ひとりの兵士がパラシュートで落とされた荷物の中身を見せている。中には様々な物資とともに手榴弾などの武器もあることがわかる。この物資、実はアメリカがクルド人義勇軍への支援のために投下したものなのだ。しかし、この兵士はクルド人義勇軍が戦っている相手、『イスラム国』の兵士なのだ。

アメリカからの物資を手に取る『イスラム国』兵士

『イスラム国』とは

2014年6月、『イスラム国』は国家樹立宣言をした。この国は、世界のどの国からも認められていない。彼らは、イスラム教スンニ派の過激派組織なのである。かつては『イラク・レバントのイスラム国(ISIL)』と名乗っていた彼らはイラクで自爆テロや刑務所の襲撃などを行っていたのだが、その活動のあまりの過激さ、非道さからアルカイダから絶縁を宣言されるほどである。彼らに対抗しているクルド人義勇軍をアメリカは支援。武器なども供給していた。その武器が、誤って敵である『イスラム国』の手に渡ってしまったのだ。

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アメリカが投下した救援物資を前に話す兵士

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中には大量の手榴弾などの武器もある

どうやって敵の手に渡ったのか

アメリカは、『イスラム国』を滅ぼすと宣言している。空爆を行い、対抗勢力には支援を行う。物資支援は飛行中の飛行機からパラシュートをつけた物資をまとめて目標地点に向けて投下していくが、風に流されれば目標投下地点からはずれていってしまう可能性がある。今回はこのような気まぐれな風によって、クルド人義勇軍に送るはずの武器が、誤って武器が敵の手に渡ってしまったようだ。

かつて戦国時代には上杉謙信が塩に困窮していた敵である武田信玄に塩を送ったという美談があったが、塩が武器、それもグレネードに変わった今回の事態はやはり失敗談として語り継がれそうだ。

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ヨークタウン

敵艦に着陸しようとした日本の爆撃機もいる。
第二次世界大戦時、日本の爆撃機が誤ってアメリカの空母に着艦しようとし、慌てて脱出したという事件があったようだ。着艦しようとした爆撃機の操縦士も慌てただろうが、アメリカ側もこれには驚いたことだろう。この後、着艦する飛行機が敵か味方かを見分ける信号を送るようになった。

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日本では郵便配達ミスによって受け取り主とは違う人物が受け取った場合、郵便法第42条によって誤配送した会社へと連絡しなければいけないというものがあるので注意が必要だ。今回の兵士だってご丁寧にビデオメッセージをアメリカ向けにアップロードしてくれている。空中投下の救援物資には受け取り確認はないし、サインだって必要ない。拾った者のモラルに頼るしかないわけであるが、ISISの場合、アメリカですら諦めるしかなさそうだ。