シンガポールで漁師を営むオング・ハン・ブーンさんは、セントーサ島沖で釣りをしているとき、いままで見たことのない奇妙な姿、動きをする生き物を釣り上げた。数えきれないほどの触手を蠢かす様子は大変不気味で、この正体を知りたいと思ったオング・ハン・ブーンさんは謎の生き物を撮影、その動画を公開して正体を教えてほしいとコメントを募った。

オング・ハン・ブーンさんが投稿した生き物の動画

突然変異で生まれたタコのようにも見えるし、ヒトデのようにも見えるが、この動画に寄せられたコメントによると、これはクモヒトデ綱カワクモヒトデ目のテヅルモヅル(英名basket star)ではないかというのだ。

テヅルモヅルとは

テヅルモヅル(手蔓藻蔓、手蔓縺)とはクモヒトデ綱(蛇尾綱)カワクモヒトデ目(革蛇尾目)のテヅルモヅル亜目またはその中のテヅルモヅル科の棘皮動物の総称である。

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まるでサンゴのようにも見えるが、これひとつで一体の生き物である。

クモヒトデの仲間で1000メートルほどまでの深海に住んでおり、腕の数はクモヒトデと同じく5本。しかし、その腕が数十回数百回にわたって枝分かれしているため、このような触手状の姿になっているのである。海中のプランクトンをこの触手を使用して捕食している。

ヒトデとクモヒトデは違う

クモヒトデ網、ということはヒトデに近い生き物なのか。近いようでこのふたつは遠い存在なのである。過去の記事:クラゲっぽいのにクラゲじゃない、謎の深海生物発見にも書いているが、生物は、界・門・綱・目・科・属・種の順番に分類されている。ヒトデとクモヒトデは『棘皮動物門』の中にある『ヒトデ網』『クモヒトデ網』に分かれている存在なのだ。
わたしたち人間は『脊索動物門』に分類されるが、この中には爬虫類や魚類も含まれている。そのくらい、同じ門であっても大きく違ってくるのだ。

水族館で実物が見られる

テヅルモヅルは、水族館や博物館でも見ることができる。チームてづるもづるのページに実際にテヅルモヅルが見れる場所が一部紹介されている。

外見や動きを見ていると危険な生物なのではと思うが、水族館によってはこのテヅルモヅルに実際に触れることができるという。投稿されている動画でもその奇妙な姿、動きは伝わってくるが、実際にその目で実物を見てみると一層その奇妙さがわかるかもしれない。近くの水族館、博物館で見られるという人は、一度本物を見てみてはいかがだろうか。