体と空港の距離と方向を確認するアンテナです。「気象レーダー」は事前に雷雲などの悪天候領域を探知するためのレーダーです。これらは重要な機器で、機内に持込まれたPEDなどの電波により誤作動を起こす可能性があります。また、計器などを繋ぐ電気配線も電波や磁気に影響を受けやすく、異常が発生するおそれもあります。これらの可能性を否定出来ないことから機内で使用することが禁止されていました。

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VOR(超短波全方向式無線標識)

VHF Omnidirectional Range、VOR)は、VHF帯(超短波帯)の電波を用いる航空機用無線標識。標識局を中心として航空機がどの方向にいるかを知ることができる。VORは、標識局のモールス符号(又は音声)による識別符号を合成した信号、及び空中受信器材が標識局から航空機までの磁方位(地球の磁北に対するVOR局からの方位)を求めるための信号を放射状に発射する。この放射状の指向性電波に沿った線を、VOR用語で「ラジアル」と呼ぶ。チャート上の異なるVOR局からの2つのラジアルの交点から、航空機の的確な位置を得ることもできる。 – Wikipedia

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D-VOR PEK

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気象レーダー

気象状況を観測するためのレーダーである。アンテナから電磁波を放射し、反射して返ってくる電磁波を分析することで、雨や雪の位置と密度、風速や風向などを観測している。レーダーの種類にはいくつかあり、それぞれ観測できるものが異なる。
気象学においては、気象現象の観測に重要な役割を果たす機器であり、1950年代から普及し始めた。工学においては、リモートセンシング技術の1つに位置づけられる。 – Wikipedia

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Bidgee

解禁の理由について

電子機器の機内使用を解禁の理由をアメリカ連邦航空局(FAA)は「我々が委託した委員による安全性の調査の結果から多数の商用航空機が電波の干渉を受けないとの結論に至った」と発表しています。

電子機器の機内使用を解禁することで、エアライン各社はWi-Fi接続サービスを提供できるようになり今後、提供が加速することは、間違いないでしょう。一方、国内でも航空機内における電子機器の利用制限の緩和を9月1日より国土交通省が実施しました。

さすがに離着陸時はNG

ただし、全ての飛行フェーズで携帯などが使えるというわけではありません。離着陸時にはこれまで通りスマートフォンなどの携帯電話、タブレット端末は機内モードに切り替える必要があり、ノートパソコンのような大型の電子機器は、荷物棚に入れなければなりません。

魔の11分間(Critical Eleven Minutes)

航空機事故の90%を占める離陸後3分間、着陸前8分間のことです。様々な危険や事故が予想される時間帯で、パイロットをはじめ飛行機の乗務員は多忙を極めます。パイロットは航空管制官との交信、他の航空機との位置の確認などを行います。航空管制官から降下の指示が出されてから、機体を降下させるのであって、通常、勝手な判断で行うことはできません。また、着陸のためにフラップや車輪を出す操作も行ないます。最後に、機体を接地させる寸前が滑走路を目視確認しなければなりません。一方、客室乗務員はSTS(サイレント・サーテイ・セコンド)を行います。これは一見、黙って目を閉じて座っているだけに見えますが、実は緊急事態に冷静に対応できるよう、頭の中でイメージトレーニングをしているのです。この11分間に、PEDの電波により航空機のシステムに悪影響があれば、どれだけ危険かは明らかでしょう。

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離陸・着陸の11分間がもっとも緊張する瞬間。