新しいカモフラージュ技術というと「攻殻機動隊」や「メタルギアソリッド」のような光学迷彩が登場する映画やゲームを思い浮かべる方も多いかと思いますが、そのイメージ通りのカモフラージュ技術が現実になるかもしれません。近年、世界中の研究者達が様々なカモフラージュ技術を開発しています。その中でも、これは米イリノイ大学と米ヒューストン大学とで共同研究が進められており、米海軍の資金提供も受けているという現在最も注目されているカモフラージュ技術です。

タコの擬態能力をヒントに開発

米科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に発表されたこのカモフラージュ技術は、タコやイカなどが周囲に溶け込む擬態能力を科学的に再現したもので、1mm間隔に並べられた格子状の素材に光を当てると、瞬時にその光と同等の色に変化するというものです。

キャプチャ

黒い素材の一部に光を当てると・・・

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光の当たる部分が透明に。

ヒントにした擬態のしくみ

タコは、黄褐色の色素が含まれた色素胞と呼ばれる器官を持っています。この器官が擬態の大きな役割を持っており、この色素胞を収縮させたり弛緩させることで、色素が凝縮したり拡散したりして周囲の色と同様の色を作り出します。

少しづつ色の違う色素胞が重なっており、それぞれが違った色を出すため様々な色が表現されるといった仕組みになっています。その他にも色素胞は異なる3つの層を持ち、それぞれの層には役割があります。発色する層、周囲のパターンを読み込む層、そして色を作り出す層です。この層が周囲の状況に応じて働き、タコの驚くほど完璧な擬態が表現されています。

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色素胞のはたらき

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東邦大学

そして、新しく開発されているカモフラージュ素材もまた同じように染料や光学センサーが複数の層になっています。この素材に使われている染料は低温時には黒くなり、47度を超えると透明になるというもの。そして、周囲の変化に合わせ自動的に約1秒から2秒ほどで周囲と同じ模様を作り出す仕組みとなっています。

実用化に向けて

現在はまだ白と黒だけで模様を表現しており、実用化には程遠いとされていますが、この仕組が開発されたことにより、3年間の資金提供を行っている米海軍によった軍事利用はもちろんのこと、その他にも平和利用として建築家やインテリアデザイナーといった専門家もこの技術開発に大きな注目と期待を寄せています。

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Quantum Stealth

周辺の光を曲げることで背景に溶けこむことが出来る。なおこれはメディア向けのイメージ画像で、セキュリティの観点から実物は一般に公開されていない。

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Hyperstealth Biotechnology Corp.

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スズメバチそっくりの姿を手に入れた蛾

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Gyorgy Csoka – Licensed under Creative Commons Attribution 3.0 via Wikimedia Commons