暑い季節になると、人間は汗をかいて汗を蒸発させる事で体温を下げる事はよく知られています。スペインはバルセロナにおいて、なんと建物の壁に汗をかかせて室温を下げる新しい空調が開発されたようです。

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空気中の水分を吸収し、人の皮膚のように「発汗し」、建て物の内部を冷却する壁材が、ハイドロゲルと呼ばれる物質を使って開発された。
この技術で室温を快適に保っていくには、従来の空調設備との併用が必要ではあるが、家庭において使用されるエネルギーの28%を削減できるだろうと開発チームは伝えている。

気化熱の利用

汗が蒸発して体表の温度が下がるはたらきには、気化熱と呼ばれるエネルギーが関係しています。

気化熱(きかねつ)とは、一定量の物質を気体に変化させるために必要なエネルギーのことである。

水のような液体は、蒸発して気体に変化するときに一定のエネルギーを必要とします。それは液体の温度を上げるためのエネルギーとは異なり、さらに別口で「気体になるために」必要なエネルギー、気化熱です。
液体は蒸発する時に、この気化熱分のエネルギーを周囲の物質から奪う事になります。エネルギーを奪われた周囲の物質は温度が下がります。バルセロナで開発された壁材はこの仕組みを利用したものです。

打ち水

打ち水も気化熱のはたらきを利用した冷房の一種

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nakimusi

冷却ジェルシート

気化熱でおでこから熱を奪う

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Yuko Honda

では建物にどうやって汗をかかせているのでしょうか。人間のようにダラダラと汗を流すわけではないようです。

ハイドロゲル

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湿潤ゲルのうち、分散媒が水のゲルをヒドロゲル (hydrogel)、分散媒が有機溶媒のゲルをオルガノゲル (organogel) という。有機溶媒にアルコールが使われたものはアルコゲル (alcogel) という。

この壁材に使用されたハイドロゲルは、たくさんの水を溜め込む性質を持っています。水を吸収してなんと約500倍の大きさにまで膨張する事ができます。また吸収するだけでなく逆に乾燥させて収縮させる事もできます。膨張と収縮、この二つの性質が建築物の冷却を担っているのです。

セラミック板にきれいに穴を空けていきます。
1000度で焼きます。

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Pong Santayanon

二枚の板の間にハイドロゲルを並べていきます。

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Pong Santayanon

挟みます。

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Pong Santayanon

水を吸収させて膨らませます。

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Pong Santayanon

あとは気温が高くなればなるほど、ハイドロゲルに溜め込まれた水が蒸発し室温が下がっていきます。この仕組みによって周囲の温度を5から6度下げる事ができるそうです。

ソフトコンタクトレンズ

こちらのハイドロゲルは膨張しない

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Etan J. Tal

ジェリーボール

水耕栽培の容器に敷き詰めたり、縁日の景品になったり

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Michele Di Trani

蒸発させるための水は大気中の水分や雨から吸収するようです。地中海沿岸のような乾燥した地域だとハイドロゲルがきちんと膨らめるかどうか気になりますが、日本や東南アジアのような夏に雨が多く湿度が高い地域だと、その心配はないかもしれません。

REFERENCE:

Could walls that SWEAT replace air conditioning? Skin-like material absorbs water to cool air by up to 6°C

Could walls that SWEAT replace air conditioning? Skin-like material absorbs water to cool air by up to 6°C

http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2806401/Could-walls-SWEAT-replace-air-conditioning-Skin-like-material-absorbs-water-cool-air-6-C.html