ノルマ達成のためにいろいろな苦労をしている人は日本にも多くいるかと思います。その月の契約者数を増やすために知り合いや家族に加入してもらう、集客が厳しい催し物にチケット代を自己負担して知り合いを招待して客席を埋めるなど、その方法も様々だと思います。けれど、今回の役人が課せられたノルマは『遺体』なのです。

国営新華社通信によると、2名の役人は広東省の葬儀管理改革の担当で、政府からの火葬ノルマを達成するために墓地から遺体を盗んでいた墓泥棒から10体以上の遺体を購入していたそうです。役人のひとりは1体3000元(約5万6000円)で10体購入しており、もうひとりはその半額だったそうですが購入数は不明だそうです。彼らに課せられていたノルマがどれほどのものだったのかは不明ですが、それを達成するために高額の報酬を犯罪者である墓泥棒に払って偽の遺体を手に入れて火葬にし、ノルマの報告をしていたというその努力は涙ぐましいのかもしれませんが、安らかな眠りについていたところを盗まれた上に他人として焼かれた遺体の方はたまったものではないでしょう。

中国では、1950年代から国策として火葬が推奨されています。しかし、中国では土葬の風習が残っている地方も多く、自分の死後の埋葬方法に土葬を望む人も多いそうです。これは、儒教では火葬は遺体を傷付ける行為であり、魂の帰る場所をなくしてしまうという考えがあるためです。生きている間に自分の墓地用の土地を購入したり、棺を用意している人も多いのだそうです。その結果、都心部では一部の富豪層しか墓地を持てないほどに土地価格が高騰し、地方でも農地や開発用の土地の確保が難しくなるということが発生しました。
都心部では火葬を義務化。土葬にされた遺体も死後10年経過したら火葬にするようにとされていますが、火葬を嫌悪し、土葬を行おうという人々もいるため、監視員が一体ずつ確認して行うという徹底ぶりです。

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毛沢東

1956年、毛沢東は火葬の導入を提唱した(殯葬改革)「共産党員は喪事を簡素化し、率先して火葬を実行せよ」などと通達したのだが、当の毛沢東の遺体は防腐加工処理が施され、水晶の棺に埋葬されいまも公開されている。それに対して2014年3月6日、毛沢東の遺体を火葬にすべきだという意見書が中国の歴史学者・章立凡(ジャン・リーファン)氏によってインターネット上で発表されたが、削除された。

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北京観光

今回の役人がいた広東省では、2014年4月に火葬場の建設に市民が抗議デモを行い建設が中止となったこともありましたが、2008年には老人や障害者など100名以上を殺害し、火葬する遺体の身代わりとして売買していたとして犯罪グループが摘発された事件も発生していました。安徽省安慶市では2014年5月に火葬の義務化が実施される6月がくる前に土葬にしてほしいとして高齢者が自殺するという事件も発生しています。それほどまでに、中国では人々の火葬への嫌悪と土葬に対する執着が強いようです。

そんな中にいる役人に課せられた責任やノルマは厳しいものなのでしょうが、今回のように監視する側の役人がでっち上げを行っているようでは、火葬普及の道は難しそうです。

REFERENCE:

AFPBB News

AFPBB News

中国役人が墓泥棒から遺体購入、火葬ノルマ果たすため
http://www.afpbb.com/articles/-/3030735