8月28日、グーグルXは豪クイーンズランド州で行った無人小型機(ドローン)による配送トライアル動画を公開しました。

災害報道撮影、農薬散布、パイプライン監視では、有人機行動が難しい場合に、ドローン導入が進んでいます。しかし配送に関してはスピードアップ、コストダウン、容易な受取、障害物対策、航空機安全の課題があります。グーグルXは「Project Wing」ドローンでスピードアップ、コストダウン、受取の問題を解決するプロトタイプ実験動画を公開しました。

 
 

配送センタを垂直離陸、水平飛行

Project Wingは主翼4枚のプロペラでヘリコプターのように垂直離陸します。「テールシッター」と呼ばれる方式で、配送センターは滑走路が不要です。荷物箱は翼の中央に収納されています。中央プロペラ下にある2枚の垂直翼は発射台の役割も兼ねます。 続いて飛行機のように機首を倒してドローン空域の高度400~500フィート(122~152メートル)で水平飛行して目的地を目指します。ヘリコプター方式のドローンより空気抵抗が小さくなるため、低燃費、低騒音で届け先上空に向かうことができます。

 垂直離陸  

垂直離陸し、そのまま高度100メートル以上に上昇

 
 水平飛行  

一定の高度に達したら水平飛行で目的地へ

 

ドローン管制センタ

届け先上空に向かうドローンは管制センタで航路をモニターされています。Project Wingの機首にはGPS受信機が収納されています。翼に収納されたデスクトップクラスのコンピュータとアンテナを介してドローン位置はマップ上に表示されています。コンピュータはカメラ画像、飛行速度、機体の傾きのデータをモニタしています。しかし急に現れる障害物にどう対応するかは今後の開発項目となっています。

 GPS    

GPSでドローンの状態をモニタリング

 

荷物箱の受取

Project Wingは届け先上空に到着しました。再び姿勢を垂直にし上空でホバリングします。続いて荷物箱を投下します。よく見ると荷物箱は釣り糸のような細い線でつながっています。さらに荷物箱と「釣り糸」は「エッグ」と名づけられた接続モジュールでつながっています。「エッグ」は高度を検出してドローン内の「釣り糸」リールのリリース量をコントロールし、荷物箱が地面に軟着陸できるようにします。着陸前にアラーム音を発生し荷物箱が届いたことを届け先に知らせます。ドローン自体が離着陸する必要がないため、原っぱのような荒れた地面の届け先に荷物箱を降ろすことができます。

 目的地到着    

目的地に到着するとアラーム音でお知らせ

 
 荷物投下    

「エッグ」が高度を検知しながら荷物箱を地上に降ろす

 

エッグの回収

「エッグ」が地面に達したら、荷物箱と「エッグ」は切り離され注文主は荷物箱を受け取ります。続いてドローンの巻上げウインチは「エッグ」を回収し上昇します。届け先のオーストラリア牛牧場とグーグルXクレジットを背景に、ドローンは配送センターに戻ります。

 荷物到着・切り離し    

無事荷物が着陸したら、エッグを切り離し回収

 
 帰還    

身軽になって再び配送センターへ

 

今後の方向性

グーグルXは、米国では配送センタから2分で配達することを目標としています。グーグルは米国航空局から人をリクルートし、ドローン管制局の設立、ドローン配送飛行を可能にすべく航空法を改正するようロビー活動を進めています。この技術は米国だけの適用に限らず、地形や少ない人口のため道路や宅配サービスに恵まれない国、例えば今回テストが行われたオーストラリア郊外に適しています。オーストラリアはドローン飛行の規制が緩いため5年以内の導入が期待されています。また固定電話を飛び越えて携帯電話が普及していったように、インフラが未発達なアフリカはこの配達サービスに適しており、主たる配送方法になることが期待されています。