西アフリカから海を超え、とうとう日本にまでその魔の手が及ぶかと心配されている脅威のエボラ・ウイルス。このウイルスは非常に感染力が高く、感染した患者の体液 – 血液、吐しゃ物、排泄物、分泌物 – に直接触れただけで感染してしまいます。感染後最短2日で発症し発熱、頭痛、筋肉痛といった症状が出ます。症状が進行すると嘔吐や下痢を伴い最後には全身から出血し、その致死率は50%から90%とされています。

現在ではこのウイルスに対抗する有効なワクチンや治療法が存在しないことから、いかに感染者を隔離治療し被害の拡大を予防するかがとても重要です。よく誤解されていますが、エボラはインフルエンザやノロウイルスのように空気感染はしません。あくまでも患者に直接接触すると発症の危険が高まることから、いかに水際で感染者を発見・隔離・治療するかがキーポイントとなります。

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エボラ出血熱

初めてこのウイルスが発見されたのは1976年6月。スーダン(現:南スーダン)のヌザラ (Nzara) という町で、倉庫番を仕事にしている男性が急に39度の高熱と頭や腹部の痛みを感じて入院、その後消化器や鼻から激しく出血して死亡した。その後、その男性の近くにいた2人も同様に発症して、それを発端に血液や医療器具を通して感染が広がった。最終的にヌザラでの被害は、感染者数284人、死亡者数151人と言うものだった。-

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エボラを予防する上で最大の問題となっているのが「診断するコスト」と言われています。現在では診断を行うために高コストの実験室を準備。ウイルスの輸送と処理を行い、さらに長時間かつ広範囲の講習を技師たちに行わなければなりません。

米ボストン大学の研究チームはこの課題に2010年から取り組んでおり、とうとうバッテリーで駆動できる小型のエボラ検査装置のプロトタイプを完成させました。しかもこの装置、医療機関の人間だけでなく誰にでも簡単に操作が可能、検査時間も30分ほどで済み、さらに低コストで設置することができます。

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SP-IRIS(単一型粒子反射画像センサー)

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Boston University

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将来的にタッチパネルで操作できる装置の開発も予定されている。

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Dialy Mail Online

この装置は靴箱程度のサイズで、血液サンプルを光の反射により画像センサーで読み取ることで検査します。このセンサーはsingle particle interferometric reflectance imaging sensor (SP-IRIS=単一型粒子反射画像センサー)と呼ばれ100ナノ(1mの10億分の1)粒子の証拠反応を検出できるとされています。従来の装置ではサンプル調製などで完了までに2時間を要していたのが、この装置を使うと半分の約1時間程度で結果がわかるようです。

米ボストン大学はこの装置が西アフリカの病気の蔓延を防ぐ手助けとなるよう出荷したとしており、また既に米国のテキサス大学医学部などいくつかの研究機関で試験運用が開始された模様です。

個人で簡単に検査するには?

この装置がエボラ・ウイルスの拡大を防ぐ一助にはなるだろうことは簡単に予想できますが、個人レベルで防衛する方法はないのでしょうか。そんな希望をかなえるアイテムが米ハーバード大学で研究開発中です。これはポケットサイズのエボラ・ウイルスの検査紙で、この紙にはエボラ・ウイルスに反応するタンパク質が含まれています。

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検査する際には紙を水に漬けて、もし反応があると1時間程度で紙に紫色の変化が現れます。コストも数円から数十円程度と安く、1年間は保存が効くようです。近い将来には近所の薬局で気楽に手に入るようになるのかもしれません。

もっとも個人レベルで検査薬が必要な状況になって欲しくはありませんが。