4~5年前、立て続けにクラゲ大発生のニュースが世間を騒がせたことを記憶されている方も多いでしょう。近年はあまり聞かなくなりましたが、それでもこの現象が過去のものとなった訳ではありません。そして、その威力はたかがクラゲとあなどれません。あんなに弱々しくて柔らかく、少し乱暴に触っただけでバラバラになってしまいそうなクラゲであっても、いざ大発生すると様々な被害を引き起こし、有形無形の大きな損失が発生します。

クラゲのもたらす被害

漁業に被害を与えるエチゼンクラゲは遥か中国沿岸から日本海沿岸へ対馬海流に乗って漂ってきますが、そのわずか2~3ヶ月程の間に傘の直径が1メートル、重さが200kgにも育ちます。この驚異的な成長が、被害を大きくしています。

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エチゼンクラゲ

最大で直径1メートル、体重200kgになる。

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新江の島水族館

この大型クラゲが大量に網にかかるため、本来水揚げするべき魚が網にかかっていてもクラゲの重さで引き上げられなくなったり、船がバランスを崩して転覆してしまうことさえあります。網も傷んでしまう上に水揚げできる魚も少なくなり、さらに水揚げできた魚もエチゼンクラゲの毒や粘液で鮮度を失い、商品価値を失います。漁業に関する被害額は、多い年には数十億円から数百億円に上ると言われています。

漁業だけではない

また、大量に押し寄せたクラゲが発電所の取水口に詰まり、発電できなくなってしまったというニュースも見聞きします。

火力発電所におけるクラゲ大量発生による出力抑制について – 関西電力

この発電所を襲うクラゲは、主に「ミズクラゲ」というどこにでもいる一般的なクラゲです。それだけにいつでも大量に押し寄せて、経済活動に大きな影響を与える可能性があるのです。

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ミズクラゲ

日本近海でも最も普通に観察できるクラゲである。傘に透けて見える胃腔、生殖腺が4つあることから、ヨツメクラゲとも呼ばれる。-Wikipedia

超音波でクラゲを探知

このような被害を最小限に食い止めるため、日本をはじめ世界中の研究機関や企業でさまざまな対策が検討されています。例えばこちらの「超音波クラゲ検知装置」。文字通り、クラゲの存在を超音波で検知するという世界初のシステムです。

クラゲが大量に流れ着くことが事前に分かれば、取水口を塞がれるトラブルを最小限に抑えることができます。しかしクラゲのセンシングはそう容易いことではありません。そもそも水分量が95%以上であるため、一般的な魚群探知機ではクラゲの様子を正確に知ることが難しかったのです。

取扱商品

このシステムでは、センサーの感度やデータの解析方法に工夫を凝らすことでその問題を克服しています。水分が体組成の95%を占めることを逆手に取り、特徴的な弱い反射エコーであることと、独特なゆっくりした移動速度であることを認識してクラゲと判断し、モニターに表示しています。

これは穏便な方法ですが、以下の様にワイルドな装置もあります。

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大型クラゲクラッシャーポンプ

「海水ごと吸い込み、カッターで破断!」

キャプチャ

JEROS

Jellyfish Elimination RObotic Swarmの略。韓国で開発が進められているクラゲ破砕ロボット。

どうせ殺してしまうなら有効活用したい、ということで食用利用の道も模索されています。エチゼンクラゲとミズクラゲはいずれも食用可能ですが、重く加工にも手間がかかり、その割に取引価格は高くありません。またエチゼンクラゲに至っては全く現れない年もあるため、商業化するのは困難なようです。