あなたは毎月の水道光熱費を把握していますか?毎月の金額は気にならない程度でも、何年、何十年と支払い続けることを考えるとバカにならない金額です。

経済産業省肝いりの「大規模HEMS情報基盤整備事業」では、40億円を超える予算を投じて「HEMS」を普及させることで、省エネと需要電力のピーク分散による電力不足解消を目指しています。

HEMSとは

エネルギー監理システム(EMS)とは電力使用量の可視化、節電(CO2削減)の為の機器制御、ソーラー発電機等の再生可能エネルギーや蓄電器の制御等を行うシステムです。

EMSは、その管理対象によって以下の4つに分類されます。

名称 管理対象
HEMS(Home Energy Management System) 家庭
BEMS(Building Energy Management System) ビル
FEMS(Factory Energy Management System) 工場
CEMS(Cluster/Community Energy Management System) 地域
hems

エネルギー監理システム

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TOCOS Wireless Engine

HEMS(Home Energy Management System)は、家庭内のエネルギー監理システムです。管理するのは主に電力で、エアコンやテレビ、照明など家電の消費電力を電源タップやコンセントのレベルで表示することができる他、太陽光発電による蓄電量をモニタ可能なものや、ガスや水道の使用量を表示できるものもあります。さらに照明の調光やエアコンの温度設定などを自動制御、またはスマホ・タブレットで遠隔操作することも可能です。

これらエネルギー全般に関するデータを各家庭内での利用にとどめず、ビッグデータとして集約・分析することで省エネや経済性の向上に利活用するのが「大規模HEMS情報基盤整備事業」の要旨です。

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HEMSによる電力モニタリングの例

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株式会社ユビキタス

ECHONET Lite

異なるメーカーの家電を一元管理するため、日本のHEMSではECHONET Liteという通信プロトコルが採用されています。これに対応している家電であれば、HEMS導入にあたってわざわざ買い換える必要はありません。とはいえまだ対応機器が豊富とはいえないため、各メーカーの今後の動きがHEMS普及の鍵を握っています。ECHONET Lite規格 認証済み機器リスト(一部)によると、認証を受けた機器は2014年10月30日時点で230件となっています。

オブジェクト指向を用いた設計思想により、エアコン、照明、給湯器、太陽光発電システム、蓄電池、スマート電力量計、各種センサなどをオブジェクト化し、GET(状態取得)、SET(設定・操作)、ANNOUNCE(通知)などと呼ばれるアクセスルールによって、これらの機器を操作したり、状態を取得したりすることができる。

民間企業の参入

「大規模HEMS情報基盤整備事業」を推進するため、KDDIはHEMSのトライアルをスタートしました。モニターに選ばれた家庭は、桑名市の約3500世帯。各家庭にはタブレット端末やHEMS機器が無償で配布されます。対象となった家庭の電力データ同士を比較し、節電を呼びかけるシステムも提供される予定です。同様に、静岡市の1000世帯、会津若松の500世帯にもHEMSを試験導入する計画があります。同社はauユーザの購買情報や位置情報と、HEMSを通じて取得した電力データとを合わせて活用することで観光や福祉に関する新サービスの構築を目指しています。

個人情報の取り扱いへの課題

電力データを集約・加工して配信する「大規模HEMS情報基盤整備事業」で、懸念されるのが個人情報の取り扱いについてです。そのため、個人情報管理の仕組みは国内の主要通信キャリアが担当することになり、その中でKDDIは「プライバシーポリシーマネージャ(PPM)」を使用します。これは利用規約を分かりやすく表示するとともに、提供する情報をユーザーが各自で取捨選択できるシステムです。

補助金による後押し

平成25年10月時点でHEMSを導入している世帯は全国で約7万軒にすぎず、全世帯の0.2%にも満たない水準です(石炭ガス化燃料電池複合発電実証事業 説明資料より)。一般社団法人環境共創イニシアチブは、一部の機器を対象に補助金を支給していましたが、残念ながら平成26年9月30日をもって受付終了してしまいました。

そんな中、京都府が補助制度を創設しています。HEMS導入に関する補助金は1件2万円ですが、同時に太陽光発電や家庭用燃料電池システム(エネファーム)に対しても補助金が用意されています。
京都市:平成26年度自立分散型エネルギー利用設備設置助成制度 ~京都市は,すまいの省エネ・創エネを応援します!~

HEMS機器を試験導入した都市の一般住宅のエネルギー使用量が約10%も削減された結果を受け、京都府はこれを府内全域に波及させる方針です。この試みは今後のHEMSの行く末を占う試金石となりそうです。