「水の上を歩くには、片足が沈む前に反対の足を上げればいい。」何となく正しい気がしてしまいますが、実際に試してみるとその希望は粉々に打ち砕かれます。今回はそれでも諦めなかった人々の動画を紹介します。

老若男女あらゆる人々がプールに張られた水面の上を、信じがたい事に裸足で縦断しています。観客からの声援を受けてプレイヤー達は気分が乗ってきたのか、さらに水面上でステップを踏んだりアクロバットを決めたりとエスカレートしていき、最後にはとうとうDJまで水上に。

run01

軽やかに水面を駆け抜けていく。

bicycle

自転車で走るにはもう少し工夫が必要らしい。

[/image-wrapper]
soccer

さすがにゴールはプールサイドに設置してある。

DJ

水没したら大変なことに・・・でも大丈夫。

ここまで見ていただければ分かると思うのですが、青緑色をしたこの液体は水ではありません。

非ニュートン流体とは

実はこのイベントで使用されたプールには「非ニュートン流体」と呼ばれる流体(流動性をもつ液体、気体など)が使用されているのです。冒頭で現れたミキサー車から流しだされていた青緑色の物体が、非ニュートン流体の一種である「ウーブレック(oobleck)」と呼ばれるものであり、このプールを満たしていた物質の正体なのです。

 流体    

流れの剪断応力(接線応力)と流れの速度勾配(ずり速度、剪断速度)の関係が線形ではない粘性の性質を持つ流体のこと。-Wikipedia

重要なのは「線形ではない」という事。これが水などの普通の流体と異なる部分です。通常の流体の場合、速い動き(強い剪断応力)で表面をめり込ませようとすると、速くめり込みます。その分、逆に遅い動き(弱い剪断応力)でめり込ませようとすると、遅くめり込みます。これは普段の生活から感じられる普通の事だと思います。速く動くとその分速く、遅く動くとその分遅く、流体は形を変えていきます。その「動きの速度」とこれに対する「流体の変形速度(粘度)」が比例関係にある事、これが、「流れの剪断応力と速度勾配の関係が線形である」という事です。

ところが、非ニュートン流体はそうではない

非ニュートン流体は、その性質によって擬塑性流体・ビンガム流体・ダイラタント流体の3つに分類されます。

 2418376854_bb51c7bbf4_o  

擬塑性流体

 

マヨネーズやケチャップが代表的。加わる力が強いほど変形速度が上がる(粘度が小さくなる)。

  image by

stu_spivack

 4491354934_31f842d782_b  

ビンガム流体

 

バター、ペンキなどがこれに該当する。ある一定以上の力を加えると変形速度もその力に比例して大きくなるが、それより小さい力ではほぼ変形しない。

  image by

Quinn Dombrowski

 1ad_NCOY_competition_iraq4_7Oct2010.jpg  

ダイラタント流体

 

加える力が強いほど粘度が上がる流体で、その効果はリキッドアーマーと呼ばれる防弾チョッキにも使用されるほど。

  image by

uberzombie

今回のウーブレックはダイラタント流体の1つで、遅い動きで表面をめり込ませようとすると、遅くめり込みます。しかし、速い動きで表面をめり込ませようとしても、それほど速くめり込みません。強い力を加えれば加える程、固く反発する流体であるという事です。そのため、上の動画のように体重をかけて動き続けていれば沈みません。ウーブレックの上では片足が沈む前にもう片足を上げることが出来るのです。

片栗粉で作るウーブレック

自作する事もできます。作り方はとても簡単で、水に同量の片栗粉を加えて混ぜるだけ。大量に作成し好みの色に着色してプールに流し込めば、水面の上でご機嫌なパーティをする事も可能でしょう。ただし、うっかりつまづいたりして十分な力を失ってしまうと、ウーブレックに飲まれてしまうのでご注意ください。