世界には様々な宗教があり、その教えに則って様々な制約があります。その中には食事に対する厳しい戒律もあり、そのことによって様々なトラブルが発生することもあります。そんな中、イスラム教とユダヤ教で禁じられている豚肉の検査キットが、フランス企業によって開発されたそうです。

ハラール・テスト

今回の豚肉検査キット『ハラール・テスト』を販売したのは、フランスのベンチャー企業キャピタル・バイオテックです。紹介サイトでは使い方を説明した動画も公開。豚肉以外にもアルコールも検出可能だそうです。価格は6.90ユーロ(約1000円)とお手軽なように見えますが、こちらは1回使い切りため25個セットでの販売もされており、こちらは125ユーロ(約1万7000円)となっています。一度の食事に数品の食品があったとすると、数千円かかってしまうことになりますが、1日で1万セット以上の注文がきているほど人気なのだそうです。それだけ、このキットは豚肉を摂取することを禁じられている人々にとっては待ち望んでいた商品なのでしょう。

ハラール・テストの商品説明

キャピタル・バイオテック社の商品『ハラール・テスト』の商品説明動画。

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『ハラール・テスト』では豚肉だけではなくアルコールも検出できる。

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検査したい食品の一部を試験管状の容器に入れ、お湯を注いで混ぜる。

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試験紙をその中に入れる。10分ほどで検査結果が判明する。

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検査結果。豚肉やアルコールが含まれていない場合は線は1本。含まれている場合は2本表示される。妊娠検査薬と同じ。

イスラム教の『ハラール』

イスラム教には『ハラール』という項目があり、その中にあるものしか彼らは食べることができません。ハラールの逆の意味を持つ言葉が『ハラーム』で、豚肉はそのハラームに含まれます。彼らの聖典であるコーランでは豚は汚れた生き物であるとされ決して食べてはいけないとされているのです。それは、直接その肉を口にすることはもちろん、その骨を使ったスープなど僅かでも豚の成分が含まれているものはすべて禁じられているのです。
食べる以外にも豚のタンパク質などの成分が含まれている医薬品や化粧品が禁じられている地域があるほど、イスラム教にとって豚は忌避すべき存在なのです。

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コーランが豚肉を禁じている理由には諸説ある。イスラム教の起源はユダヤ教の旧約聖書に基づくため、その旧約聖書で禁じられているためであるという説。中東や北アフリカなどの人々はもともと牛や羊を食しており、貴重な穀物を食べる豚を嫌い食べていなかったからだという説。腐敗した肉によって伝染病が発生する可能性があるので衛生上の理由で禁じられていたなど。もともとがどの理由であっても、彼らにとって豚肉はタブーなのだ。

ユダヤ教の『カルシュート』

イスラム教同様に、ユダヤ教徒にとっても豚肉は食べてはいけないとされている生き物のひとつです。ユダヤ教の食事規律をヘブライ語で『カルシュート』といいます。旧約聖書の1書であるレビ記11章には、ユダヤ教徒が食べていいもの、食べてはいけないものが記されており、その中の一節に『蹄がわかれ、その蹄が完全に割れているもの、また、反芻するものはすべて、食べてもよい』と記されているのです。豚の場合、蹄はわかれていますが反芻を行わないため、ユダヤ教徒はこれを食べることができないのです。

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レビ記では豚以外にも様々な食べてはいけない生物が記されている。馬肉、ラクダ、エビやイカなど水中にいるが鱗のない生物、猛禽類、ほとんどの昆虫。野うさぎなど多岐にわたる。飲血も禁じられているので牛肉を食べるとしてもレアステーキなど血がしたたるようなものは食べることができない。

すべてのハラールを防ぐことはできない

戒律を重んじ、食事に対する規律を守る人々にとって知らないうちに禁じられていた食物を食べてしまったということはとても重大な問題となります。今回のこの検査キットによって、旅先での食事や『ハラール認証』と書かれていたものが本当にそうなのかという不安から、人々は解放されるところもあります。けれど、ハラールには屠畜方法や搬送方法なども含まれているため、それが守られた食物かどうかはこのキットでは調べることができません。とはいえ、その食物が入っているかどうかを確かめられるようになったことはとても大きな出来事なのでしょう。