10月26日、オランダDelft工科大学はドローンAEDのプロトタイプ動画を公開しました。

心臓停止で倒れた人の救命率は、1分ごとに10%ずつ低下すると言われています。日本の場合、救急車の平均到着時間は6~7分なので、発見から救急通報までに1分、救急隊到着から蘇生開始まで1分かかると救命率は10~20%になってしまいます。そこで設置された自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator, AED) を用いて蘇生開始までの時間を縮めようというのが、AEDの目的です。

現在のAEDにまつわる問題点

AEDは価格が約40万円、年間1~2万円の維持費用、さらに5~8年での買い替えが必要なため、公共の場所の普及が主に進んでいます。しかし実際の心臓停止は半分以上が個人の宅内で発生しており、家庭で使用するAEDの必要性が高まっています。また公共の場所のAED使用でも、使い方が分からず時間がかかってしまい救命率が下がってしまう問題があります。

ドローンAEDはAED到着時間と蘇生開始時間をいかに縮めるかの新しい試みなのです。

スクリーンショット 2014-11-07 19.26.32

娘が携帯から父が心臓発作を起こした、と救急に通報しました(電話してから12.4秒経過しています)。救急隊員は、ドローンAEDを飛ばしたので近くの出口に出て回収するよう、娘に指示します。

image01

通報を受けドローンが現場に向かって飛び立ち、娘の目の前に着陸します。ここまでわずか1分弱です。

image02

ドローンの上部には取っ手がついていて、着陸後はこのように持って病人の元まで運びます。

image03

ドローン前方のカメラで、隊員が現場を確認しています。モニタの下部にはドロ-ンの航路と運搬経路が表示されています。

娘はドローンスピーカからの救急の指示に従って、ドローンに収納された電極を取り出し、父の胸に貼り付けます。通報から2分以内にAEDを使用することに成功し、父は無事蘇生しました。この時間での救命率は80%で、救急車の場合の8%よりも改善されています(通報者が救急から12平方km以内の範囲にいた場合)。

image04

ドローンの構造

病人の生還率を少しでも高めるため、ドローンAEDは一刻も速く現場に到着する必要があります。そのため、ドローンは毎時100km以上の速度で飛行できるよう、カーボン繊維を使った材料を用いて軽量化されています。

image05
image06

空気抵抗を軽減するために、ドローンの形状を自ら設計しています。

image07

3Dプリンタを使って部品を内製しています。さらに、通常の直線的に飛行するドローンより、操縦レスポンス改善を高めています。

ドローンAEDはアムステルダムを含む救急関係者から高い関心を寄せられており、オランダ心臓協会もこれを称賛しています。今後、人の近づけない火災現場生存者への酸素マスク輸送と糖尿病患者へのインシュリン輸送の機能も加えることで、「ドローンAED」から「ドローン救急車」になるべく検討をすすめています。同時に課題である、操縦性の改善と航空法の求める項目のクリアを行い、5年後にオランダで実用化を目指しています。ドローンの価格は15,000ユーロ(約214万円)になる見込みです。