「死んだら自分の意識はどうなるのか」
誰しも一度はこの謎にぶつかり、夜眠れなくなったことがあると思います。この研究で人類はその答えに一歩近づいたのかも知れません。

【10月9日 AFP】人間は肉体的な死を迎えた後も意識を持ち続けている可能性があるとした、重度の心不全に陥った入院患者2000人以上の調査に基づく異色の研究論文が、6日の欧州学術誌「Resuscitation(蘇生)」(電子版)に発表された。
英サウサンプトン大学(University of Southampton)などの研究チームが行った今回の研究の目的は、心臓や脳の活動が停止する臨床死から回復した人々が語る「臨死体験」などの現象を調査することだ。

心停止中の意識と記憶

今回の調査では心停止状態から蘇生した101人を対象に、心臓再始動以前の心停止時、すなわち肉体的に「死んでいた」間の意識と記憶について聞き取りを行いました。結果は以下の通りです。

心停止中には意識があることを自覚していたが、その間の明確な記憶はない・・・39%
恐怖、暴力などの感覚や既視感を感じ、親族や動物、植物の映像が浮かんできた・・・46%
体外離脱等の体験をした・・・9%
心停止中に見聞きした出来事を明確に思い出すことができる・・・2%

この結果から、心停止中に意識があったと感じている患者は全体の85%にも上ることが分かります。更に最後の2%のうち1人は、患者の心停止中に3分間隔で鳴らされたブザーを2回聞いたことを記憶していました。少なくとも3分間は心停止状態で意識があり、かつ客観的事実と整合する記憶を保持しているということになります。

今回の研究を率いたサム・パーニア氏は次のように説明しています。

「これは重要な意味をもつ。なぜならこれまで死に関連する体験は、心臓が停止する前または再始動した後に発生する錯覚幻覚であり、心停止中に起きた出来事に対応した現実体験ではないとみなされてきたからだ」

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脳と意識と記憶の関係

つまりこの事例は、心停止中の体験が単なる錯覚ではなく現実の出来事である可能性を示唆しています。さらに興味深いのは、通常、心停止後20~30秒で脳の機能も停止すると考えられている点です。この患者のケースでは心停止後も脳機能が停止しなかったという可能性を考える必要はありますが、そうでなければ聴覚と記憶が脳とは独立して機能していたということになります。

患者への薬物や鎮静剤投与がなければ、蘇生後も臨死体験の記憶を保持する人はさらに増えるだろうとパーニア氏は予想しています。もちろん心停止中に現実の出来事を記憶していた例はまだ101人中1人に過ぎず、今後更なる研究が待ち望まれます。